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Book Memories vol.9: 勝つ投資 負けない投資 

Theme: 金融

Time: 約15分

Difficulty:

 

 

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  昨今、ITの普及による情報の拡散が普及し、投資手法も様々な研究を重ねられてきたことで、機関投資家の数が増え、そのレベルも上がってきている。そのため、中途半端な知識や信念で投資を始めて利益を得ることはそう簡単にはいかなくなってきている。市場全体のレベルが上がったことで、個人投資家たちが成功を収めることはなおさら難しいと言えるだろう。

 

 しかし、市場の仕組みをしっかりと理解し、上級者のマインドセットや投資手法の中から汎用性のある知識を習得することで、資産を増やしていくことが可能であるのも事実である。

・投資はその人の性格が物凄く出るため、育ってきた環境や今の家庭の状況などのバックグラウンドによって、リスクに対する考え方も大きく異なる。

個人投資家はデメリットばかりではなく、機動力を活かすことができる。

・今後業績が良くなることが株価に埋め込まれていない非効率な市場の小型株に集中投資する。

・他人の声に流されないで自分の信念を貫く。

ポートフォリオを構築する時には数学的な分散ではなく、「価値観の分散」つまり、キャラクターを変えることを意識する。

・ 円建てですべての資産を持っているということは、日本政府の政策にフルベットしていることを意味する。

 

といったことを理解し、自らの信念をもって忍耐強く投資を継続することで、リスクを最低限に抑えてリターンを狙うことは不可能ではない。

日本経済の成長が他国に比べ停滞しており将来の雲行きが怪しくなっている今、国民が自らの身を守るためにも、それぞれに合った資産運用方法を日頃から追求していくことが求められている。

 

 今回そのようなことを学んだのは、

 

勝つ投資 負けない投資

 

片山晃 小松原周著 クロスメディア・パブリッシング

 

という本。

 

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 link below ↓

 

 自分なりに大事だと思ったところをまとめたので、興味のある方は読んでいただければ、と思う。

 

  特に本を読んだ上で自分なりの解釈だったり派生させたことを書いたりしているわけではないが、一種の教科書的な感じで大事な点をさくっとまとめ、自分の知識の幅を広げていくためのアウトプットのツールとして使うことにしている。また記事の最初にVocabs欄を設け、キーワードや専門用語などを載せているので知識を効率的に広げていただきたい。読者の方々にはもし知らないことがあれば身につけていただきたいし、ただ要約しているだけなので、よくわからない点があれば自ら 購入して読んでいただくなりと、自由に使っていただければと思う。

 

 

 

 

 

 

  [Vocabs]

 

 ・パイが大きくなる:未熟だけどお金は持っている人たち、すなわち上手い人から見た「カモ」が次々に現れるので、上級者は先行した優位性を武器にどんどん勝っていくことができる状況。

後から後から新規参入者がやって来て、相場自体に新しいマネーが入ってくるから。

 

決算投信証券取引所に上場している企業が、証券取引所の適時開示ルールに則り決算発表時に作成・提出する、共通形式の決算速報。

 

ジェイコム事件みずほ証券が1株 66 万円で売る注文を誤って、1円で 66 万株と入力してしまった日本一有名な誤発注事件。
誤って売ってしまった株を買い戻すための膨大な買いが来た。

 

含み資産相場:企業が持つ土地の含み益に着目する。
投資ファンドが実際にいくつかの企業の株を買い集めて世間の注目を集めたことにより、「 提灯買い」が大量について引き起こされたもの。
どんなに含み資産があっても企業にそれを有効活用しようという意志がなければ株価に反映させることはできないが、ファンドの介入によってそれが実現されるかもしれないという期待が生まれたために、株価が動いた。


カタリスト:株価を動かす原動力となるイベントや材料のこと。
仕手筋やインターネットの情報などを手掛かりに、特に裏付けがないまま株式を買うこと。

 

基準価額投資信託の値段のこと。

 

効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis):2013年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のファーマ教授が学術的な研究成果をあげたことでも有名だが、一言でまとめると、市場がもしも完全に効率的であった場合、個別銘柄へ投資をしても勝つことはできないというもの。

効率的な市場での個別銘柄の投資を否定する一方で、非効率な市場にこそ本当の価値のギャップが眠っていることを説くもの。


ISM指数:Institute for Supply Managementの略。

製造業景況感指数のこと。

 

ビット経済:無料経済。

経済学者が世界中で起こる謎のデフレ圧力の正体を見つけられずに悩んでいるが、これはIT革命が生活の隅々にまで浸透し、あらゆるモノやサービスの価格に下落圧力をかけているからに他ならない。


ファイブフォース分析:ビジネスの競争力を分析する手法。

「供給企業の交渉力」、「買い手の交渉力」、「競争企業間の敵対関係」という内的要因と、「新規参入業者の脅威」、「代替品の脅威」という2つの外的要因から、ビジネスの競争力を計るアプローチ。


テクニカル分析:株価を様々な形に加工して、現在の株価の位置がどのあたりにあるのかを客観的に見ようとするもの。
特徴としては、株価を企業の業績(ファンダメンタルズ)とはまったく関係なく、ひとつの数列として捉えて、統計学的、人間行動学的な視点で、ある種のパターン認識を行うという点。


移動平均:トレンド分析としては最も汎用性の高い指標。
一目均衡表は、移動平均と同様にトレンドを把握する指標だが、計測期間中の高値と安値を使用するなど、やや複雑な計算に基づいて、様々なシグナルを読み取ろうとするもの。

「人間の行動は非合理的で、理性よりも感情が先行する」という前提で、金融商品の動きを分析する「行動ファイナンス」と呼ばれる学問があるが、一目均衡表もこの部類に属する。


RSI:Relative Strength Index(相対力指数)の略。

株価が振り子のように上下に振れるという前提のもと、 50 を中心として0~100までの指数に換算し、株価が現在どの位置にあるかを客観的に見るもの。
指数が 30 以下になると、一般的に売られ過ぎ、 70 以上になると買われ過ぎのサインとして、反転の可能性が高い。


投資ホライズン:投資をしている期間。


アルゴリズム運用:コンピューターによるプログラミング売買によって、1秒間に何十回ものオーダーを出したりする。

 

サバイバーバイアス:市場には生き残った人だけが残ることができるので、失敗者の声を聞くことはなく、成功だけを過大評価してしまうこと。


完全相関相関係数1の時のこと。

2つの株価の動きが完全に一緒であることを意味する。


セクターニュートラ:勝てない多くのプロのファンドマネージャーが、TOPIXなどのベンチマークと同じ業種ウエイトになるように、ポートフォリオを組成すること。

下げ相場が来た場合、セクターのウエイトが相場全体と同じであれば、自分のポートフォリオも同じように下がるだけで済むという、極めて後ろ向きな運用手法。


自国バイアス:自国の株式市場に大きくウエイトを取ってしまうこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 本文

 

第1部  勝つ投資編...


[1.デイトレはそろそろ限界かもしれない]

[2.株式投資で勝つための銘柄選別法]

[3.買い方、売り方、見分け方のポイント]


第2部 負けない投資編...

 

[4. 株式投資のキホン]
[5.プロはこうして銘柄を選ぶ]
[6. ポートフォリオの組み方と勝つ投資家のメンタル]

 

 

 

・各国の中央銀行は、景気を刺激する手段としてかつてないほど大規模な金融緩和を実施しているが、これが金融市場に「歪み」を生じさせることで、従来の経済学やファイナンス理論では説明のつかない現象を、相次いで引き起こしている。

 

序章 投資家になるということ


行きがかりでなったファンドマネジャー


・何よりも大事なのは、機関投資家になった後、ずっと機関投資家で居続けられるかどうかということ。


・10 年以上生き残っているファンドマネージャーのことを「 10 年選手」などと呼ぶが、そういわれるほど、キャリアを続けるのが難しい世界。


・投資の王道を行くことが、実は結果を残す最短距離である。


・投資アイデアは天から降ってくるものではなく、地に足付けて探し出すことの方が、圧倒的に多い。


個人投資家の強みを生かした投資を


・実際にどのような理念や考え方のもとに経営し、どんな将来像を目指しているのかを直に聞けることは、長期投資を考える上では重要な判断材料となる。


・弱点がある。それは機動力のなさ。 一般に機関投資家は大きな資金を動かす。資金力さえあれば勝てると考えている人もよくいるがこれは誤りで、その巨大さが時には大きな足かせとなる場合もある。


・彼らは大概顧客の資産を預かって運用する立場なので、投資には透明性と説明責任が常に伴う。

 

・預かった大切な資産をギャンブルのような取引で運用できないように、投資判断をするファンドマネージャーや、取引を行うトレーダーには様々なルールが課せられている。

そのひとつが、流動性に乏しい銘柄には投資しないというもの。
もうひとつは、「フルインベストメント」。
ほとんどの投資信託やファンドでは運用資産のうち現金で持っておけるのは数%までとルールで定められている。
これは何を意味するかというと、今はあまり儲からなさそうな相場だとか、下手をすればこれから株価が下げていきそうだと運用者が思っていても、株を売って次のチャンスに備えることができないということ。


・まだ日の目を見ていない銘柄を先に仕込んでおいて、人気が出るのを待つ。下がると思えば売っておいて、安くなってから買い直してリターンを得る。そうした自然な投資行動を取れる機動力こそが、個人投資家機関投資家に対して優位に立てる唯一の武器。
それをどう活かすかが、投資活動の成否を決める重大な鍵となっていく。


機関投資家の制約


・一般的に、大きなファンドを運用するファンドマネージャーの場合だと、「この銘柄は面白い」と思ってから、実際の投資行動に移すまでには、1カ月から2カ月くらいはかかる。
投資の意思決定の遅さは、組織で運用を行う機関投資家にとっては、大きな制約のひとつ。


あなたの投資手法は株を始める前から決まっている


・投資の成功の仕方はひとつではなく、勝ち方は人それぞれに存在するということ。


投機家ではなく投資家になろう


・相場の動きを捉えて短期のトレードで勝つことは、それを専門とするプロの投資家でさえも、極めて難しい。

個人投資家であればなおのこと。

 

 

第1部  勝つ投資編...

1.デイトレはそろそろ限界かもしれない

 


右も左もわからなかったデイトレ時代


デイトレはその名のとおり、その日のうちに取引を終える短期のトレードで、オーバーナイト(持ち越し)のリスクを取らずに済むこと、成果が目に見える形で確認できることがメリット。


・一度のトレードで取れる値幅が小さく、コツコツと儲けを積み上げるようなやり方になること、そもそも日中ザラ場(取引時間)に張り付いていなければならないということがデメリット。


・なんとなく上がりそうだから買って、なんとなく下がりそうだから売る。パイが広がっている時期には、本当にそんなトレードでも資産が増えてしまうことがある。そして、現実にこれだけ資産が増えているのだから自分はトレードの才能があるに違いないと錯覚してしまう。


どんなやり方が向いているかは人それぞれ

 

・投資はその人の性格が物凄く出る。また、育ってきた環境や今の家庭の状況などのバックグラウンドによって、リスクに対する考え方も大きく異なる。なので、自分にはどんなやり方が向いているかというのは自身で見つけるしかない。
ではどのようにして自分に合ったやり方を見つければ良いのかということだが、特に難しいことはない。いろいろなやり方に実際に触れてみて、それを実践している先駆者のブログや書籍から考え方を学び、しっくり来るまで試してみる。


・良くないのは、大きく儲けたいとかラクして稼ぎたいという発想からやり方を決めること。


かけられる時間と情熱によって取れる手法が決まる


・大なり小なりの世の中の変化を予測し、銘柄という形に落としこんで先取りするのが成長株投資のキホン。
このやり方は世の中の行く末や企業の盛衰について考えることがそもそも好きで、そうしたことに多くの時間を費やすことを厭わない人にしかできない。


・当初の興味関心から変遷していくパターンもあり得る。


時間も情熱もかけられない人が取るべき手法とは


・普通の人が「心理的」にやりにくいようなことを「合理的」に処理していけるのが、トレード適性の高い人。

 

・長期投資においては短期的には弱々しく見える値動きでも、自分が考える将来価値との差にギャップがあると思えばむしろ買い増していく勇気も必要になる。

弱ければ売って、強ければ買えばいいという合理的な考え方ができるトレード派の人とは相容れない感覚。


・自分に向いていないと思っても、目指すリターンを上げるためにはその手法が必要なのだとなれば、自分自身を変革していく努力が必要になる。長期間投資をやっていれば必ずどこかで壁にぶつかるので、専業投資家になるならこの覚悟は必要不可欠。


諦めずに続けることが何よりも大事


・いつどこにどんな機会が待っているか、あるいは投資と向き合わざるを得なくなる必要性に迫られるかわからない。

 

 

2. 株式投資で勝つための銘柄選別法

 


・低PERや低PBRで買っても大きなリターンは得られない。


・低PBRの銘柄でも上がる時は上がるし、下落リスクが小さく安全に儲けられるというきちんとした利点がある。


・なぜ低PBRの株では大きく儲からないのか。

その理由は、そこに変化が起きないから。

余程のことがない限り、純資産というのは1年やそこらで大きく変わるものではない。ということは、今たまたま自分が見つけて「おっ、この銘柄はPBRが0・3倍だから安いぞ!」と思ったとしても、そのことにほとんど意味はない。
その銘柄は1年前も純資産で見れば割安だったし、恐らく1年後も同じように割安に見えるはず。


・バリュー投資はきちんと銘柄選別をしたところで、結局は相場全体が上がらなければ株価は上昇しない性質を持っているといえる。


・純資産という普遍的な指標を頼りにしているため、スクリーニングなどで導き出される結果は常に一定になる。わかりやすく明確な基準で見ているだけに、誰がやっても同じになって差が付かない。


・低PERに着目した投資でも同じことがいえる。変化のない安定的な業績を出している企業は、いくらPERが低くてもなかなか投資対象にはならない。


・大事なポイントは、そのPERが将来どのように変わっていくかということ。


・各人の様々な思惑がぶつかり合って、株価は形成されていく。そのため変化のある企業の株価は動くし、何も変化が起きていない企業の株価はずっと割安なままに放置されてしまう。


投資で最も大事なのは「変化」と「想像力」


・「想像力」は、予想や予測といったものとはニュアンスが異なる。ある事象から想起される可能性について幅広く検討することを、「想像力を働かせる」といっている。

「予言」、「予想や予測」、「想像力」。


事実を知ることによって想像力は養われる


・ではどのようにして想像力を養うか。

これは、現実に起きた事象のパターンをとにかく拾い集めていくしかない。


・人は、それまで見たことも聞いたこともないことに対して想像力を働かせろといってもなかなか出来るものではない。しかし、「歴史は繰り返す」という言葉があるように、僕達が忘れていたり知らなかったりするだけで、案外世の中に起きていることにはある特定のパターンがあったりする。大きく飛躍した企業、爆発的に売れたヒット商品、突如ブームになったお笑い芸人など、世の中に起きているあらゆることが想像力を養う糧になり得る。


・大事なのは、それをそれとして受け取るのか、単なる事象として見過ごしてしまうのかという姿勢の問題。


疑問を持つことで投資力が磨かれる


・投資とは、現在と未来の価値の間にあるギャップを埋める行為。


・変化に気付く力であり、それがもたらす未来を考え抜く発想力や想像力。


・世の中に起きているあらゆる変化に対して疑問を持ち続ければ、いつか大きな流れを掴む機会が必ずやってくる。


数字の先にあるストーリーを見る


・低PERや低PBRの株を見つけることにあまり意味がないように、ひとりの人間が行える程度の単純な数字の分析にも価値はない。

まだ価値は残っているがいずれなくなっていく。


・「未来を考え通す力」に関しては、人間が持つ知性そのものといえる部分なので、まだまだコンピューターに取って代わられることはないだろうし、同じ人間なのだから機関投資家といえどもそう差はない。


・今後ますます陳腐化していくであろう単純な数字の分析よりも、その先にあるストーリーを読むことに投資の付加価値を見出そうとしている。


・決算資料を読み込んで業績の変化に着目し「なぜこうした変化が起こったのだろう?」と疑問を持ち、考えを尽くす。


興味や感心を幅広く持つことも大事

 

・事象として目の前に現れた業績数値の変化からその背景と今後を正確に予測するためには、その根拠となる判断材料をどれだけ持っているかが重要。


・同じ上方修正という情報でも、受け手によってその見え方が全く異なることがある。

そこに、大きな利益のチャンスが潜んでいる。


・日頃から幅広い分野の情報を総合的に収集しておくことは投資家にとって必須の行動。


・今や情報そのものはネットでいくらでも手に入るし、速報性の面では新聞を代表とする紙のメディアはまるで役に立たなくなった。だが、逆にネットの場合は紙面や時間の制約がなく情報が垂れ流しになっているので、どれが本当に重要なことなのかを自分で判断する必要に迫られる。
その点、新聞は1日に1度読むだけで、編集者がこれは記事にすべきだと考えた重要な情報を網羅的に受け取ることができる。この受け取るという感覚が実は大切で、能動的に何かの情報を得ようとすると、どうしてもそこには個人の趣味趣向が入って観測範囲が偏りがちになってしまう。


・投資家という生き物は、薄く広く色々なことに通じていることが価値になるので、新聞のように総花的な情報を受動的に与えてくれるメディアは実に相性が良い。


・幅広い情報や価値観に触れておき、ひとつでも多くの事象に対して答えを導き出せるようにしておくことが、投資家としてのあるべき姿といえる。


なぜ中小型株に投資するのか


時価総額が小さい小型株となると、プロのアナリストもついていけないし業績の一挙一動を見ている投資家の数もそれだけ減ってくる。 こういった企業は普段何をやっているのか外からはなかなか見えづらいため、決算短信の内容に意外性があることが多くなる。それはすなわち、投資の機会が多くなることでもある。


・業績変化率の高さにおいても、やはり中小型株には大きな魅力がある。

 

 

3.買い方、売り方、見分け方のポイント

 


投資で利益が得られる3つのパターン


・1 優等生が100点満点を取り続けるパターン  

 2 優等生が期待外れの点数を取ってしまうパターン  

 3 落第生が期待以上の点数を取るパターン

 2桁の成長を長期間に渡って出し続ける優等生タイプで、年単位で綺麗な上昇トレンドのチャートを描くのが特徴。

期待が織り込まれた高いPERがついていることが多い。

ちょっとでもミスがあると大きな失望を買い、株価が暴落する危険性があり、投資家はその恐怖に怯えなければならない。


・良い結果を出し続けているのにはきちんと理由があるもの。それはビジネスの「仕組み」であり、その優位性が脅かされない限り、彼らはきちんと投資家の期待に応え続ける。なので、「割高だ、将来を織り込みすぎている」と言われたところから、さらに株価が何倍にもなっていく。
このパターンの良いところは、途中からでも上昇に乗りやすいこと。

反面、短期間に急騰することもないので、大きな果実を得るにはそれだけの長い期間投資し続ける必要がある。


・2のパターンは、1に当てはまる銘柄が悪い決算を出した時に起こる。
このパターンで利益を得るには空売りのアイデアが必要。

 

・株価はしばしば過激な反応を示す。それまで誰も投資していなかった銘柄に急に注目が集まるので、多くの場合は行き過ぎるし、その上昇に要する期間も短め。短期間に大きなリターンが得られる反面、激しい値動きに耐える必要があり、乗り方次第では思わぬ損が出る可能性も覚悟しなければならない。しかし、そうなることを事前に予想して仕込んでおければ、これほど儲かる投資のチャンスはない。


「いつか上がる」ではなく、「いつ上がるか」

 

・PERの低い株、成長が見込めそうな株を見つけて「何、これ安い!」と注文を出す。ここまでは誰にでも出来る。

問題はそれを売る時。


・投資の成果を評価する際には時間もコストの1つとして考えられる。


・多くの人は損をすることが悪いことだと考えているかもしれない。

でも本当に一番ダメなのは、上がりもせず下がりもせず、ただ時間だけが経過していってしまうこと。
買ってから何も動きがなかったというのでは、少なくとも株価的には次の行動を起こすための材料がないわけだから、ポジションの動かしようがない。その間にも相場では次々に新しい動きが出ているのに、そういう動かない株に資金を拘束されていることによって、みすみす機会を逃すことになってしまう。


・新規に投資をする時には、その株が「いつ上がるか」ということを必ず想定してから入る。もちろん、「この株価で買っておけばいつか上がるだろう」という考え方も否定はしないが、「勝つ投資」を目指す上ではご法度。


・自分の中では「素晴らしい決算だ! やはりこの企業は期待できる」と思えても、それが他の投資家には共感されない、独りよがりな妄想である可能性ももちろんあり、その場合は株価はついてこない。
そうなった時は、なぜ評価されなかったのかをよく考えて、さらに次の決算まで待つか、あるいは諦めるかの判断をする。この時、株価が含み益か否かは関係ない。上がるはずだと思えば持ち続ければいいし、やっぱり違ったかもしれないと思ったら売る。それ以外の選択肢はない。


ストーリーはなるべくシンプルに


・誰が考えてもそうなるだろうなというストーリーを提示できる企業の株は素直に上がっていく。
逆に、決算の数字の細かいところをこねくり回してようやく浮かび上がってくるようなマニアックなアイデアは、理解してもらうのに時間がかかりすぎてしまうことがある。


イデアを多数持つことで塩漬けを回避する


・ある銘柄がダメになったとしても、それと同じくらい優れた他の銘柄のことが頭の中にある人は、容易に乗り換えを検討できるはず。
ところが、練りに練った唯一のアイデアが外れてしまった場合、次がないので、どうにかして今あるアイデアで押しきれないかと、その銘柄を持ち続ける理由を探してしまう。
日頃から常に新鮮な投資アイデアを求めるようにしておけば、塩漬け銘柄を作るリスクは格段に抑えられるはず。


・たとえ含み益の銘柄を持っていたとしてもそのことに満足せず、もっと良い株、効率的に儲かる株があるかもしれないといつも考えながら取り組む姿勢が、失敗した時の二の矢、三の矢として機能することになる。


自分の都合でポジションを動かさない

 

・含み損になりそうだったから売るとか、他で損が出たので利益の出ているポジションを決済するというのは、市場や銘柄とは全く無関係な個別の都合の話。そういう理由で、本来はもっと利益を生むはずの優良ポジションを外してしまっては資産は増えていかない。


・トレーダータイプの投資家は一定程度の値幅の利益を積み上げて行くことになるので資産は直線を引いたように増えていくが、ファンダメンタルズベースの中長期投資では2倍、3倍、時には5倍、 10 倍となるような少数の大成功ポジションによって階段上の資産増加を目指すことになる。


・純粋なトレードなら機械的損切りの重要性も高いと思うが、ファンダメンタルズベースでやる場合は、当初想定したストーリーに狂いがないか、株価の大きな方向性が間違っていないかにだけ注意を払っておけば良く、それ以外の個人的な理由で大切なポジションを手放すようなことは極力すべきではない。


信じることは疑うことをやめること

 

・投資においては疑うことをやめた瞬間に大損へのカウントダウンが始まっている。


・本当にこの銘柄でいいのか? 

今考えているストーリーに穴はなかったか? 

という疑いは常に持ち、それをチェックし続ける態度は崩すべきではない。良い企業だと信じているからこそ、徹底的に疑って調べ上げ、「やっぱり何も問題はなかった。流石自分が良いと信じた企業だ」という結論を得る。これが、投資先を本当に信頼するために必要な姿勢。
そこまでやっていれば、多少の下落があっても落ち着いて構えていられるようになる。


・株価が予想以上に下落した時は、他の投資家が何らかのリスクを感じて投げている可能性が高いので、その背景をとにかく調べる。


・一見良さそうなアイデアでも自分の知識や経験不足が原因でとんでもない落とし穴にハマり込んでしまうこともある。下がっている株価に耐える時は、耐えるべきだと断定するに値する十分な裏付けが取れた時だけにした方が良い。

 

チャンスは平等にはやってこない


・大きく勝つには個別銘柄の選択術も大事だが、チャンスに対して大胆にリスクを取っていくことも同じぐらいに大切。

単なる運否天賦、コインの裏表のようなギャンブルではなく、緻密な調査と分析に裏打ちされた割のいい勝負であれば、相応のリスク量を取るべき。
なぜなら、そのような投資の機会は決していつでも巡ってくるものではないから。


・市場はいつでも開いているというのは事実だが、市場で儲ける機会は常にあるというのは真ではない。

限りある機会の中でもこれはと思うところに対しては、多少大きな損失が出ることを覚悟してでもリスクを取った方が、トータルではリスクコントロールが効いているのではないかとも思う。


・ダラダラといつまでも市場にリスクマネーを晒しておく必要には迫られておらず、仮にある時期に大きく稼ぎきってしまったらそれで抜けられる。


・安易な銘柄分散はお勧めしない。
これは、ハイリスク・ハイリターンを許容できる個人投資家だからこそ取りうる戦略。

 

自信を積み上げて勝負する


・勝負金額を小さくして恐怖を取り払い、まずは正常な判断を取り戻す。

負けても大したことのない額だと思えば、流石に本来のやり方ができるようになるので、その状態で自分はちゃんとやれば勝てるのだということを自分自身に思い出させてやる。
もしそれでも勝てなければ、メンタルの問題ではなく技術的な問題かもしれないので、修正が必要。


・上手くいっている間はとことん図に乗って勝負を繰り返していく。


・不思議なもので、上手く行っている時は何をやってもうまくいきそうな気がするし、そう思えている精神状態が鋭い判断と決断をもたらして良い結果に結びつく。ミスをしたとしてもクヨクヨしたり悪いポジションにこだわったりせず、次で取り返せばいいのだからと冷静に撤退して浅い傷で済ませることができる。むろん、このような状態は永続するものではなく非常に貴重なので、そういう時期に勝てるだけ勝ち切ってしまおうというのがリスクに対する考え方。


・気を付けたいのは、夢から覚めた時にきちんとまた積み上げなおすところから始められるかどうか。


普遍的な手法というものは存在しない

 

・これさえあれば誰でもどんな相場でも勝ち続けられるという普遍的な手法というものは存在しない。
そんなのがあればいいなと願う気持ちはわからなくもないが、残念ながら存在しないし、だからこそ勝つ人と負ける人がいて、そこに投資の機会が存在する。

 

・その時々の相場によって効く手法と効かない手法がある。ひと通りのやり方を覚えれば初心者を脱して中級者にはなれるが、真の上級者は「今はどのやり方が有効な相場なのか」を常に考えて、最適なアプローチに切り替えることができる。その相場の変化に対する嗅覚や対応力が、勝ち続けられる人とそうでない人を分け隔てる部分。


なんのために投資をしているのか


・その人が目指す投資のリターンは、自分の望むゴールまでの距離からの逆算によって求められる。

目指すゴール、なりたい投資家像から逆算して必要なリターンや投資スタイルが決まってくるから、そこに対して自分が必要なことをきちんとできていればそれでいい。


・誰のためでもなく自分のために投資をしているのだから、自分の求めるリターン、取るべきリスクはどこまでかをきちんと把握した上で、適切な努力を行い、投資との最適な距離感を保ちながら続けていくことが大切。

 

 

第2部 負けない投資編...

 

4. 株式投資のキホン


マーケットが暴落しても心配ない投資とは?


・投資している企業の成長ストーリー(業績予想)が変わらない限り、企業価値(目標株価)は変わらない。よって足下の株価が下落しているからといって、見方が変わることはない――。  本物のアクティブマネジャーの思考回路とは、そういうもの。


株価が何からできているかをご存じですか?


ファンドマネージャーとして物凄いプレッシャーの中でも自分自身をマネジメントできているのは、自分の投資している企業が、将来どのくらいの現金を稼ぐ力を持っているかを、かなり正確に把握できているから。


理論株価は簡単に計算できる


・配当金は、企業が現在置かれているステージや経営戦略、会計手法によってバラつきがあるため、配当金のみから企業価値を算出することに違和感を持つ人もいる。このような考えから、DCF(Discount Cash Flow Model)と呼ばれる、企業が実際に稼ぐ現金の予想から1株当たりの理論価値を求める方法もあり、プロの投資家などはこれを重要視している。


・多くの投資家は、PERなどの指標を用いて、現在の株価が高い安いなどと論じているが、これはある意味、不毛な議論といっても良い。なぜなら、日々の売買を通じて形成されている株価は、実はこの将来のキャッシュフローの現在価値に向かっているから。つまり、現在の株価が割高か、割安かを議論するならば、 キャッシュフローから導き出される理論株価に対して、割高なのか、それとも割安なのかを議論するべき。


「投機」と「投資」の違いとは?


・他の先進国の学生が、生きた経済の中で付加価値を生む術を学び、自ら考える習慣を身につけて社会へ出るのに対して、日本の学生はいわば丸腰の状態で社会人になり、世の中の仕組みを考える暇もなく「社畜」として生きるマインドセットを植え込まれてしまう。日本経済がイノベーションを失った理由は、こうした教育システムの弊害であるといってもよいかもしれない。


リスクとリターンのバランス感覚


・リスクとリターンという2つの概念は、投資家として必須の「感性」であり、また精度が高まれば究極の奥義ともなり得る大変重要なもの。


・投資家は投資している資産に予期せぬ変化が起きた時、それがどのようにリスクとリターンのバランスを変化させるのかを判断しなくてはならない。優秀な投資家は、このバランス感覚に優れている。


・投資をしている限り失敗はつきものだが、失敗した時の投資案件を「リスクとリターンがどのように変化したのか」という観点から必ず考えるようにする。このようにして失敗から学び、経験値を積み上げていくことで、投資家として成長できるようになる。


大化けする銘柄が眠る場所


・市場が効率的なものであるかどうかを知ることは、勝てる投資家になるためには必須の知識。
市場が効率的であった場合、A社の株価に影響を与えるような情報、たとえば「業績がこれからとても良くなる」ということや、「増配などの株主還元の向上が発表される」など、未発表の情報を含むすべての情報は、現在の株価に織り込まれている。


株式投資で勝つ時とは、その会社にポジティブな変化が起きることを事前に予想して、株価の上昇を待っている状態だが、もしもこの仮説が正しいとしたら、そのような未来の変化も織り込んで現在の株価が形成されているわけだから、何をやっても勝てない。


・大型株になるほどに効率的で、小型株になるほどに情報の効率性が悪くなる。


・売買に参加する投資家が多い、つまり出来高が多いほど、その銘柄についていろいろな情報が調べ尽くされて将来の予想がされているため、株価には「認識ギャップ」と呼ばれる、まだ織り込まれていない材料がなくなっていく。


日本株、特に中小型株などは、ウォッチしている投資家が少ないため、情報の効率性がとても低い状態で放置されている銘柄が多数ある。 このような会社を調査すると、投下した労力に対して認識ギャップを見つけやすく、利益を得やすい。


証券会社の情報は完全に信用できるか?


・投資で勝つためには、できるだけ情報が非効率なところで戦った方がリターンを得やすい。


・証券会社のアナリストレポートのいうとおりに売買をすると、何と6割以上の確率で負けてしまう実験データもある。


・「小型株は会社の信頼性が低い」とか、「ビジネスの競争力がなく、結局すぐに業績が悪化してしまう」など、小型株のデメリットも確かにあるが、それは証券会社の罠であると思って聞き流した方が無難。


・小型株とはいえ上場企業だから、信頼性の観点からは、大企業との差はまったくない。ビジネスの競争力がないというロジックは当てはまる場合もあるが、実は注目すべきはその裏側のロジック。上昇余地の限られる大企業に投資するよりも、新しいビジネスを展開して、これから大企業になっていくような会社を見つけるのが投資の醍醐味。


・勝てる投資家として最も注力すべき部分は、情報が非効率的となっている市場や銘柄。

情報が非効率な状態で投資を行い、やがてその銘柄が大型株となり、多くの投資家が注目するようになった時が売却のタイミングとなる。

 

・投資の世界は付和雷同して勝利を得られない。一見するとリスクが少ない道の方が、実はリスクが高いということ。


マクロデータは実はあまり重要ではない


・マクロデータは、いわば会社の業績を計る上での外部要因に過ぎないために、株式投資を行う上で過度に意識をしない方がよい。

投資を行う上で気をつけなければならないことは、会社の業績にとっての外部的な要因は、あまり気にしすぎない方が良いということ。


・規模の小さい中小型株なども、景気のような外部要因の影響は当然受けるが、新しい製品やサービスに競争力があり、ビジネスに勢いがある会社の場合は、まだ業界内のシェアも低く景気の波を押し切って成長を続けるようなケースが数多くある。

独自の内部要因としての成長力がある中小株には、外部要因の逆風を払い除けるだけの力がある。


・マクロデータなどの外部要因に一喜一憂して判断を変更するような投資を行っても、成果は上がらない。


・プロでも予想ができないマクロの予想を、どちらかの方向性を信じて投資を組み立ててしまうと、結局は丁半博打の投機になってしまう。為替の短期トレードのように、敗者のゲームに飲み込まれてしまうだけ。
スリリングな思いをするくらいであれば、個別の企業の開示情報やビジネスモデルを自分で調べた方が、遥かに時間や労力、投入するリスクに対するリターンが高くなる。

 

 

5.プロはこうして銘柄を選ぶ


メガトレンドを探せ!


・将来、大化けする会社を見つけるためには、まず世の中の大きな流れを感じることが大切。
マクロ経済がどうなるかとか、現在は景気の山の何合目にあるのかというようなことではない。  

ここでいう「大きな流れ」とは、そのような景気の循環とは別のところにある、世の中の根底を流れている潮流、いわゆる「メガトレンド」のこと。


・メガトレンドとはどのようなものなのか

□IT革命

□金融緩和


・世界の人々は、何の富の裏付けもない通貨が、中央銀行から無尽蔵に発行され、経済的な危機を取り繕うようにしていることに不安を抱いている。

欧米型の資本主義システムに対する不安から、金や土地などの通貨以外の資産を保有しようとする動きが世界中で起きている。


・今の時代は、「国」であっても全面的に信頼できる時代ではなくなってしまっている。私たちは仮に日本経済が崩壊しても、自分の身は自分で守れるような自己防衛力が求められる。その意味でも、資産運用能力を高めることは、とても重要。

 

・大小問わず、誰よりも早くトレンドを掴み、誰よりも先にそれを銘柄に落としこんでいくことが大事。

 

好奇心さえあればトレンドをつかめる

 

・プロのファンドマネージャーは、どういう情報、ニュースソースに注目しているのかというと、実は一般に流通しているものを重視している。


・自分自身でトレンドを見つけにいく時のニュースソースは、みなさんが日頃から接している情報源と、あまり変わらない。


・インターネットになると情報量があまりにも多すぎて、どれを見れば良いのか迷ってしまうが、ネットサーフィンをしながら、今の流れを把握するのに役立ちそうなサイトを、いくつかチェックしておけば良い。

ゲーム業界の場合はこれ、機械業界の場合はこれといったように、各業界に特化した様々なサイトをブックマークしており、手が空いている時にチェックをして、世の中の小さなトレンドをいち早く掴むようにしている。


・点々とした情報を頭の中に入れておくことで、何か関連する情報が入ってきた時、その点と点がすっとつながる瞬間がある。こうしてひとつのトレンドの流れを掴むことができてくる。


・トレンドを掴める人、掴めない人の決定的な違いは、「好奇心」の有無にある。それは「何でも知りたい性」、要するに知性の問題。

長年にわたって生き残っているファンドマネージャーを見ると、やはり好奇心の塊のようで、常にワクワク感を持って仕事をしている人が多い。 そういう人と話していると、「そんなことまで調べているのか」と、驚いてしまうようなマニアックな情報まで調べていたりする。


投資したくなる会社とは?(社長編)


・会社を見る上で最も重要なことは何かと問われれば、間違いなく「社長の質」。
会社の業績が伸びるか伸びないかを決める要素の8割以上は、社長しだいといっても過言ではない。


・残念ながら、日本では職業としての社長業というものがなく、単にプロパー社員で一番出世した人や、親会社から天下ってきた人が社長になるシステムであるため、社長の能力が要求される基準に達していないことが多く見られる。このため、日本株に関しては社長と直接ミーティングをしない限り、その会社へ投資することは基本的にない。


・社長に求められるものは業界の専門的な知識ではなく、イノベーティブな組織づくりなどのソフト面にある。


・日本の上場企業の社長に決定的に足りないのは、「自分のボスが株主であり、彼らの代理人として経営を任されている」という意識。


・社内で出世してトップになっただけのサラリーマン社長であるため、仕方のないことかもしれないが、自分の代では何事もないように任期が終了するのを待つ、というような意識で仕事をしている社長も少なくない。印象では日本の上場企業の7割ほどの会社の社長が、社長業としての責務を完うしていない。


・調べても、何ひとつ社長の人と成りを知る手段が見つからなければ、株主の方を向いていない会社といえるので、投資をする必要はない。これもある意味で重要な情報。


投資したくなる会社とは?(組織編)

 

・強い組織の定義にはいろいろなものがあるだろうが、「フェア」で「オープン」であることを重視する。

組織がフェアであるとは、具体的にいえば、実力主義が貫かれているかどうかということ。
組織がオープンであるとは、いわゆる風通しの良さのこと。


投資したくなる会社とは?(ビジネス編)

 

・社長や組織のクオリティが高いかどうかというのは、投資先の会社を選ぶ上での最低限の条件。


・正直なところ、どれだけ優れた製品・サービスであっても、いつかは必ずブレイクスルーされる時が来てしまう。


・他社がどれだけ研究しても、絶対に真似ができないものがひとつだけある。それが、前述した組織力
なぜ真似できないかというと、組織とは人がつくるオンリーワンのものだから。

企業が競争力を保ち続けるための最強のツールは、組織というソフトウェア。
組織がしっかりしていれば、たとえひとつの製品が他社に真似されたとしても、別の技術やアイデアで新しい製品・サービスを生み出し、企業の命脈を伸ばしてくれる。ひとつのプロダクトには終わりが必ずあるが、組織にはない。これが、組織を見ることを重要視する理由。


投資アイデアの発見


・投資アイデアを見つける方法は様々なものがあるが、オススメはシンプルに考えること。


株式投資は、付和雷同していては勝てない。

「この会社は計画よりも利益が上振れると市場参加者の間で噂されています」と、証券営業マンの勧めに従って株式を買ったとしても、まず勝てない。その情報は、すでに株価に完全に織り込まれているから。


他人とは違う考え方、個性のある視点を持つ人の方が、まだ織り込まれていない価値のギャップを見つけやすい。


・投資とは会社に資金を投じるわけだから、私たちの生活から得られるヒントの方が、学者が述べる高尚な理論よりも価値があるケースだって考えられる。


・実際にいち消費者としての体験から、会社の未来の姿をイメージする。


・会社とは生き物だから、決算書の数字だけを見ていても、その実像は掴めない。


・株で勝つとは、認識のギャップを発見することだから、身の回りで得た知見やアイデアの方が、遥かに他人から聞いた情報よりもフレッシュな状態。


・自分にとって、あまり馴染みがないと思うような会社には、無理に投資する必要はない。

上場企業はたくさんあるのだから、自分が情報の優位にあるエリアで戦えばよい。


より詳細に調査する


・財務諸表をごく短時間でチェックするとすれば、以下のポイント。
 

・「損益計算書」にある売上高、営業利益に丸をつけ、それらの伸び率や営業利益率が改善しているかどうかなどを確認する。
・「貸借対照表」では資産の部の棚卸在庫、売掛金に丸をつけ、これらが売上高の伸びよりも低く抑えられているか確認する。
・負債の部の短期・長期借入金、資本の部の額にも丸をつけ、

ネットD/Eレシオ[(短期・長期借入金 - 資産の部の現預金) ÷ 資本の部]を確認する。
この数点をパッと確認するだけでも、やるとやらないでは大きな違い。

 

・客観的なデータから、その会社へ投資することがどれほどのリスクを持っているのかをイメージしておくと、それがたとえ成功しても失敗しても、経験値として勝てる投資家になるための階段を一段登ったことになる。
これらのアプローチはリターンを高め、取る必要のないリスクを発見するための効率の良い手法のひとつとして、勝てる投資家になるための最低限のスキル。


伸びる会社のサイン


□収益性が向上している。
サービス系の会社であれば営業利益率(営業利益/売上高)、

設備投資の多い製造業系の場合はEBITDAマージン(償却前営業利益/売上高)

などの収益性の指標は、シンプルでありながら会社の実力が如実に現れる。


□経営者がROEの向上を意識している。
稼いだお金をより儲かる事業へ再投資したり、配当や自社株買いなどによって株主に資金をしっかりと返還をしたりしていないと、分母の株主資本が増加してROEが低下することになる。


□収益性の高いところへ投資している。


□多くの人を幸せにしている。


□ガバナンスがしっかりしている。

継続的に高い利益成長を遂げている会社には、社外取締役が多いという特徴がある。
対照的に、創業者が社長と会長を兼務しているような会社はワンマン経営であり、ガバナンスがない。


・本社を持ち株会社として事業会社を傘下に収める、いわゆるホールディングス体制を取る会社もガバナンスが弱い傾向があるから注意。


伸びない会社のサイン

 

□本業と全く関係のない事業を持っている。
経営者が収益性を高めることや、資本効率を良くすることを一切考えていないことがよくわかる。


□中期経営計画に数値目標が明記されていない。
数字でコミットメントができないような経営者は保身に走る傾向があり、注意が必要。


□自社ビルを建設する。


□本社の受付嬢がやたらと美人。
一人一人の生産性が低く、官僚的な組織体であるほど、この傾向が見受けられる。


□社長が業界紙以外のメディアに出始める。
会社の成長に意識を集中させている社長は、自分が成功者であることを世間にアピールしないもの。

 

 

6. ポートフォリオの組み方と勝つ投資家のメンタル


安く株を買う


・長期で投資したり、ポートフォリオを組んだりしている場合は、それほどエントリーのタイミングを気にする必要はないが、それでもやはりひとつの銘柄をできるだけ安く買うに越したことはない。


・腕の良いファンドマネージャーやプロのトレーダーは、売買のタイミング効果だけで、年間で0・5%ほどのパフォーマンスへの寄与があるといわれている。


エントリーのポイント


・1 ドルコスト平均法を用いる
メリットは、時間を分散させることによって、取得期間の平均価格で株を買えるところ。
市場変動の影響を小さくするのがドルコスト平均法
本来、ドルコスト平均法の効果を最大限に上げるためには、定量よりも定額で購入した方が、より効果的。
繰り返していくと、高値で買い付けた株数は全体的に見て少なく、逆に安値で買い付けた株数が多くなるため、平均の買付株価を下げることができる。


・2 テクニカル分析を使う
注意するのは、テクニカル分析のみで勝ち続けることはできないということ。
テクニカル指標はあくまでも投資を決めた銘柄を、少しでも有利な値段で売買するための参考ツール。
ファンダメンタルズとテクニカル分析の両方を用いることが肝心。

 

移動平均
株価はすぐにファンダメンタルズを織り込まず、時間をかけて徐々に織り込むため、株価には一定のトレンドが生まれるという見方がある。
もしも買おうとしている銘柄が、右肩上がりのチャートで、3本の線よりも上にあれば、「株価の上昇トレンドが続いている」と見ることができる。
逆に、右肩上がりが終わり、株価が横ばいから下落へ転じ始め、 50 日線を下にブレイクし、100日線まで下にブレイクしてしまったら、上昇トレンドは終了した可能性があると考える。

 

一目均衡表
最も大切な線である「基準線」、「転換線」という2本の線に対して、現在の株価が上にあれば、株価には上昇トレンドの力があり、下にあれば下落トレンドの力が強いことを示している。
抵抗線支持線としての働きがあるため、ブレイクした時はトレンド転換の可能性があることを示唆している。

 

・RSI
RSIはあくまでも同じレベルのレンジの中で、株価は振り子のように上下するという前提のもとでの指標だから、株価がレンジを超えて評価されるような場合にはまったく機能しなくなる。
少しでも有利な価格でポジションを持つために、客観的に判断を下すツールのひとつとして利用することを心掛ける。


お勧めは長期投資


・推奨するのは、あくまでも継続的に成長を続ける会社への投資だから、そのような会社へ投資をしている限りは、売る時のことなど考える必要はない。


・託したお金を効率良く使い、より多くの利益を還元してくれる会社の株主であるならば、極端な話、一生売る必要はない。

 

・本当に株式投資で勝つ時というのは、何年もかけて株価が何倍にもなっているような時。


・売買をするごとに証券会社に手数料を支払い、短期的に予測のできない相場の乱高下に付き合ってヤキモキしていても、良いことはない。そのようなことをするくらいなら、優秀な会社に長期的な投資をして、配当をもらいながらゆったりとした気持ちで、その会社の利益が成長していく様を眺めていた方が、遥かに効率的。


・相場の変調によって株価が不当に安くなったと思った時は、むしろ追加で買い増しをする。
長期投資家にとって相場の調整は、むしろ「安いショッピングができてラッキー」と喜ぶくらいのマインドが理想。


・勝てる投資家が最も労力を費やすのは、投資をするかしないかの意思決定をするまでの過程。


・一見地味で地道な作業をしっかりやっているカメのような投資家が、トレーディングに集中している瞬発力のあるウサギを大きく凌駕するパフォーマンスを上げる。これは投資の世界の揺るぎない真実。


リターンを大きくするポートフォリオづくり


・結局はポートフォリオに組み入れるひとつひとつの銘柄の認識ギャップの大きさで勝敗が決まる。分散効果を意識しすぎて、相関係数の小さな銘柄を入れることにこだわると、本末転倒となってしまう。これはプロがよく陥るミス。


ポートフォリオを構築する時に一番意識していることは、数学的な分散ではなく、「価値観の分散」。
価値観の議論には、「これが正解」というものがない。
仮に相場に調整局面が来た時でも、お互いのキャラクターが異なることによって、自然と業績も様々な変化を示すため、ポートフォリオは分散効果を発揮して下がりにくくなる。そして好景気の上昇相場では、いずれも優秀な会社なるので、予想以上の成長を示して、期待を超えた成果を上げてくれることが多くなる。


・意図的に分散効果を得る必要はなく、あくまでも自分で自信のある銘柄への長期投資を意識しつつ、キャラクターの異なる多様性を持ったポートフォリオが構築できると、安心して見ていられるようになるはず。


自分に合ったポートフォリオを組む


ポートフォリオを組むメリットは、複数の銘柄を持つことで、リスクを自分のライフステージに合ったものへと調整できること。


金融市場に国境はないので、自分の資産が大きくなるにつれて、リスク&リターンの観点から、より魅力的なものを世界中から集めるような視点を持つことも大切。


・「海外の企業を買うと、為替のリスクも伴うので余計にリスクが増すのではないか?」と思われる方もいるかもしれないが、逆にいうと、円建てですべての資産を持っているということは、日本政府の政策にフルベットしていることを意味する。過去数十年を振り返っても、日本円で日本の資産のみに投資していた人と、資産の一部をドル建てで米国株へ投資している人を比べれば、投資成果は雲泥の差となった。グローバル化した金融の世界で、日本人であるからといって円建てですべての資産を持つことの方が、リスクは高い。


・為替や国債、資源は、マクロ経済を映す鏡のようなものであり、認識ギャップは存在しない。「この国は他の国よりも強くなっていきそうだな」という相対感をもとに、勝ち組のレールに乗り、リスク分散の効果を得ることが目的と考える。


・世界中の資産への分散投資を行っている大手の運用機関のパフォーマンスを分析した結果、パフォーマンスの9割以上は、どの国の、どの資産に、どれくらい投資をしたのかという、資産配分の効果(アロケーション効果)だけで決まっていることが証明されている。


日本株のみから得る果実は、世界の金融市場から見ると、非常に小さなものでしかない。


・給与が上がらない要因は、日本経済が低迷していることと密接に関係があるから、日本株のみに投資をするというのは、効率の良くない勝負をしていることと同じ意味。


勝てる投資家のマインドセット


・投資には「信念」と「忍耐」が絶対的に必要。
スキルや経験は、これらに比べれば大して重要ではない。


・勝てる投資家は、カモとは逆の発想で市場と対峙している。 会社の内面をよく見て、幅広い視野で、合理的な判断をする。注意するのは市場の噂や他人の意見ではなく、自分の投資哲学がぶれていないかどうか。


・相場が早く動いている時ほど、視点を大きく構え、ゆったり考えて行動し、相場がゆっくり動いている時ほど、素早く考えて行動する。


・勝てる投資家は、最終的に株価が、会社が稼ぐ将来のキャッシュフローの現在価値に収れんしていくことを知っている。時間を味方につけ、会社の価値が上昇するのを待つ。


ウォーレン・バフェットは「納得できる価格で買えた株は売る時のことなど考えなくてよい」と言うが、そのようなストックをいかにたくさん積み上げるかが、資産運用で成功する人と失敗する人の差。

 

 

 

以上。これらの知識を活かして、信念と忍耐をもって「勝つ投資」「負けない投資」を始めてみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

 

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