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Article Memories vol.7: 週刊東洋経済  1/9号:富裕層マル秘マネー学

Theme: 金融・経済・政治

Time: 約15分

Difficulty: 

 

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ニュースの核心 

米バイデン新政権の対中政策は「人権」が軸に (政治)

 

・1月20日に発足する米バイデン新政権の経済政策で最大の焦点といえるのが対中政策だ。

先端技術をめぐる米中デカップリングは加速している。バイデン氏は習近平国家主席を「100万人のウイグル人を収容所に入れた悪党」と呼び、香港の国家安全維持法を含めた中国の人権抑圧を強く批判。「米国の市民と企業の自由が侵害されればすぐに経済制裁を科す」と、強硬姿勢を示している。また、トランプ政権による対中制裁関税をすぐには撤回せず、まずは第一段階の米中合意を検証し、同盟国と協調して新たな対中戦略を策定する方針だ。

 

・中国が「5中全会」で強調した「科学技術の自立」に対し、新たな戦略が必要と説く。これまで米国は「中国製造2025」に脅威を感じ、EL追加や対米外国投資委員会(CFIUS)の審査強化などで中国封じ込めを図ったが、今や中国は技術自立の道を邁進中と指摘。規制強化だけでなく、自らがイノベーションを強化せねば中国に侵食されると警告する。

 

・ねじれ議会が続いても唯一、中国問題では超党派の協力が可能だとしている。中国はより攻撃的になったとし、同盟国と連携した対中圧力や国際機関における米国復権の必要性を強調している。

つまり、対中脅威論は超党派のコンセンサスであり、バイデン新政権は人権を軸に強硬姿勢を続ける。対中輸出・投資規制は維持され、制裁関税も早期撤回はない。さらに、中国の技術的自立に対抗する国内投資が重要課題となる。

 

・米中両国との関係が深い日本としては、直接対話や国際会議などを通じて、世界経済への悪影響を最小限に食い止める方策を提示していく必要があるだろう。

 

スペシャルリポート 

村上ファンドがやってきた」 物言う株主に怯えるゼネコン (金融)

 

物言う株主(アクティビスト)として知られた村上世彰氏の流れをくむ村上系ファンド。彼らが大手・中堅ゼネコンの株式を次々と買い増していることが明らかになった。

 

建設業界に狙いを定めるアクティビストは村上系ファンドだけではない。英国の年金運用会社シルチェスター・インターナショナル・インベスターズ奥村組の株式を買い増した。

 

村上氏は著書の中で、投資対象の条件として業績が安定していてキャッシュリッチなのに株価の低迷が続いていることを挙げている。

 

アクティビストの動きを受け、建設業界から2つの反応が出ている。

1つは、各社が株主還元策を次々と打ち出していること。アクティビストの登場が株主還元に意識を向けさせるきっかけになったといえる。

もう1つの反応は、業界再編の動き。「建設業界には統廃合などの再編が必要。談合体質が残っているなど業界全体が古い体質のまま。こんなことになっている業界は見たことがない」という。

これまでは豊富な新築需要に支えられ、儲けを業界全体に分配できたが、今後は人口減少を背景に中長期の成長は期待しにくい。高齢従業者の比率も高く、若手人材も不足がちだ。このままでは多くの課題や環境変化に対応できず、もはや業界再編は避けられない。

村上系ファンドの攻勢があぶり出した、建設業界の構造問題。業界に変革をもたらせるのだろうか。

 

 今後は3つのシナリオが考えられる。

1つ目は、技術者や建築技術を囲い込む目的で、近隣の他業種会社が建設会社を買収する動き

2つ目は、複数の専門業者が集結するグループ化。建設業界のM&A成約件数は年々増加しているという。

3つ目のシナリオは、技術提携を軸にした広域連携

 

村上系ファンドの攻勢があぶり出した、建設業界の構造問題。業界に変革をもたらせるのだろうか。

 

フォーカス政治 

なぜ菅氏はGo Toで判断を誤ったか (政治)

 

・「Go To トラベル」が東京都を筆頭に北海道、大阪府などで新型コロナ感染の急拡大を招来したと、国民が受け止めている。「Go To トラベル」は、菅氏が経済社会活動再開に不可欠と判断したのである。医療機関を引っくるめて「医療ビジネス」と見なす思いがいささかでも胸中にあったのではないか。しょせん、「利」を求める業界であると。

 

「菅流」の政治手法とはいかなるものか。端的にいえば、「トップダウン」である。

菅氏は「国家ビジョン」に欠け、外交・安全保障政策の知見と経験がない。

金融・財政政策、経済産業・エネルギー政策から外交・安全保障政策に至るまで、自ら決めるのが「菅流」だというのだ。一例を挙げると、菅政権の肝である「グリーン戦略」がわかりやすい。国際エネルギー機関(IEA)の「水素レポート」では、エネルギーシステムの脱炭素に水素が果たしうる幅広い可能性に言及した。これを「菅流」で昇華させようとしている。すなわち、再生可能エネルギーとしての水素に関わる戦略立案全般は経済産業省外局の資源エネルギー庁新エネルギーシステム課と、水素の製造・貯蔵・運搬拠点として港湾を担当する国土交通省港湾局産業港湾課を束ねて推進する。まさに「行政の縦割り弊害」打破の象徴にするのだ。

 

一方、先に発表した事業規模73兆6000億円の追加経済対策にも「菅流」が見て取れる。個人的な価値観である「自助」を反映しているのだ。安倍前政権で実施されたさまざまな現金給付策の出口を視野に入れながらも、ひとり親世帯が対象の臨時特別給付金の20年内再給付は例外とし、「自助」と「公助」の視点を盛り込んでいる。
 コロナ次第の様相であるが、問われる真価は今春に明らかになる。

 

グローバル・アイ 

コロナ禍の「丑年」株式相場 ブルとベア、軍配はどちらに? (金融)

 

2020年の株式市場は強気の展開となった。

 

では、21年はどうなるのか。

ブル側を支えるのは20年と同じで、大規模な金融・財政政策を受けて楽観論が強まる筋書き。

その代表が米国。バイデン次期政権によって米国が国際協調路線に復帰すれば、市場にさらなる追い風となる可能性もある。コロナ禍からの経済復興を確実にするためには「何でもやる」という流れが主要国政府の間で強まる展開が考えられるからだ。気候変動対策でも国際協力の進展が期待できる。循環的な景気回復との相乗効果も踏まえるなら、一連のプラス要素が指し示すのはブルの優勢である。新たな混乱が起こらない限り、強気相場は勢いを保つ。

 

ベア側の理屈はどうか。

まず、事実として株価は割安といえる状況にはない。とりわけ米国株がそうだ。確かに株価のバリュエーションが高騰したからといって、それだけで下落トレンドに火がつくわけではないが、間違いなく警戒要因にはなる。現実に下落トレンドが訪れた場合には、山高ければ谷深しで株価はつるべ落としとなるだろう。

 

次の3要素が相まって押し下げ要因となる可能性もある。

第1は、ワクチン接種が始まったことで、テクノロジー株を含む在宅関連銘柄に集中していた資金の流れが分散する可能性

第2に、テクノロジー株の大幅な上昇は終わりに近づきつつあるとの見方。これは巨大テック企業の独占状態に対する各国規制当局の介入度合いに大きく左右される。
第3は、循環的な景気回復が強まった場合に各国が財政・金融政策の引き締めに転じる可能性。例えば想定外のインフレ再来となれば、政策担当者の選択肢は狭まる。とはいえ、先進国のインフレ目標は未達が繰り返されてきたことも忘れてはならない。

軍事紛争の勃発や新たなチャイナ・ショックなど、弱気相場につながるリスクはほかにも多数思いつく。

 

ドル相場については、ドル安の可能性のほうが強いとみている。そうなればコモディティー(商品)に資金が向かうはずで、新興国に有利な展開となろう。

 

全体的に見れば強気派だ。

ただ、21年は投資家にとっても、あるいは誰にとっても、「平凡」の2文字とは懸け離れたものになるだろう。

 

グローバル・アイ INSIDE USA 

同盟国に苦しい決断迫る バイデンの「対中包囲網」 (政治)

 

バイデン次期大統領の就任式が近づく中、同氏の対中政策が1つの注目点になっている。外交上の最重要課題になるとみられるためだ。

 

・トランプ外交を批判してきたバイデン氏だが、中国については似たような強硬路線を唱えているバイデン氏の対中政策の基本は、同盟・友好国と足並みをそろえて中国の問題行動を抑え込むことにある。人権問題も一段と重視されるようになるだろう。

対中外交は一筋縄ではいかない。軍事、貿易、テクノロジーという目に見えやすい問題に加えて、政治的・倫理的価値観に関わる抽象度の高い問題が複雑に絡み合う。さらに気候変動、水産資源保護、疫病、宇宙軍拡競争といった世界共通の課題に対処するには中国の協力が欠かせない。ハイテク分野で導入された厳格な輸出管理、投資規制もあらかた維持されることになろう。

 

トランプ政権との違いは、規制措置で他国と“統一戦線”を組もうとしていることだ。つまり、他国は中国との対決姿勢を鮮明にするという苦しい決断を迫られる可能性がある。バイデン政権は防衛面でも対中抑止力を高めるために多国間協力の強化に動くとみられる。新疆ウイグル自治区や香港の人権問題で中国にどれだけ強い圧力をかけるかも、同盟国間で摩擦の種となるおそれがある。

 

責任は中国にもある。世界の安定と繁栄に向けて、中国は身勝手な外交や経済的・軍事的な恫喝を改める必要があることに気づかなくてはいけない。

 

・バイデン政権の国際協調路線によって焦点は再び中国にシフトする可能性がある。

 米日欧、インドなどの関係国が、内政上の難しい利害関係に整理をつけながら、それぞれの対中戦略に国際的な筋を一本通さなくてはならない。生半可な課題ではない。だが、各国が努力するだけの価値はある。

 

マネー潮流 

レアディザスター・モデルの陥穽(かんせい) (金融)

 

2020年のグローバル市場における最大のトピックは、コロナ危機下における株価の大幅な反発だったといえよう。企業収益が減速する中でもPER(株価収益率)が大幅に切り上がる形で株価が上昇した。

 

単純な株式投資理論に基づけば、株式のリスクプレミアム(リスクに応じた利回り)は株価収益率の逆数である益回りリスクフリーレート(無リスク利回り。国債など)との差として算出される。イールドスプレッドともいわれ、現在、これは4%弱である。かつて、株式のリスクプレミアムは消費者の一般的な経済行動(この中には株式投資も含まれる)におけるリスク選好度との対比で高すぎるという研究があった。エクイティー・プレミアム・パズル」と呼ばれ、当時推計された「あるべき株式のリスクプレミアム」は1〜2%であった。

 

なぜ株式のリスクプレミアムが恒常的に高いのかについて多くの経済学者が仮説を提示しているが、そのうちの1つに、「レアディザスター(まれだが起こりうる大惨事)・モデル」がある。何十年かに一度の大災害や戦争などによって経済や企業収益が大きな打撃を受けるリスクを計算に入れた結果、株式のリスクプレミアムは高めに設定されているというものである。もし「レアディザスター・モデル」の考え方が正しいのであれば、これだけ立て続けに「ブラックスワン(マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象)」的な事象が発生すると、株式のリスクプレミアムは上昇してもおかしくない。

 

現在の市場は、わずか十数年の間に「ブラックスワン」のような事象を何度も目にしたことで、「危機慣れ」してきた面もあるのかもしれない。どんな「危機」が起きても、政府や中央銀行がマクロ経済政策で救ってくれるという強力な「経験」を積み重ねてきた結果としての「慣れ」である「危機」が「レア」でなくなってきた結果、リスクプレミアムが低下し始めているのだとすれば、大いなる皮肉である。

 実は政府や中央銀行が埋め合わせできる「危機」は、本当の意味での「危機」ではない可能性がある。もしそうだとすれば、将来、本当の「危機」が起きたときに、市場は織り込んだリスクプレミアムの適否を問われることになる。

 

 

【第1特集 富裕層マル秘マネー学】 (金融)

お金の達人のポートフォリオに学ぶ 富裕層 マル秘マネー学 

 

ハイリターンではあるものの、物価上昇や通貨安が続きリスクも高いとされるトルコ債券を購入。

 

「これまでは長期の分散運用を基本としていたが、コロナ禍後の経済情勢の中で、資金を寝かせておくことは逆にリスクと考え、短期投資に切り替える富裕層が増えている」。

 

・「株や債券では、儲けが出づらくなっている」。

日経平均株価は20年春から20年末にかけてほぼ右肩上がりで2万6000円を突破。一方、国債の利回りは日本のみならず米独でも惨憺たる状況。

 

自ら会社を上場させ、多額の資産を得た経験のある企業経営者たちは、その成功体験から、上場前の企業に投資する「未上場株投資」に向かう人が多い。10社に投資して1社でも上場すればいいほうでかなりのハイリスクであるため「究極の投資」ともいわれるが、投資先企業が大化けして上場し、株価が上がれば、とてつもなく大きな利益となって返ってくる。目利き力がある富裕層でなければできない投資だ。

 

開発に伴って値が上がったところで売却する「ランドバンキング」を手がけているのだ。「情報が命で、投資家同士の口コミで投資している。未開発の土地で不動産価格も低いので数千万円レベルで購入でき、数億円に化けることもある。企業経営者をはじめ、多くの日本人富裕層が手がけている」という。

 

彼らが投資しているものはいずれもハイリスクなので注意が必要。安易に飛びつくと大きな損を抱えてしまうこともある。百戦錬磨の企業経営者でさえ、詐欺に巻き込まれているからだ。そうしたリスクについても併せて掲載しているので参考にし、ハイリターン投資を目指していただきたい。

 

政府の支援策で資産価値上昇 コロナ禍で膨らむ富裕層資産 

 

・日本の富裕層は13年以降、富裕層になった人が一貫して増加している。「株式などの資産の価格上昇により、富裕層・超富裕層の保有資産額が増大したことに加え、金融資産を運用している準富裕層(5000万円以上1億円未満)の一部が富裕層に、そして富裕層の一部が超富裕層に移行したため」という。

 

新型コロナウイルス対策で各国政府がさまざまな金融支援策を実施したことにより、世界にはマネーがあふれている。そのため、株をはじめとする金融資産にどっとマネーが流れ込み、株価が大きく上昇した。「コロナ禍が長期化しており、各国政府の金融支援がいつまで続くのか。そうした支援策が息切れしたとき、企業倒産が相次ぐなど景気が一気に冷え込む可能性がある。そうなれば株価も下落、富裕層の資産が大きく毀損する」という。

 もちろん、富裕層や超富裕層もそうした可能性についてはすでに意識しており、今まさに新たな資産に投資するなど、投資行動を大きく変化させている。

 

Part1 富裕層の儲け方 

期待リターンで富裕層を4つに分類 資産運用マル秘テクニック 

 

外資エリートタイプ」

15〜20%と高いリターンを目標としている。

運用のメインは株式投資。インデックスよりも価格の変動が大きい個別株に投資し、より大きなリターンを目指す。金融やテクノロジーに対する理解も深いため、仮想通貨ヘッジファンドなど、最新の投資テーマもポートフォリオに組み入れることがある。終業後の時間も投資に充て、情報を集めるのはもちろんのこと、1日数時間パソコンの前に座り、FXにチャレンジするという積極的な人もいる。

 

3 外資エリートタイプ 

仮想通貨・FXで荒稼ぎ

 

・「新型コロナ対策で、各国政府が財政拡張路線に走ったことで、法定通貨の信認が揺らいでいる。そのため、法定通貨以外のところに資金を逃避させたい」という。つまり「金」と同様、ビットコインは安全資産への逃避策という位置づけ。もちろん、富裕層や機関投資家も、リスクの大きさは意識している。「お金を入れていても、ポートフォリオの数%」というのが一般的だ。

勢いを加速したのは、米決済大手のPayPalが20年10月に仮想通貨サービスへの参入を発表したこと。「顧客が買っているのはほぼビットコイン。時々、イーサリアムを買っている人がいる程度」という。「仮想通貨の7割程度を占め、流動性が高いビットコインでも十分値動きがあるのでリターンは得られる」からだ。ほかにも、De−Fi分散型金融)銘柄は雑所得となるため、税率が最大55%と高い。

 

FXでは最大25倍までレバレッジがかけられるが、実際には5〜15倍程度のレバレッジで取引している人が多い。「ニュースよりもチャートのほうが重要」「経験しかない。チャートを見ていると、次の瞬間に『こっちに動くだろうな』というのがわかってくる」という。

 短時間で高いリターンを上げられる可能性があるFX。リスクに鑑みると、兼業で経験を積みながら挑戦するのが現実的かもしれない。

 

ヘッジファンド投資の正体

ヘッジファンドの最大の特徴は、株式市場などの動きとは連動しない絶対リターンを目指すこと。多くのヘッジファンドにショート(株式のカラ売り)が組み込まれているからだ。

 

・代表的なのは株式ロングショートと呼ばれる投資戦略。一般的には、割安株を買いつつ割高株をカラ売りすることで市場全体の価格変動の影響を抑えながら、個別銘柄の成長による利益を得ようとする。

 

裁定取引アービトラージ)で稼ぐ商品もある。例えば、企業の買収や統合が発表された際に、TOB(株式公開買い付け)価格に株価が収斂する前に株を買い、TOBに応じることで差益を得る。

 

・一方、最近注目されているのはデジタルやヘルスケアなどテーマを絞って投資するタイプのヘッジファンド日本には個別銘柄のショートを組み込んだファンドがほとんどなく、アクティブ投信と差別化できている」という。

 

・最近では1000万円程度から投資できるようになったこともあり、IFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)経由の成約が増えている。信託報酬は2〜3%とアクティブファンド並み。ヘッジファンド投資のハードルは意外と低いといえる。

 

メガバンクの100倍以上の銀行も 定期預金で殖やす裏技

 

「預金はどこに預けても同じ」と思いきや、実際はそうではない。銀行やキャンペーン次第では、メガバンクの100倍以上の金利を受け取ることもできる。

 

・ネット銀行など全国規模で営業している銀行では、定期預金のキャンペーンで0.2%を超える金利を受け取れる銀行もある。金額が大きくなったり、期間が長くなったりすれば、より高い金利も狙うことができる。口座の管理は複雑化するが、より高い金利がつくタイミングを狙って複数の銀行に預金し、満期が来たら次の銀行に移すことで、着実にお金は殖える。銀行を使い倒せば、眠っていたお金を生かすことができそうである。

 

一獲千金狙いで大人気 フィンテックサービスの真価

 

ソーシャルレンディング」と呼ばれる新たな金融サービスではネット上で投資家を募り、そこで集まった資金を企業に融資。投資家は融資で得られた金利収益を分配金として受け取る。利回りは2〜10%程度となっている。ソーシャルレンディングで投資を考える際に重要なのは、どこで投資をするか利回りが低い案件でも「銀行が1%未満で融資しているような企業に2%で融資できるなら、割はいいのではないか」と考える投資家もいる。企業の中には、「自社のファンとなる投資家を獲得するために、この方法で調達するところもある」という。掘り出し物を見つけることが安定して収益を獲得するカギだといえる。

 

より大きなリターンを目指す投資家には、「株式投資クラウドファンディング」という方法もある。集めたお金を融資する代わりに、未上場株式に投資する。投資家は、株を取得し、分配金ではなく値上がり益を狙う。対象の企業が上場したり、買収されたりして、投資回収に至れば、一獲千金もありうる。一方で、企業が解散してしまえば、紙くずになるリスクもある。未上場会社の株式は相対取引が基本で流動性が低く、売却したくても売却できない点には注意が必要である。

 

・こうした新たな金融サービスに対し、投資家からは「魅力的だが、まだ案件数が少ないのが難点」という声も聞こえる。株式型には1件当たりの投資額に上限も付されている。
 富裕層にとって魅力的な投資機会となるためには、今後の規制緩和や案件数の増加が不可欠である。

 

富裕層の儲け方 

富裕層向け事業は最後の成長分野 猛攻勢かける証券会社

 

野村ホールディングスは「パブリックからプライベートへ」を旗印に、富裕層向けサービスの拡充に取り組む。オーナーが経営する法人に対しては、資金調達やM&Aなどに関与することで収益を得ようというのが狙いだ。

 

三井住友フィナンシャルグループSMBCプライベート・ウェルスという新ブランドを20年4月に立ち上げた。グループのSMBC日興証券を主体として、三井住友銀行信託銀行が1つにまとまり、企業オーナーを中心に取引を拡大する作戦だ。

 

・単純な株式売買仲介はSBI証券楽天証券などのネット証券に奪われてしまった。そのため、税金対策や事業承継といったオーダーメイドで対応しなければならないビジネスへと向かわざるをえなくなっている。ただ、こうした分野は株式売買仲介と比べて手数料が厚く、証券会社にとっては最後の成長分野でもある。中でも株式の新規公開(IPO)にチャンスがあるとみている。IPOには証券会社の協力が法律上不可欠で、まず主幹事証券になることで手数料収入を得られる

 平時の資産運用でほどほどに稼ぎつつ、事業承継やIPOなどのタイミングで大きな利益を得たいというのが証券会社の本音だ。そのためには金融商品以外のサービスでも富裕層に「尽くして尽くして尽くしまくる」など、証券会社が富裕層に群がる構図は当面変わりそうにない。

 

リーダーのためのDX(デジタルトランスフォーメーション)超入門 

第10回 「取締役会」の布陣でわかるDXの実行力

 

セールスフォース時価総額約20兆円)は、同じ法人分野の巨人であるマイクロソフト(同約170兆円)の牙城を切り崩すべく、コロナ禍での株価上昇をテコにした株式交換による買収など、法人顧客の拡大手段を模索していた。その中で多くの顧客を抱えるスラックは有望株だった。

 

買収が“結婚”であれば、事業会社のコーポレートベンチャーキャピタルCVC)による投資は“お見合い”だ。お見合いのない結婚ではシナジーが出づらい。CVCの運営を外注せず、目利き力と実績のある投資のプロを雇えば、よい案件が見つかるだろう。シナジーを生むには、創業者と一緒に戦略を進めることが望ましい。そうでなければ、現在米競争当局が調査を進めているように、単に競合を買収しただけと見なされる可能性もある。

 

・デジタル時代のビジネスモデルはハードウェアソフトウェアサービスの3要素がそろうことが重要だ。取締役会や役員構成では、これらに精通した人材のバランスを考える必要がある。20年12月には、金融庁東京証券取引所が21年春に改訂する「コーポレートガバナンス・コード」で社外取締役を3分の1以上にすることを求める、という報道もあった。なお、米国企業では社内取締役が1人だけというケースも多い。取締役への登用が社内での“ご褒美”になってはいけない。業界外からも危機が迫る時代には、社外取締役も含めた多様な知恵が必要だ。社内昇進では社長や執行役員がゴールとして適切で、法務の専門家を登用するなら監査役という選択肢もある。現状では日本企業の取締役会は社内人材が大半。社外取締役コーポレートガバナンス・コードに沿って形式的に置いていることが多い。これではDXも進まず株価が低迷し、投資ファンドに株を買い占められたり、スチュワードシップ・コード機関投資家の行動規範)の普及により、大手資産運用会社からは株主総会などで企業統治の改善を要求されたりしてしまうだけだ。
 日本の株式市場はお金の出し手の半分以上が外国人投資家であるため、世界の潮流は無視できない。コロナ禍の教訓を生かすためにも、取締役会の本来の趣旨に立ち戻り未来を見通せる布陣にすることが喫緊の課題だ。