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Book Memories vol.8:これからパンローリングの投資本を読む人へ

Theme: 金融

Time: 約20分

Difficulty:

 

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 投資するうえでは、価格の暴落を利用する方法、価格の行き過ぎからのリバウンドを利用する方法など様々な手法があり、株式、債券、不動産、コモディティ、保険など金融商品も様々である。随時新しい金融商品も開発されており、エンドレスである。

また、人によって性格、資金状態、リスク許容度が異なるため、投資家によって最適な投資手法も異なってくる。

 

 つまり、万人受けで誰でも利益を上げられる最強な投資手法などは存在せず、自分に合った投資手法を模索する必要があるといえる。

自らが長期的に継続できる手法を探すために、他人に惑わされず、自分に合った投資手法を研究する。「準備」と「売買」にかける時間の比率が9:1となると言われるように、事前の丹念な準備が不可欠となる。

自分で積極投資を行い、逐一記録を取って研究し、試行錯誤しながら自分の「脳ポートフォリオ」を構築していくことで、投資を通じて長期的に利益を生み出し、より幸せな生活を送ることが確実になっていく。

 

 今回そのようなことを学んだのは、

 

これからパンローリングの投資本を読む人へ

 

塩見努著 パンローリング株式会社

 

という本。

 

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link below  ↓

 

 自分なりに大事だと思ったところをまとめたので、興味のある方は読んでいただければ、と思う。

 

 特に本を読んだ上で自分なりの解釈だったり派生させたことを書いたりしているわけではないが、一種の教科書的な感じで大事な点をさくっとまとめ、自分の知識の幅を広げていくためのアウトプットのツールとして使うことにしている。また記事の最初にVocabs欄を設け、キーワードや専門用語などを載せているので知識を効率的に広げていただきたい。読者の方々にはもし知らないことがあれば身につけていただきたいし、ただ要約しているだけなので、よくわからない点があれば自ら購入して読んでいただくなりと、自由に使っていただければと思う。

 

 

 

 

 

 

  [Vocabs]

 

ポートフォリオ:投資で長期的に勝つためには「心理」「手法」「資金管理」の3つを自力で構築しなければならない。「心・技・体」とも表現できる。


塩漬け:買った株を売り手仕舞わずに放置すること。

 

情報商材:株式、FX、先物などの投資情報をインターネットで販売すること。

 

ファンダメンタル分析:個別株投資であれば、金利や経済指標(GDP速報値や失業率など)、あるいは各企業の定量的データ(業績予想や財務諸表など)や定性的データ(経営方針など)から、株式の「価値」を判断する方法。


テクニカル分析:過去の価格や出来高のデータを加工して作成した指標の動向から、値動きの方向性や節目を予測する方法。
出来高、RSI、ストキャスティックス、サイコロジカルライン、DMI、RCI、MACD、ボリュームレシオ移動平均乖離率、ボリンジャーバンドパラボリック、逆ウォッチ曲線、新値足、ポイントアンドフィギュア、一目均衡表……など、さまざまなテクニカル指標を簡単な操作で表示できるようになった。これらの指標を利用して相場展開を把握し、売買のポイントを明らかにしようとする試み。

 

割安株投資:株価では過小評価されている企業を見つけ出す。

 

成長株投資:優位性(競争力)と勢いのある企業を見つけ出す。


材料買い:例えば「上方修正」「増収増益」「吸収」「合併」「中国マネーで第三者割当増資」といった発表記事を見て、思わずその銘柄に飛びつく人。

 

トレンド:相場の大局的な方向性。

「上昇トレンド」「下降トレンド」「横ばい」の3つの局面から成る。


上昇トレンド:直近の最安値を切り上げながら直近の最高値を更新している局面。


下降トレンド:直近の最高値を切り下げながら直近の最安値を更新している局面。


横ばい:方向性なく一定範囲内で往来している局面。


押し:上昇トレンドで発生する一時的下降。


戻り:下降トレンドで発生する一時的上昇。


サポートライン支持線

安値が支えられた形になる節目。


レジスタンスライン抵抗線

高値が抑えられた形になる節目。


ブレイクアウト:ラインが明確に突破されると、雪崩を打って次のラインへと向かうこと。

 
三空叩き込み:陰線が3本連続して窓(前日安値よりも当日高値のほうが安いため、両者のローソク足に空間が生じている状態)を開けながら下げた場合、翌日上昇に転じる傾向が見られるというもの。
しばしば逆張りの短期売買法として取り上げられる。

 
大数の法則:ある試行によってある事象が起こる確率は、その試行がほかの試行に影響しないかぎり、その試行を何度も繰り返すことで近づいていく、という法則。


ペイオフレイシオスリッページ=実際の約定値のズレや、勝率だけなく、勝ったときの利益と負けたときの損失の比率も考慮しなければならないときの比率。

損益レシオ」「損益率」「ペイアウトレシオ」などと呼ぶ人もいる。

 

トレンドフォロー:大局的なトレンドに乗ろうとすること。

ポジションをある程度の期間にわたって保有して大きな利益を取りにいくため、勝率 40%以下でもうまく運用できる人がいる。


期待値プロフィットファクター=PF。

回数をこなしたときの総利益と総損失の比率を示すもの。

期待値とは、総利益を総損失で割ったもの。

 
スキャルピング :日中のわずかな値動きを狙って、売買を繰り返す。


デイトレード:日中の値動きを狙って、当日中に売買を終わらせる。


スイングトレード:2~3日単位の振れ幅を狙う。


トレンドフォロー: 数週間~数カ月単位の大きな値動きに乗る。

 

システムトレード:過去データを検証し、一定の優位性を見つけ、これからもその優位性が通用すると考えて機械的に売買するやり方。

 

 ・トレーディングエッジ入門:ボー・ヨーダー著、パンローリング社。

 
プロスペクト理論:02 年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーの理論。
人は利益が出ている局面と損が出ている局面で、リスクのとり方がいかに違うか、それが売買の意思決定にどのような影響を与えているかを理解できる。

 

レファレンスポイント:物事を評価し、心理や感情が動く基準。

 

初頭効果:人間の行動は最初に記憶した特性、第一印象に大きく左右されるということ。
投資では「偏見」「迷信」「思い込み」といった弊害として現れる。

 

現状維持のバイアス:初頭効果と似た人間の性質。
最初に与えられたものを維持しようとする傾向。

 

落ちてくるナイフをつかむな:よく出てくる相場格言。
急落して割安になったからといって「値ごろ感」で逆張り買いを仕掛けると痛い目にあうという教え。

 

親近効果:人間の行動が最新の情報に大きく左右されるということ。

 

 ・心の会計:メンタルアカウンティング。

人間の潜在意識。

例えば、給与で受け取ったおカネは慎重に使うのに、ギャンブルやトレードで稼いだおカネはパーっと使ってしまう。

おカネに人間は色をつけようとする。

 

ストップ注文:「相場がここまで上昇したら 買い 注文が起動する」「相場がここまで下降したら 売り 注文が起動する」という条件を加えた注文方法。
高くなったところを買い、安くなったところを売るので、不思議な感じがするかもしれない。しかし、ストップ注文を駆使することで売買に幅が出てくる。
ゲームオーバーにならないように、売買ルールを検証し、資金管理計画を立てることが重要。

 

分割売買:前もって売買ルールのなかに、2回もしくは3回に分けて仕掛けるルールがあり、しかも損切りポイントと最大許容リスクを決めているならば、問題ない。
分割売買がナンピンと違うのは「計画性」があること。
「何回までポジションを増すのか?」「どの価格・時間軸でポジションを増やすのか?」「いつ売却するのか?」といった時間分散と投資資金の分散が、前もって売買ルールで練られている。

分割売買は経験を重ねるほどに重要になってくる分野。

 

トレイリングストップ:例えば買いポジションを持っているとして、相場が上昇し、有利な方向に展開しているうちは、高値に連動して売りストップ注文の位置をずらす注文方法。

相場が有利な方向に進むほど大きな利益を確保できるので、多くの投資家が利用している。


資産曲線:運用資産の増減を表すグラフ。
資産は増えたり減ったり、波のような形を描きながら増えていく。

ただし増えていくのは、上級者や中級者の場合。初級者の場合は、程度の差こそあれ、減っていく。良い時期はあるが、客観的に見ると下げていく。

 
OOPSデイトレードで有名な戦術。ラリー・ウィリアムズの開発した

「前日の安値よりも安い価格で始まり、前日の安値を上抜いたら買い」

「前日の高値よりも高い価格で始まり、前日の高値を下回れば売り」という戦術。

前日の展開や材料に踊らされた投資家が、相場が始まる前に注文を入れたことで、窓(ギャップ)を空けて寄り付くことがある。しかし、結果的にその寄り付き付近が、それまでの流れの大底や天井になると、投資家は「 おっと 失敗だ」と損切るため、大きく逆流する。その流れをとらえようとする戦術。

 

フィルターをかける:大きな傾向を見出し、さらに条件を加えることによって確率を高めるということ。

 

アセットロケーション:株式・債券・通貨・商品・不動産などの「アセットクラス(資産クラス)」にそれぞれの役割を分担(配分)させること。


リバランス:増えた資産クラスを初期の割合まで減らし、その利益、もしくは資金を追加して、減っている資産クラスを一定の割合まで増やす。

ポートフォリオ管理のコツ。

 
ジャンク債:信用リスクの高い、高利回りの債券 のこと。

特に外国の企業は、日本に比べて早めに倒産する傾向があるから、外国社債には注意が必要。

 

絶対収益:株価が上昇局面でも下落局面でも横ばい局面でも収益を出すことに注力するということ。

 

ロングショート:いろいろな方針があるが、買い仕掛け(ロング)だけでなく、売り仕掛け(ショート)を利用して下落相場でも利益を狙うのが大きな特徴。


ボラティリティ:平たくいえば相場の動きやすさ。


仕組債:オプションやスワップの概念を含む。

 

分配金:ある期間の運用成果を投資家に配分するもの。

運用での売買益、保有株式の配当金、保有債券の利子収入が主な原資。


ドルコスト平均法:毎月、同じ金融商品を一定金額分購入していく方法。

メリットは、その金融商品の評価額が高いときに少量、安いときに大量に購入することになるから、毎月同じ数だけ購入するよりも、平均買付単価を低く抑えられること。

 
積立貯蓄:積立投資と似て非なるもの。

単に「積立貯蓄をしているくらいなら、積立投資をしていたほうがましだろう」という感覚で積立投資を選ぶのであれば、むしろ積立貯蓄をおすすめする。


個人年金保険:保険会社が取り扱っている商品。

 

 

 

 

 

 

 

 本文

 

 

 

[1.投資の勉強をしよう!]

[2.売買ルールをつくろう!]

[3.投資家心理と資金管理]

[4.人生計画と投資スタイル]

 

 

・資産形成が目的ならば知識や理論だけでなく、個人が実践的に勉強をして「自分だけの投資スタイル」を身につけたほうがよい。


・自分だけの投資スタイルを切り開くのに最も望ましい方法は、投資の成功者に直接指導してもらい、「自分なりの投資の中核」を養成すること。


・投資家を成功に導く手法は、けっしてひとつだけでなく、多種多様。


・投資というものは、少なくとも、成功者、そして失敗者に見られる投資に対する思考と姿勢を知らなければ、最終的に損をするようにできている。


・どうしたら「成功者の思考と姿勢」を学べるか。

回答は、ありきたりだが「本をたくさん読むこと」。

 

 1.投資の勉強をしよう!


最低限の常識


・「最低限の常識」を身につけるには、単に本を読んで知っているだけで十分といえない。自分で実際にやってみて、経験を重ねて知識を身につける「修行期間」が必要で、いたずらに経験を重ねても意味がない。見知らぬ森の中を何の準備もなく 漠然とさまよい続けながら、その歩き方を修得していけるほど、投資の世界は易しく(優しく)ない。


・投資の世界を生き残っていくためにも、また、ぼったくられずに自分に合ったガイドを見る目を養うためにも、いずれにせよ、まずは「相場にはねられたら大ケガをする」ぐらいの常識を知っておく必要がある。


・投資初心者ほど、パッと答えの書いてある本を手にとろうとする。しかし、その答えをそっくりまねても、勝ち続けるのは難しい。投資で簡単に勝ち続ける方法はなく、最終的に自分で道を切り開いていかなければならない。


・答えだけ求めても無駄。
答えだけを求めていても、長期的に資産を増やすことはできない。


・今では「成功者」と呼ばれる投資家も、最初は素人。しかし、大多数の敗者と違うのは、何度かの挫折を乗り越え、試行錯誤を繰り返しながら「自分なり」の脳ポートフォリオを構築していったこと。


・自分の手法を自分のライフスタイルに合わせて、具体的に取り入れていく。


・株式やFX(外国為替証拠金取引)投資での最終的な勝者は、10%程。

だれも敗者にはなりたくないはずなのに、多くの人が敗者になっているという事実がある。敗者にならないためには、何が勝者と敗者を分けるのかということを考え、投資を始めなければならない。  


相場は3K

 

・取引自体は買うか売るかの単純な行為だから、何も研究をしなくても、ただ運が良いだけで一瞬にして大儲けできる可能性があるのも相場の魅力。そして「魔力」でもある。


・相場には、比較的易しいときもあれば、比較的難しいときもある。易しい相場で自分の実力を過信してしまい、難しくなった相場で稼いだおカネ以上に損をさせられる人は、昔から後を絶たない。
遅かれ早かれ「スランプ」に陥り、そこで悔い改めないかぎりは〝一発屋〟で終わる。


・相場は「怖い」「困難」「危険」。

だからこそ、乗り越えたときの恩恵は大きい。


・相場の恐ろしさ、難しさ、危うさについて、経験と知識を蓄積していく過程で、常に肝に銘じておく必要がある。


ポートフォリオの構築


・脳ポートフォリオは、知識と経験を糧にしながら、長期的に自力で構築していく。株式やFXの本を1~2冊読んだ程度で、簡単に構築できるほど、生易しいものではない。


・投資の経験を重ねていくほどに重要になってくるのは、心理。

心理を本当に理解していけば、資金管理(資産を効率的に増やすための)の工夫が重要となってくる。


・金銭教育を嫌う日本では、金融や税金に対する理解は十分といえないのが現状。


・投資の世界に1+1=2のように絶対的な正解はない。それが常識。


・脳ポートフォリオを構築するためには、少なくとも3~5年程度の「修行期間」が必要。


・わずかながら資産の増えるような力を自覚しだしたのは、投資を始めて3年目を過ぎてから。300回以上の売買を経験した後。


・重要なことは、負けたらすぐに退場を迫られるような方法ではなく、長期的に継続できるような仕組みを作り、好調期に資産を少しでも増やし、逆境期に生き残っていける力を身につけること。


・勉強、研究、実践経験を積み重ねていくうちに新しい発見があり、それが自分だけの脳ポートフォリオの構築につながっていく。そして勝者へと少しずつ近づいていく。


万年初級者の典型


・万年初級者の典型に「自分勝手」な人がいる。要は、わがままな人。


・万年初級者のなかには「目的が違う」人もいる。例えば、売買のハラハラドキドキ感を好む人。こうした人は、不確実なものに賭けて、当てることに〝喜び〟がある。  

資産運用が目的ではなく、1回1回の売買に一喜一憂することが本当の目的。


・1回の売買で大きな利益を出すこともある。しかし結局は、気がつかないうちに、それ以上に損を重ねてしまう。トータルの結果などどうでもいいから。


・相場に限らず、資本主義の世界では、ビジネスにも人生にも、「当て物」「ギャンブル」的な要素が含まれている。だからこそ面白い。


・資産運用としての投資では、1ゲームの結果よりもトータルの結果のほうが、よほど重要。そこに派手さは必要ない。投資は商売であり、けっして楽しいことばかりではない。


・チャートを眺めていると、川の流れのように思えるときがある。初級者は、この川の流れにたいした下調べもなく入っては、翻弄され、のまれ、おぼれてしまう。


・「最初はだれでも初級である」と理解し、「自分は初級である」と立ち位置を自覚し、謙虚な気持ちを維持することが重要。


まずは自覚から


・ランダムに勝ったり負けたりして興奮しながら「損大利小」を繰り返し、気づかないうちに資産を減らしていくのが一般的な負け組。


・たまに勝ってしまうので、自分を初級と自覚しにくいのが相場のワナ。


・だれでも勝てるぐらい分かりやすい相場があるのも事実。

 

中級に進むためには


・一方、「中級候補」の投資家たちは、まず自分の失敗を謙虚に受け止める。自分の悪かったところを反省し、次に役立てられるヒントや課題はないか考える。そして地道に研究を重ねる。


損切りをすると相場のことを忘れられるので気楽。


・苦しんで損切りをさせられた人は、一度相場から撤退すると、買う勇気がなく、なかなか復活できない。


・歴史的事実からいえば、一般の新聞や雑誌でさえ取り上げ始めたら、たいていブームも終盤にさしかかっている。得てして世間が騒ぎ出すのは、すでにある程度、相場ができあがったときだから。


天才でさえ努力している


・初級者が中級を目指すために最も重要なことは何か。

それは常に相場を尊重し、経験を重ねながら、失敗はもちろん、成功も冷静に受け止め、知識を身体で理解していくこと。


・一気に全額で勝負をかけるのではなく、慎重に最小額の売買を何度も何度も実行する。

いってみれば「下積み期間」「修行期間」。


・中級者は少なくとも 50 冊程度の投資本を読んでいるはず。上級者のなかには1000冊以上読み倒している人もいる。それくらいの情熱は必要不可欠。


・中級者があまり公にならないのは、他人に自分のことをいわないから。


・直接的または間接的に知っているような上級者や中級者は、投資に対して勤勉で、熱心に取り組んでいる。天才と思う人でさえ努力しているのに、努力しないで成功するわけがない。


投資本の読み方


・中級者は自分の脳ポートフォリオを確立しつつあり、戦略の一環として、どのタイミングで仕掛け、どのタイミングで手仕舞うかをあらかじめ決めている。また、その結果、どのように資産が増えたり減ったりするかも事前にイメージできている。


・中級入りを目指す投資家は、書籍を自分が理想とする「トレーダー像」を描くための「研究材料」として扱う。つまり、自分の脳ポートフォリオに問題意識を持っており、その研究の〝ヒント〟となる情報を入手するために本を読む。


・中級に入るためには、自分の得意な投資手法を見つけ、さらに磨きをかけていかなければならない。その過程では入手した情報を単に知識として詰め込むのではなく「こうすればどうなるのだろうか?」「このパターンのときは、どういう時期に使えるのか?」など、自分なりの疑問をどんどん持ち、調べなければならない。


・脳ポートフォリオは個性に依存するため、千差万別。そこに絶対的な答えはない。したがって、ある人には全く役に立たない本が別の人には非常に役立つことは、往々にしてある。


・著者がうまくいったからといって自分が長期的にうまくいくとは限らない。重要なことは、その情報が自分の研究材料として役に立つか立たないか。


・相場を「戦場」と考えれば、戦場で投資家のレベルは関係ない。勝つか負けるか、それだけ。


・少なくとも準備をしてから戦場に臨む。そして、経験を積むために、流れ弾に当たっても致命傷にならないよう、慎重に、少額の資金で戦うべき。

 

情報商材 


・大半は自己裁量の部分が多く、簡単にまねができない。裁量部分が多いので、購入者が反論できないことも多い。


・多くの情報商材に見られる特徴として「販売者自身を守ることは徹底している」ことが挙げられる。


情報商材を買うなら、書店で3000円程度の投資本を購入したほうが勉強になることが多いし、上達すると思う。


・だれでも簡単に、長期的に、莫大に稼げるような秘密の投資法は存在しない。たとえ、どんなに優れた高勝率の手法であったとしても、その使い方が分かっていなければ、結果的に敗者になるのが投資。


・「自分には投資がよく分からないから」と情報商材を購入される方がいる。分からないなら投資に手を出さないほうがまし。

 

・投資を勉強するなら、書籍やセミナーのほうが効率的。情報商材に大枚をはたかなくても、勉強は十分にできる。


・自分の投資法を見つけるのは長い道のり。
しかし、長期的に投資を続けていくためには避けて通れない。時間をかけて勉強と研究、そして実際の売買で経験していかなければならない。


修行期間


・運用戦略や、運用経験や、資金量、リスク許容度なども分からないのに、自分にとって都合の良い解釈だけをして投資を始めてしまうことは危険。


・まずは、小さな資金で大きく儲けようと色気を出すよりも、現実的な目標リターン(利回り)を設定して、生き残っていくことをおすすめする。そのためには、しっかりとした修行期間をとり、真剣勝負の場数を踏むことが必要。

 

・修行期間のひとつの目安として、投資経験5年、投資本 50 冊、売買経験500回を設定してみるとよい。


・投資本を 50 冊読み、500回以上の売買数をこなすくらいのやる気があれば、自然と技術力も向上するはず。


真贋を見抜くのは自分


・中級を目指す初級者にとって最も理想的な環境は、相談相手になってくれる上級者が身近にいること。


・中級者は自分なりの売買ルールを持っており、すでに仕掛ける前から手仕舞いのポイントを決めている。そして、そのルールを守って、淡々と売買をこなそうとする。


・銀行や証券に勤めているディーラーであれば、世間は立派な社会人と認めてくれるのに、個人投資家だと、無職で何をやっているのか分からない人と思われてしまうのは、かなりのギャップを感じずにいられない。

投資で得るおカネは「イージーマネー(あぶく銭)」で、楽をして儲けていると考える人が多いから。しかし、 投資が楽をして儲かるというのは証券会社や出版社が売上を伸ばすために作り出している幻想にすぎない。  

これまで何度も述べてきたように、成功している人ほど努力して研究に没頭している。そして多くの人が耐えることのできない精神的な苦痛を乗り越えてきている。


2.売買ルールをつくろう!


相場の分析法


・どちらの分析手法が優れているか、その答えに絶対的なものはない。どちらであろうが、その分析法を極めて、大きな成功を収め続けている人が実際にいるから。

したがって、その優劣を決めるのは「自分自身」。


・両方使うことも可能。


ファンダメンタル分析で動きそうな銘柄を抽出。

テクニカル分析で売買タイミングを計る。


ファンダメンタル分析にしろ、テクニカル分析にしろ、少なくとも修行期間は、他人がそれを読んでまねできるくらい具体的に、自分の売買手法を紙に書いておくことをおすすめする。


ファンダメンタル分析

 

・良さそうな決算書を発表する企業もある。 数字の背景にあるものと傾向を読み取り、そうした玉石混交のなかから、ダイヤの原石(企業価値と株価にズレのある銘柄や成長性のある企業)を探し出す。

 
・バリュー株投資やグロース株投資は、比較的大きな流れのなかで「大化け銘柄」を選び出すことに照準を当てている。「大きな流れ」とは、株価の勢いにも注目するグロースはまだしも、バリューでは市場に〝本当の価値〟を評価されるまでに年単位の時間がかかることも往々にしてあるということ。


・売買経験をできるかぎり積み重ねて、自分の脳ポートフォリオを洗練させていくことのほうが重要。


材料に振り回されるな


・ニュースや新聞の報道をきっかけに投資を仕掛けることは、おすすめしない。

 
買い材料が消化されれば、利益確定と乗り遅れた人の損切りの売りが増える。その流れに乗ることを考えたほうがよい。


。自分が材料に振り回されてドタバタ売買している人たちの仲間に入るのではなく、その動きを察知して利益を出せるのではないかと考える。


テクニカル分析

 
・気になった指標を自分なりに研究することをおすすめする。

研究を重ねていくことで、その指標を使うことへの自信が芽生えてく。


・同じ指標を使っていても人によって結果が異なる、それがテクニカル分析


・各テクニカル指標を使いこなすには、職人並みの技術が必要。

個人的な長年の経験、勉強、研究からできあがってくるもの。


・ひとつ一つの指標をとことん研究する。


・相場は常に変化している。どのような条件のときにその指標が使えるのか、さまざまな課題を挙げて、使い方を研究する。

努力を重ねることが、やがて自分の性格にあったオリジナルの指標を見つけ出す第一歩となる。


・いつでも機能して、だれでも利益を出せる完璧な指標というものはない。あり得るのは自分の性格にあった指標。


・興味を持ったテクニカル指標を検証して、その短所と長所を知り、長所を発揮する方法、短所を補う方法を研究する。


相場の局面


・相場の波を知ることは非常に有効。なぜなら、波によって機能したり機能しなかったりするファンダメンタル分析テクニカル分析があるし、波に乗って売買をするほうが、波に逆らって売買をするよりも、疲弊しにくいから。

 
・トレンドのなかには〝小さな逆トレンド〟が何度もあり、そのなかには〝さらに小さな逆トレンド〟が何度もあり、それがマトリョーシカのように値動きの最小単位(ティック)にまで見られる。

 
・日足で売買戦略を構築するときは、月足や週足のトレンドを考慮して、その方向が一致するときのみ売買を仕掛けたらどうかなど、複数の時間軸で流れを見ることも研究の一テーマとなるはず。

 
・サポートラインでは買い優位、レジスタンスラインでは売り優位とみなされる。特にラインが長期に機能すればするほど、短期投資家だけでなく長期投資家(さらに実需)もそう考えているとの解釈から、そのラインは頑強と判断される。

 
・完全に突破(ブレイクアウト)されたレジスタンスラインは、サポートラインへと逆転する。


・買い方が次の基地を攻略できずに勢力が弱まると、売り方の逆襲を受けて買い方の前線基地がまた奪い返されるかもしれない。このような売り方と買い方の攻防をチャートは描き出している。


パターン分析


ローソク足は買い手と売り手の勢力関係、市場に存在しているポジションのバランス、投資家心理を絵的に表現してくれる優れたチャート描法。


・1本のローソク足、または複数本の組み合わせで、さまざまな仮説を立て、検証し、売買ルールを作ることができる。ローソク足のパターン、テクニカル指標、トレンド分析の合わせ技で売買のタイミングを計る人もいる。

 
・パターンが自分の運用対象である市場で通用するものなのか、検証しておくことが重要。こうした検証を可能とする売買ソフトはいくつもある。パソコンが苦手ならば、チャートをこまめに追いかけて、シミュレーション売買、さらには最少額の売買を繰り返し、経験的に検証することも可能。


・さまざまな前提条件や数値設定から検証して、そのパターンやテクニカル指標に「 優位性」があるか確認することが重要。


・エッジを利用した仕掛けのルール、さらにそのエッジの効果を最大限に発揮させるための手仕舞いのルールや資金管理のルールがそろうことで、ひとつの売買戦略ができあがる。

 

勝率


・何度も売買を繰り返して資産を運用しているかぎり、勝率100%というのは、まずあり得ない。

 

・負けることがあるのだから、1回の売買の勝ち負けに、ムキになるべきではない。

ある程度売買を繰り返した結果、資産が増えていれば、それでよい。


・「勝ったときに少なくとも 10 万円の利益を確保し、負けたときに8万円の損失で抑えることができれば、勝率 50%でもよい」という「損小利大」を目指す。これをひたすら繰り返す。


・勝率 50%の売買ルールは、繰り返せば繰り返すほど、本来の実力である勝率 50%に近づいていく。


大数の法則を短期間で実現するために売買の回数を増やす。

 

ペイオフレシオ


・勝率を高くすること自体は、それほど難しいことではない。利益を大きく損失を小さくすれば、勝率は上げられる。


・たとえ勝率が 90%でも、ペイオフレシオがひどければ、資産は急激に減っていく。もちろん、これは逆のこともいえ、たとえペイオフレシオが4でも、勝率が 10%ではマイナス成績となる。


・人によって目指す勝率とペイオフレシオのバランスは変わる。

 
・短期売買の場合、期待できる値動きの幅は限られるので、狭い損切り幅で、勝率を高めることが重要となる。


・相場で資産を増やすために、勝率は最大の問題ではない。しかし、目の前で自分の資産が増えたり減ったりする。したがって、このことに耐えられるだけのメンタルの強さが求められる。つまり、自分の性格やリスク許容度を含めて、理想とする勝率とペイオフレシオを設定しなければならない。

 

期待値


・投資では期間や売買の回数が問題になってくる。


・人間には、ごく小さな確率を過大に評価する傾向がある。
一方、人間には、大きな確率を過小に評価する傾向もある。

確率を数字どおりに評価できない性質が人間にはある。


・「コストを抑え、それを上回る利益を実現しそうな優位性のあるパターンを何度も続けることで、大数の法則を実現しよう」という方針。


短期売買の種類

 
・自分に適したポジション保有期間は、ライフスタイル、リスク許容度、性格によっても変わってくる。


・重要なことは、取引する前にしっかりと売買ルールを作り、そのルールに従うこと。


デイトレード損切りできず、塩漬けになってしまったものの、配当金を受け取って、また株主優待券が送られてきて喜んでいる……といった取引では、投資能力は上達しない。


・勝率は一般的に時間軸が短いほど高くなり、時間軸が長いほど低くなる。


・自分に合った脳ポートフォリオを決めるには、ライフスタイルに影響を与えない保有期間の設定、精神的に十分耐えられるリスクの許容範囲を決めること。


・リスクの許容範囲は、実際に自分のおカネが減っても耐えられる金額で設定することが大切。


私の売買方針  

 

・ファンダメンタルズは長期的に見れば価格に反映されるが、短期的には需給や感情によって価格は大きく動く。


・なぜ、日経225先物で運用しているかというと、参加者が多い市場ほど値動きが〝自然の法則〟に近くなると感じているから。


・今日が陽線になるか陰線になるかを過去データから検証して、仕掛ける日を決めるということになる。

 

・ 投資で考えていることは、今日は買いから入るのか、売りから入るのか、仕掛けるのか、それだけ。

「今日が陰線なら明日は買い、今日が陽線なら明日は売り、ただし今日の始値が昨日の終値と同じ価格だったら仕掛けない」という条件で検証してみると、 00 ~ 08 年までの9年間で、約2000回の売買機会があり、その勝率は 53%程度。

手数料などを考慮すると、そのまま使うほどではない。
ただ、過去2000回ほどのサンプルを集めることで、これからもその売買ルールが機能するという前提で取引を続けるということ。


大数の法則

 
・重要なことは、自分が決めた期間まで自信をもって続けること。


・もし、1000個以上のサンプル数(売買回数)があり、過剰に最適化されていない 70%と 30%の結果があれば、まさに秘密兵器。

しかし、その秘密兵器は、徐々に気づく人が現れ、 50%に近づいていくと考えるのが普通。


・実際に過去のデータを検証してみると分かることだが、回数を増やせば増やすほど 50%に近づいていく。「使える」と思って考えた売買ロジックも実際に検証してみると、そのほとんどで優位性のない結果になることを実感するはず。


・投資というと、すごく派手なイメージがあるかもしれない。しかし、実際は、かなり地味な作業の繰り返しであり、だからこそ、うまくいったときの恩恵は大きい。

 

3.投資家心理と資金管


売買に時間をかけない


・重要と考えていることが3つ。
●長期的に継続できること
●長期的に資産が増えること
●売買に時間をかけないこと


投資信託や現物株を購入して長期投資をしている方と「実際の売買に使う時間」は、それほど変わらない。


・1日 10 分ほど。


・日々のデータや売買の損益をエクセルに入力し、シグナルが出たら発注する程度で、だれでもできる単純作業。


・「一度ポジションを持ったら、後は前もって決めた売買ルールに機械的に従う」という方針。


・長期にわたって資産を増やしている投資家は、ポジションを抱えたときに、どうしたら手仕舞うかすでに決めており、そのとおりに実行する人が多い。


・投資のための時間が「10」あるとすれば、準備に「9」の時間と頭を使い、実際の行動には「1」の時間しか使わない。


・投資家を成功に導く手法や戦略は、星の数ほどある。ただ、総じていえることは、仕掛けと仕切りのタイミングと条件(利益目標や損切り価格、使用するテクニカル指標など)は、すべて事前に自分で決めていること。


・売買というのは、貴重な自分のおカネを不確実な市場にさらす作業。そのため売買を実践するにあたって、多くの人は緊張や恐怖、あるいは「自分は儲かるはずだ」という根拠のない希望的観測で、判断がブレやすくなる。したがって、すべてを前もって決めておき、それを絶対に守ることで、売買という作業に感情が入り込む余地を作らないようにする。


・根拠のない希望的観測、強欲、恐怖といった心理は、売買ルールの維持に悪い影響をもたらしがち。特に含み損が出たときは激しい葛藤をもたらす。 いかに自制心を強め、規律を維持するか、それは中級を目指す投資家にとって大きな課題。


・準備に時間をかけ、経験的に自分の心理を客観的にとらえられるようになることで自信を持つことが重要。


・ある程度の期間(例えば半年とか)と売買数をこなした後、その結果が自分の想定している範囲で資産が動いているか(資産が増えているか)を確認する。


なぜ入口ばかりに注目するのか


投資信託であれ、現物株であれ、FXであれ、私たちの神経は仕掛けのタイミングに向かいがち。

しかし、結果をさらに大きく左右するのは、手仕舞いのタイミング。


・いつかは売らないといけないことは、頭では分かっている。しかし、そのような習慣がないために、どう考えたらよいか分からない。

 

投資は商売


・投資でも、プラスの日があれば、マイナスの日もある。しかし、月単位や年単位で成績を確認していくことが重要。


・投資は手仕舞いのタイミングが強制的ではなく、自分で決めなければならない。特に初心者は、このタイミングを明確に決めていないので、希望的観測でズルズルと引っ張り、いたずらに損失を拡大させることになる。


・一時は許容範囲を超える損を出しながらも〝神風〟が吹いて好転するケースもある。
しかし、その〝幸運〟が「悪しき前例」となり、むしろさらに致命的な損失を被るのがオチ。


・投資の場合、閉店時間は自由ですが、開店する前に閉店の「条件」を決めておかなければならない。それは時間であるかもしれないし、利益額かもしれないし、損失額かもしれない。いずれにせよ、結果にかかわらず、開店前に決めたタイミングで店じまいをすることが重要。


・投資でも重要なことは、自分が事前に決めたルールに従って淡々とこなすこと。それが「規律を守る」ということ。


・その日の気分でポジションを大きくしたり、仕切りのタイミングを先延ばしにしたりするのではなく、必勝パターンが継続すると確信するかぎり、規律を守らなければならない。


・自分の脳ポートフォリオと日々のデータを管理することによって戦略などが変わってくる。ただし、それは「売買の外」でやらなければならない。売買の実践中は、規律を守ることが重要。


ワインから投資を考える


・投資で成功するのに重要なことは、買うだけではなく、買った後に上手に育て、絶妙のタイミングで刈り取ること。さらには物を安く仕入れて利益をのせて売る感覚や、先に売っておいてから安く仕入れて利益を出す(空売り)商売の感覚、そして利益を再投資する資金管理の感覚も必要。


・上達するまで、さまざまな投資手法を試み、長い時間をかけて、自分が納得のできる投資手法にたどり着く。


・相場の世界では、多くの人が取れないリスクを取り、精神的な苦痛に耐えることを学び、自分をコントロールする訓練を繰り返すことを経験していかなければならない。   当然、好きだから継続できるが、その絶え間ない努力の積み重ねが勝者になるために必要。


見えているものが違う


・同じ投資アイデアやチャート、指標を見ても、中級者と初級者が見ているところや、見えているものが違うことはよくある。 初級者が「こんな指標はだれにも使えないよ」と、したり顔で語っているとき、中級者がその指標で実際に利益を出している。


・この情報が自分の投資に必要なのかそうでないのか、使えるのか使えないのか、このようなことを瞬時に判断できる。

自分次第。自分の脳ポートフォリオの確立に使えそうなものか瞬時に精査し、使えそうなら、そこからじっくり時間を使って、実際の運用に利用するため、深く掘り下げていく。  

「何と何が関連しているのか?」

「どことどこを見ていかないといけないのか?」

――これを習慣化するためには、幅広い知識と経験が必要。


長期的に安定した成績


・投資の世界では「分かりやすい」相場になると多くの億万長者が出現する。

多くの〝カリスマ〟が誕生し、本を出し、雑誌やテレビに登場する。
しかし、分かりやすい時期ばかりでなく、難しい時期があるのも相場。

実力のある人は、大きく目立ちはしないが、そうした環境の変化にも対応して、コンスタントに成績を残しながら(生き残りながら)、分かりやすい時期に備えている。


大きな目標からその場での戦い方を逆算する


・トレードの素人と玄人で大きく違うところに「終了時点から逆算してプランを立てられるかどうか」が挙げられる。


・長期的なプラン、そして長期的なプランを達成するための短期的なプランを立てることができるか、また、攻撃するとき、守るときなどのリスクの取り方(リスク管理)を知っているかに、素人と玄人では、大きな違いがある。

 

ゾーン


・投資でも積極的に勉強して、とことん研究し、経験を積み、そして反省することが重要。


・実際の売買に関しては、何も躊躇することなく、迷いも感情もなく、自然と身体が反応するレベルになるのが究極の目標。

 

潜在意識


・相場は、この潜在意識に強く働きかけ、恐怖や強欲といった「負」の感情と関連づいて引き出そうとする。そしてこの感情は、合理的な行動を阻害し、苦労して作り上げた売買ルールに従うことを困難にする。


・感情のおもむくままに行動をすると、投資では損をする仕組みになっている。


・多くのトレーダーが「自制心が働かなければ、最終的に大きく負けてしまい、市場から撤退する」と述べているのは、このため。


・相場で結果的に 90%が敗者になっているという最大の原因は「心理」について情報収集、そして心の鍛錬が足りないこと。


・自分の心をコントロールできるようになることは、投資家として生き残るため、非常に大切な要素。


・まずは「人間にはだれしもそういう性向がある」と認識し、自分を客観的に見る訓練をする必要がある。

その簡単な方法は、自分が感情的になったと自覚したら、自分の顔を鏡で見て、そのときの感情を確認すること。
そして、潜在意識に左右されるのを防ぐため、経験を重ねながら意識的に自制心や規律を鍛えていく。意識してさらに口に出し続けることで、相場と前向きな感情を関連づけることも可能。


初級者は群れを好む


・人間は、一人でいるときと集団でいるときで思考が違う。

一人でいるときは、自分の考えをしっかり持っているが、集団に入ると陶酔感によって自分で物事を考える能力が低下し、よく考えずに行動してしまう傾向がある。

理論や理屈よりも、周りに流される。


・集団に入ったらリーダー的存在を求めて、自分の頭を使わず、代わりに「感情的」に反応するようになる。


・初級者の多くは、安全を求めて集団に入ることを望む。それは状況が不確実なときほど、その傾向がある。その不確実性にどうすれば対処できるのかという答えを求めて、リーダー的存在を探す。


・性向を知っておくことで、自分は集団ヒステリーに対して冷静になり、上手に立ち回ることができるかもしれない。


普通に行動すると損大利

 
・初級者は、ポジションに利が乗ると、さらに利益を求めるよりも、目先の利益を確定することを好む。逆に、含み損が出ると、損失を確定するよりも、さらにリスクを冒すことで、損失を縮小しようとする。 つまり残念なことに、ほとんどの投資家は、利益が出ているときは、ローリスクローリターンを選び、損失が出ているときは、ハイリスクローリターンを選ぶ傾向がある。


・重要なことは、周りに踊らされず、地道に研究をして、定期的に相場を確認し、事前に決めておいた自分のタイミングで躊躇せず仕掛け、手仕舞いすること。


感情のサイクル


・初級者が強欲段階に入れば「そろそろ潮時」のサイン。


・初級者の特徴は、仕掛けるときも手仕舞うときも、自分の力ではなく他人の力を借りようとするところ。言い換えれば、無責任。

自分のおカネを運用しているから、自分で責任を持つべき。


・自分にはなす術がないという運命論者は投資家に向いていない。


リファレンスポイント

 
・ポイントは、利益が出ている局面から損失が出ている局面に変わると、意思決定の仕方が正反対になってしまうこと。

このような投資行動が「損大利小」につながっている。


・計画的な投資戦略と一貫して実行する規律を身につけることが重要となる。


初頭効果と親近効果

 
・よく見られるのが、最初の成功体験や失敗体験にとらわれるケース。
その後それを打ち消すような情報や事実があったとしても、都合良く無視してしまう。


・急落には急落の理由がある。それを理解してから、そして反発の根拠をはっきりさせ、実際に反発を確認してから買いを仕掛けても、けっして遅くはない。

 
・人間には物事を自分の都合の良いように考えようとする傾向がある。

仕掛ける前には冷静でも、いったんポジションを持つと、自分に都合の良いことばかりを考えるような特性がある。その根底には「自分は正しくありたい」という人間心理が働いている。

この心理は、投資では得てしてマイナスに働く。


・将来の価格やリスクを自分の思いどおりにコントロールできると考えてしまう。
少なくとも、潜在意識では初頭効果と親近効果が働き、行動を支配すると知っておく必要がある。
まず、自覚することで、自分の行動を客観的に見る力が養われ、とるべき行動を確信できる。


損切りの効用


・限られた資金で効率良くまわしていく必要がある。そのときに重要なのが損切り


損切りに絶対的なタイミングはない。

資金量や投資戦略、リスク許容度によって、タイミングが異なる。

迷うことなく一貫して投資を執行するためにも、自力で見つけ出さなければならない事柄。

逆をいえば、損切りを自分で決められないような人は、投資をすべきではない。


損切りの目安は基本的に2つ。

ひとつは「時間」、もうひとつは「損失率(もしくは損失額)」。


・時間で仕切る必要があるのは、次の投資に資金を使うため。


・いずれにせよ、一度決めた損切りポイントをけっして動かしてはならない。損切りポイントに相場が近づくと動かしたい気持ちが沸いてくる。しかし、そこでアッサリと間違いを認め、次回に備えるのがよい。けっして1回の勝ち負けにこだわってはならない。


損切りの効用のひとつとして、流動資金の確保がある。
資金を固めたままでは、せっかく絶好の機会が到来したときに、資金不足で逃しかねない。


・「損切りを 10 回やると、9回は『しなければよかった』と思うかもしれない。しかし、残り1回で『命』が救われるのだ」。


損切りをした直後に相場が元に戻ることがある。あたかも相場が自分の損切りポイントを狙っていたかのように思うかもしれない。損切りをしないで我慢をしていたら、含み損がなくなるどころか、含み益が出ていたこともある。
しかし、たった1回の躊躇で、そうした「偶然の利益」をも上回る大きな損を出してしまうことがある。
そこで、仕掛けの注文が約定したら損切りポイントに「ストップ注文」「逆指値注文」を置くのが一般的。


損切りの思考

 

・中・上級者は実に「あっさり」と負ける。
そして、 このあっさりと負けるのが、非常に難しい。
いいかえれば「負け方」の習得は、修行期間で一番重要な項目といっても過言ではない。中級に進むためには、自分なりの負け方を身につけて、いかに上手に負けるか、つまり「負け上手」になる必要がある。


・自分のおカネで投資をしているから、だれのせいにしても全く意味がない。意味があるのは、自分の態度に問題がなかったか反省すること。

損切りを上達への最高のヒントとできるかは、自分にかかっている。


・「常に正解でありたい」という気持ちがワナとなる。 投資を長期で継続して行っていくには、すべての投資を○にする必要はなく、○と×を繰り返しながら結果的に資産が増えていればよい。


・投資で良い成績を上げ続けている方は、自分のとった投資行動に責任をもっている。一切言い訳をせず、失敗を謙虚に受け止め、常に改善しようと考えている。


・日ごろ、相場に対して謙虚であるべき。
つつましく、へりくだり、素直に受け入れ、自分の考えを相場に当て込むのではなく、相場の流れに自分の考えを当てはめる。


ナンピンと分割売買


・単に「今は下がったけれど、そのうち必ずこの銘柄は上がるから」という希望的観測だけで買い増していくようなナンピンは、得てして破滅への入口となる。
たとえ、何度かうまくいくことがあっても、それは偶然にすぎない。

そのうち大きな逆行に巻き込まれ、いくらナンピンしても相場は戻らず、大負けしてしまう。


・行き当たりばったりのナンピンによってポジションの数をいたずらに増やしていることは、さらに大きなリスクを抱えていることを意味する。

 
利食いの目安


利食いの方法はさまざま。


ペイオフレシオ1・5を目安にする。


・直近数日間の「ボラティリティ(相場の変動性)」に合わせて利益確保の指値を入れている人もいる。


・「トレイリングストップ」を使って、できるかぎりポジションを引っ張ろうとする人もいる。

 
復活は大変


・過去のデータで分析するから、資産曲線がきれいな右肩上がりになる売買ルールを作ることは、ある意味簡単。


・長期の資産曲線だけを見るのではなく、短期間の資料などもしっかり確認して、この売買システムを利用するか決めなければならない。


・事前に決めたサインどおりに売買を継続する。


・プロの投資家は「勝つことを考えるよりも、負けないことを考えたほうがよい」というような言い方をするときがある。勝つとか負けるというのは「売買」ではなく「資産」のことであり、いかに資産を減らさない方法を考えるかということ。


・事前に決めた売買ルールどおりにコツコツ売買を繰り返すということ。


・事前に、勝率、ペイオフレシオ、PF、最大ドローダウン、連勝数、連敗数から売買ルールの停止条件を決めておく。  

あとは規律を持って売買を淡々とこなす。資産が増えようが減ろうが、事前に決めた売買ルールの停止条件まで継続する。


投資を長期で継続するために


・投資を長く継続していくためには、投資と一定の距離を置くことが重要。


・一定の距離を置くために大切なことが「ポジションが気にならない」こと。

ポジションが気にならないためには、機械的な自分をつくることと、ポジションサイズに慎重になること。


・投資の目的はスリルや刺激ではなく、資産を形成するため。


・おカネに働き場所を与えることだけを考え、結果だけを見る。自分の売買ルールを継続できる規律を身につけ、その指示に従い、淡々とこなすのみ。


・積極投資を実践するために〝2人の私〟を使い分けている。
一人はデータ収集やそのデータの精査、売買アイデアの検証と売買ルールの作成、システムの構築など、事前の研究に9割の時間を使う「技術者」。
もう一人は毎日1割の時間で投資を淡々と実行し、入力作業や売買結果などを自分の相場ノートにつけていく「執行者」。


・半年や1年の間隔でパフォーマンスを確認し、悪ければ、技術者は執行者の作業報告書(相場日記)を見ながら売買システムを見直し、再構築する。


・「投資が気にならない」ようになるためには、ポジションの大きさ(ポジションサイズ)も重要。
初心者は「資金効率」よりも「生き残る」ためのポジションサイジングが重要。
それは一度の負けで致命的な損失を出さないようにすること。

・ある程度、ベテランになってくると「攻め」のときと「守り」のときで資金管理方法を使い分ける。


・ポジションサイズに関しては一部裁量を入れており、ある程度のドローダウンを食らうと、ポジションサイズをさらに小さく落としていく。
十分な売買回数と売買年数を経験するまでは、小さすぎるくらいのポジションサイズをおすすめする。
資産を大きく増やせないという反論があるかもしれない。そのとおり。増え方も減り方も、かなり地味。地味に売買を繰り返すことが大切。


自分の出番を待つ

 
・前日の始値・高値・安値・終値四本値を意識して、その値を基準に売買する人は多い。
つまり、ポイントになる価格では、売買が多くなると考えられる。


・相場を凝視しながら待ちかまえることも可能だが、ストップ注文を入れておくのが一般的。


・「初心者は生き残りが重要」だが、5年に一度、 10 年に一度は、大きな相場を取るチャンスがある。日ごろから現場で注意して見ておかないと、そのチャンスは生かせない。


・波に乗るためには、波に乗るための経験も必要。

多くの経験を積んだ人なら、波が崩れる最後の最後まで乗ることができる。

 

職人気質


・自分がどのような立ち位置で相場とつきあっていくかを確認し、自分の性格やライフスタイルにあった戦略を見つけていかなくてはならない。そして時代とともに、その戦略に修正を加えながら、つきあっていくことが大切。


・相場も自然の一部。投資の勝者は、他人任せや世間に流されるのではなく、すべて自分で全責任を持って判断し、対応する。だからこそ投資の恩恵は大きい。


成功者の性格

 

・投資の研究をするとき重要視していることに「数える」ことがある。
簡単にいえば、定量化(数値化)できるものはすべて定量化してしまい、数えられるものはすべて数えるということ。


・重要なことは「根気」。

検証には非常に時間がかかるのに、そのほとんどは結果的に無駄になるから。

検証することによってパターンや傾向が見つかるのであり、使えないものとして消去できるものが分かる。


・投資には「芸術的センス」が必要といわれる。右脳派投資家とでもいう。
右脳派投資家で成功している人でも、その裏づけとして、ファンダメンタルズやテクニカルなど、自分の個性に合わせて奥深く相場を研究している。そして何よりも実践で多くの投資経験を積んでいる。
そのうえでの右脳派投資家であるという事実を多くの初級者は知らない。


・投資に向いている人に共通する性格に「慎重」であることが挙げられる。
積極的に耳を傾け、情報を収集しますが、けっして鵜呑みにしない。慎重に聞き、気になることは、自分で慎重にとことん検証する。


・そして非常に「謙虚」。
自分の投資法を自慢することはない。研究をすればするほど、さまざまな可能性を知ることができるし、絶対的な投資法が存在しないことも知っている。
ただ、自分の個性に合った投資法を知っているから「謙虚」であると同時に「自信」がある。


・そして相場に対して「素直」。

トレンドに素直に乗り、もみ合いでは素直に様子を見る。相場観に誤りが認められれば、素直に損切りをする。

 

 

4.人生計画と投資スタイル
 

アセットロケーション


・重要なことは、理想とする人生計画からライフイベントを明らかにし、定期的に必要な時期(期間)と金額を明確にしておくこと。そのうえでおカネに目的を持たせて、その目的にあった働き場所を検討する。

 
修行期間と投資期間


・投資期間が分かると、どれくらいの成績で運用すれば、終点でいくらになっているか分かる。

 

・「投資期間は長期」だが、本格的な運用に備えて、準備期間(つまり前述の修行期間)は1回1回の売買を「短期」にした。つまり、目標期間は 65 歳(長期)であっても、少なくとも修行期間では、毎日のように売買していく。
そうすることで売買回数が多くなり、経験値が増える。

 

・500回もの売買を繰り返すためには、厳密な売買ルールを作り、その売買ルールどおりに続けるだけの規律が必要。


・売買経験のなかで自分の予測があてにならないことや、人間心理について勉強できる。


・投資経験の未熟な人が、いきなりまとまった資金をリスクにさらすようなことをしてはいけない。 20 代、 30 代、 40 代からでも、まずは小額の資金で投資経験を積んでいくことが重要。
当然、負けることも多いだろうが、少額の資金ならば精神的にも耐えやすい。

 

積極投資に適当な額


・積極投資を始めて3年ぐらいは、全く答えがでない(つまり自分の脳ポートフォリオが築けない)思考錯誤の時期と思うぐらいがちょうどよい。


・最初は経験値(そして自信と勇気)を積むために、なるべく売買数をこなすことが最大の目標。だから、途中で資金切れになってゲームオーバーにならないようにすることが最大のポイント。


・積極投資では「日記」をつけることを強くおすすめする。
できれば手書きがよい。

最初のページに今年の収益目標(金額やリターン)を書いておく。
日記には、売買を仕掛けたときの理由だけでなく、途中実際に自分の資金が増えたり減ったりしているのを見て、自分の心の中にどのような感情が沸き起こってきたかも記すとよい。
手仕舞ったときにも、反省やどのような感情が生まれたか、こまめにすぐに記していく。
月末にその月の記録を読み返す。
こうすることでルール作りや規律を身につけることの重要性を経験的に認識していく。

 

ポートフォリオ


・実際のところ、多くの人は他人が作ったポートフォリオをそのまま継続するのは難しい。自分に合っていないから。


ポートフォリオに組み込む金融商品とその配分は、毎年、人生計画と預貯金口座の現金を含めた資産状況を見直したうえで再調整する。

 
・債券といっても、外債(外国の債券)への投資はおすすめしない。いうまでもなく、為替リスクが高いから。


・為替リスクを取るならば、積極資金でFXをしたほうがよい。


・債券の利子の高さは、貸した相手の返済能力(信用力)次第。

だれもがおカネを貸してくれるのであれば、利子は低くてすむ。逆に信用力が低ければ、利子を高くしないと貸してもらえない。
債券では、価格が下がるほど、その債券の利回りが上昇する。
逆も同じで、価格が上がるほど、その債券の利回りは下落する。

 
・日本国債( 10 年債)の利回りは、日本の「長期金利」の代表的指標とされている。
住宅ローンなど長期融資の基準として利用されている。


ポートフォリオと投資スタイル


・投資スタイルとは、いってみれば「自分なりの投資のやり方」。

自分なりの脳ポートフォリオの構築にあわせて、ポートフォリオ(投資の)は変化するので自分なりの投資スタイルは常に変化し、成長していく。

この時期は、積極運用の割合をポートフォリオの最大 20%まで上げてもいい。
また、慎重運用のなかでもリスク度を上げてよい。


・2年の準備期間で分かってきた自分の脳ポートフォリオに応じて、さまざまな金融商品に向けていく。
5年目になれば、ご自身の好きなようなポートフォリオでかまわない。


ポートフォリオが恒常的に収益を出せるまでできあがったとき、自分で切り開いた自分だけの投資スタイルに基づいたポートフォリオが、ある程度構築されているはず。
まとまった資金を運用する準備も整っているはず。

40%を積極投資にまわしていい。
年利 20 ~ 40%が目標。
残りの 60%を、いくつもの関連性の低そうな金融商品に向けることでリスクの分散を図っている。合わせて年平均で最低 10%以上が目標。


・投資スタイルやポートフォリオに、万人が納得する正解などない。自分に合ったポートフォリオ金融商品は、自分が理想とする人生計画と脳ポートフォリオに応じて、自力で探していかなければならない。


・積極投資を続けていくと、いろいろな局面に遭遇するため、自分の脳ポートフォリオがどのようなときに強みを発揮し、どのような局面が苦手なのかが分かってくる。
そのような苦手な局面で運用がうまくいくように投資戦略を考えて、その戦略に対して自分の資金の一部を配分する。


・正直な話、永遠に常勝の脳ポートフォリオは存在しない。常に改善の余地、成長の余地がある。したがって、投資スタイルにも常に変化があり、終わりがない。


・積極投資を核に、その補完を期待できる金融商品を組み合わせたポートフォリオで、なるべく資産曲線が滑らかになる(大きなブレがないよう)ように努力する。


ポートフォリオヘッジファンド

 

アセットアロケーションを変えればパフォーマンスが変わるとはいえ、多少割合を変えても同じような結果になる。 10 年間頑張らなくても、だいたい5年間程度、頑張って継続していると、何とかプラスになるというような結果。


・2005 年のプチバブル期には株式だけ投資しているほうが圧倒的にパフォーマンスは上。


ヘッジファンドの特徴


●債券や株式といった従来型金融商品の目減りを回避(ヘッジ)するための代替手段のひとつ。


投資信託がTOPIXなど何かしらの指標(ベンチマーク)を上回ることを目標としているのに対して、ヘッジファンドは「絶対収益」を目標としている。


●株式、債券、通貨、先物、不動産に、さまざまなアプローチで投資をする。例えば、ほとんどの投資信託が個別証券の保有を基本アプローチとしているのに対して、ヘッジファンド空売り先物、オプション、スワップなどのデリバティブ金融派生商品)や未公開株などを活用する。


・一般的に、金融機関で販売されている投資信託は、多数の投資家の資金を集めることを前提に運用される「公募投信」であるのに対し、ヘッジファンドは小数の特定の人だけ(例えば機関投資家や富裕層など)を相手に作られた「私募投信」。

 
・自分のポートフォリオが平均株価に連動しやすいと考えるのであれば、下落局面や横ばい局面に大きな収益性のある(逆相関の)、あるいはそれとは無関係に成績を出す(非相関の)ヘッジファンドを組み入れるという考え方は悪くない。


ロングショート、マーケットニュートラル、アービトラージ、イベントドリブン、マネージドフューチャーズ、ディストレストグローバルマクロ、マルチストラテジー……など、ヘッジファンドには、たくさんの種類がある。


・すべてのヘッジファンドが株価の下落局面に強いわけではない。
つまり ヘッジファンドを運用するマネジャーのポリシーや運用手法が、ほかの運用を補完できるか考える。

 

・通常ヘッジファンドは、資料として株式や債券とのこれまでの「相関性」を数値で提供している。
非相関な金融商品を組み入れていたことで、運用成績の安定を図れる。


ヘッジファンドではなく、自分の積極投資をヘッジファンド運用に見立てて、自分で絶対収益を狙ってもよい。


・投資で一番良くないのは自分の投資がうまくいかなかったからといって、これもダメあれもダメと簡単にあきらめてしまうこと。

局面が悪いのか、戦略自体に根本的な欠陥があるのか問題意識を持つことは重要。


ポートフォリオは定期的なリバランスを繰り返しながら、アセットアロケーションは少なくとも5年単位で見ることをおすすめする。

 

空売り

 

・相場は上げ下げを繰り返しているわけだから、買いだけよりも売り戦術も入れているほうが、収益機会が増え、投資の幅が広がり、成績も安定しやすい。


・単なる印象で判断するのではなく、仕組みを理解し、自分の脳ポートフォリオに合っているなら、ヘッジファンドのように絶対収益を目指して使うべき。


空売りレバレッジを効かせることができるため「怖い取引」というイメージだけが先行してしまう。しかし、金融商品の特徴や仕組みを理解して上手に使うことが大切。


戦術の分散


・いろいろな戦術を研究すると、その売買ルールが得意な時期と不得意の時期があることに気づく。


・それぞれの長所を上手く組み合わせようと、相場の「ボラティリティ」の変化に応じて、システムの選択やポジションの大きさを多少変更する。

 
・個々の売買システムは、あくまで過去データの検証結果から有効と判断しているだけで、それがそのまま未来永劫続くとは思っていない。
使っては捨て、使っては捨ての繰り返し。何度か売買システムの入れ替えをする。
ただし、すべてを一気に入れ替えるのではない。新しい売買システムがでれば、既存の戦術ポートフォリオに加えたり、成績がおもわしくないものを除外したりしている。


・いつ優位性がなくなるか分からないから、自分が決めた期間、マイナス幅まで規律を守って売買システムに従う。

 

・事前にシステムに見切りをつけるためのルールの設定と、頭打ちの理由を究明できれば、補完できそうな別の売買システムの開発を考える。


・過去のデータでも、人間の心理で動いていると思われる相場に関してはこれからも機能する。

情報技術が発展したといっても、最終的に判断しているのは人間。そこには市場参加者の需給関係や思惑や欲望など、さまざまなことが絡みあっている。これからも、大きい小さいは別にして、そのようなことはある。


・不意に熱湯を浴びせられた状況では、多くの人が本能的な行動をする。つまり、次にどのような行動を取るか分かりやすい。


・どんな急落でも急騰でも、一時的にその動きとは逆に動くという歴史的事実から、リバウンドを狙って売買する戦術もある。

 

・大きく動き出したとき、その流れに飛び込みように仕掛ける戦術もあれば、その行き過ぎの修正に乗るという戦術もある。


・市場は変化し続けているから、何かひとつだけの戦術で戦い続けることは危険。
複数の戦術や市場で分散させたポートフォリオを作る「戦略」を構築していくことが理想。


比較整理


・定期保険は〝掛け捨て〟なので、満期保険金がない。つまり 60 歳の満了時にお金が戻ってこないということ。戻ってこないのであれば、少しでも保険料の安い会社を選ぶことが理想。


相性の良い投資手法と金融商品


・ひとつの金融商品でも、どのように使うかで大きく変わってくる。


投資を学ぶのに適した金融商品


・投資には「絶対」に厳密な売買ルールが必要。

これはレバレッジ商品だけではない。投資初心者に銀行や証券会社がすすめている投資信託であっても、損切りを含めた厳密なルール作りが必要。


・まとまった資金で投資信託を購入する前に、少ない資金でレバレッジの効いた取引を数多くこなして、ルールの重要性を認識すべき。


・もうひとつ、投資を学ぶのに適した金融商品の要素として「シンプル」であることが挙げられる。


・自分で金融商品を選んでいる人は、債券にしろ、株式にしろ、通貨にしろ、先物にしろ、シンプルな商品を利用している。一方、自分で選べない人ほど、定期預金に投資信託がセットされたものや仕組債など、利用している商品は複雑。
むしろ、複雑なほうが売る側にしても買う側にしても〝好都合〟だといえる。〝あの怖ろしい、みんなの嫌いな〟リスクが見えにくくなるから。

 

投資信託の注意点


・申込手数料(最近は「ノーロード」と呼ばれる無料のものもありますが)や毎年の信託報酬、監査費用など運用コストがかさむうえに、その運用が残念な結果になるぐらいなら、自分で運用してうまくいかなかったほうが納得できる。


・自分のポートフォリオ投資信託を組み入れようと考えている方向けに、購入時に考慮していただきたいこと。


①営業さんのいいなりにならない


②流行しているのは流行遅れ
投資信託の企画から実際に設定されるまでにも時間がかかっているはず。
流行の終盤に乗ることを自覚して数カ月単位の利益を狙うのであれば、分からないでもない。しかし、1年を超えて運用しようと考えるのであれば、流行しているものは警戒が必要。


③プロだから安心というわけではない
アクティブファンドの大半が指数を上回れずにいるという事実がある。
インデックスファンドの半分以上も指数に負けている。
大半の投資信託の目標は、ヘッジファンドと異なり「絶対利益」ではない。ベンチマークを上回ること。
投資信託も1000本以上ある。株式同様、必ず上がるものを選び出すことは至難の業。
そういう意味で、投資信託だから安心と思わないほうがよい。


④方針を理解する
確かに資産運用や資産形成は、長期計画で進めなければならない。しかし、本当の長期投資とは、ひとつひとつの戦略と実際の売買をつなぎあわせて長期的に継続していくこと。単に購入してそのまま放置することではない。


リスク管理

「いくらで損切りするか」こそが投資の重要なポイント。
●いくらくらいまでマイナスになることが想定されるのか?

●それはどういうとき、あるいはどういう要因でマイナスになるのか?

●いくらになると損切りをしたらよいと思うか?

●いつまで保有するのか?

●その商品のマイナスを補完できると思える金融商品は?

●手数料は初回と毎年といくらになるか?

●いつでも解約できるのか? 解約の手続きは?

 

分配型の投資信託に注意

 
・営業さんにすすめられる分配型の多くは複雑な商品が多く、個人的には本当に分配の仕組みとリスクを理解して利用している投資家がほとんどいない。


・自分の1000万円から毎月4万円切り崩すために8333円の手数料を払っている。


積立投資


・定額で定期購入したほうが、結果的に安く、多く買えている。


・積立の場合、投資期間の途中で何度も相場が下げてくれたほうが、たくさん購入できるので都合が良いといえる。
しかし、それはあくまで結果論。 気軽に積立というのは、簡単そうに見えますが、暴落時でも継続するには、非常に強い自制心が求められる。そうでないと途中でやめてしまう。


・何よりも長期で継続する意思が必要。

 

・「大きな前提条件」がある。

それは「自分が目標とする投資期間で平均購入価格よりも相場が上昇していること」。

もし、投資期間が終了したときに相場が平均購入を下回ったままならば、損失は拡大していることになる。結局のところ、投資に重要なのは出口。
たとえドルコスト平均法を使って平均購入単価を下げても、その終了時期、つまりおカネが必要なときに相場が平均単価よりも低ければ、成功しているとはいえない。
実際、リーマンショックで株価が急落して 08 年にネット証券の口座数は急激に増えたそうだが、口座を開いたものの株式や投資信託などを購入した人はそれほど多くない。
要するに、日ごろから研究していない人が「100年に一度の金融危機で今が買いどき」と騒いだところで、結局、自分なりの仕掛けのタイミングも手仕舞いのタイミングも分からないのでは、意味がない。


・積立投資はお手軽な投資法に見える。しかし、繰り返すが、楽な投資などない。積立期間や目標額の設定、そのための商品選択や相場が上下しても継続する力が必要。
特に後者の商品選択や継続力は、上級者向けといえる。

商品を選択するためには、幅広い知識も必要だし、継続するためには忍耐力や規律が必要。


・長い時間をかけた結果が「間違いだった」と分かったときの衝撃を考えると、難しい投資。むしろ、終了時点で値上がりする商品を選ぶ自信があるのなら、ドルコスト平均法は使わず、ETFの売買を繰り返して、複利効果を狙う。


積立貯蓄

 
・新規資金が追加されることで、経験にあわせて資金が大きくなる。

 

・積立貯蓄でも時間軸を1年間や3年間など、しっかり決めて計画的に行う。


個人年金保険

 
・保険料控除が使える。

 

・単に払い込む保険料と受け取る年金額だけで考えた場合は、それほど魅力を感じない。しかし、所得控除を使うと見方が変わる。


・老後資金を積立投資だけで考えているなら、この定額の個人年金保険も一考の価値がある。


・保険会社の信用リスクはあるが、基本的に元本保証。


・実際の利回りを考えなくても上手に制度を利用することで、現時点で5%程度の利回りを考えることができる。

元本保証商品としては悪くない。

 

株主優待


株主優待券は、割引券や金券としておカネと同じ役割をするわけだから、けっしてバカにできない。


株主優待だけは長期保有で考えているので、大きく値を下げた銘柄を狙っている。

もう少し詳しくいえば、移動平均線乖離率から見て大きく暴落した銘柄を購入するという、とても単純なもの。

 

・上昇リスクをできるかぎり防ぐために、かなり相場が下落したところを狙う。そのため、ほとんど約定せず、安定したリターンを期待できない。また長期保有なので、資金が固まってしまい、次の投資、次の投資へと資金をあてることができない欠点もある。


株主優待目的に関しては、年に1回程度しかない暴落を待つ。


これから投資の修行を始める前に


・質問1 あなたは何のために積極投資をするのですか?

 質問2 あなたはどのぐらいの期間、積極投資を続けるつもりですか?

 質問3 最終的にいくらにまで増やそうと考えていますか?

 質問4 どのようになったら売買を仕掛けますか?

 質問5 どのようになったら売買を手仕舞いますか?
 質問6 先ほど答えた投資期間と目標金額を達成させるために、いくらの資金をどのようなタイミングで投入していきますか?

 質問7 1回の売買に、いくらの金額を投資しますか?

 質問8 勝ったときも負けたときも平常心でいるためにどうしますか?

 明確にすればするほど、自分の考えが整理され、行動することが楽になるはず。

 

・投資日記なんて面倒だと思うかもしれない。しかし、人はすぐに忘れてしまう。運用成績や自分の投資行動をこまめに記録し、その記録を見ながら常に反省し、改善点を考えていく、それが知識と経験を積み重ねる最高の方法。

 


・最初は他人のまねから始めるだろう。しかし、他人のまねだけで自分を信じることはできない。どこまで自分を信じられるかは、努力し、苦労しながら、どれだけ知識と経験を(失敗を含めて)自分なりのノウハウとして蓄積していったかにかかっている。

 

 

 

 以上。これらの知識を活かして、自分なりの「脳ポートフォリオ」を構築してみてはいかがだろうか。

 

 

 

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