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Article Memories vol.4: 【リベラリズム】国際関係論におけるリベラリズムの特徴や批判などわかりやすく解説 

Theme: 政治

Time: 約5分

Difficulty:

 

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 国家の要素としてはよく、領域・人民・権力の3要素が挙げられるが、国際法人格としての国家は、「永久的住民」、「明確な領域」、「政府」、「他国と関係を取り結ぶ能力」の4つの要件を要するものであると説明されることもある。

「永久的住民」は、一つの社会を構成する、その国の国籍を取得した個人から成る集合体であり、通常、国籍によって国家と結び付けられる。「明確な領域」は、住民が定住する空間であり、国家のもっとも本質的な要素である。「政府」は、国内法を自主的に制定し、国家管轄権を備えた統治組織が確立されていることであり、 領土と住民を実効的に支配する必要がある。「他国との関係を取り結ぶ能力(外交能力)」は、対外政策について、外国の支配に従属することなく自主的に外交関係を処理できる能力であり、対外主権があり、対外的に独立であることを意味する。

現代の国家間関係が複雑化しているグローバル社会においては、「国家」を単体で考えることは難しい。そのため、対内的な意義のみでなく、国家間での相互依存関係を含意したものが現代の「国家」としての意義に合致すると考えられ、「永久的住民」、「明確な領域」、「政府」、「他国と関係を取り結ぶ能力」の4つの要件はその意義にうまく合致していると考える。

 

 国際政治において、国家は行為主体である「主権国家」として存在している。

リアリズム」においては、国家の目的とは国益の維持・拡大であり、国益は国家の生存・繁栄に必要なものであるとされる。その国益追求の手段として、軍事力・経済力・ソフトパワーといった「パワー」が存在し、パワーの拡大が図ることが国家の目的であると考えられる。

ネオ・リアリズム」においては、国家間には相互関係が存在し、国家行動の誘因を安全保障の追求に求める防御的リアリズムと、パワーの追求に求める攻撃的リアリズムとに区別して国家の役割が説明される。相互依存関係の中で国際システムの安定はパワーの分布状況によるとされ、単極安定論や二極安定論、多極安定論などで説明される。

リベラリズム」においては、国際法や国際機関といった多国間の協調体制が重視されることで、パワー追求以外での問題解決可能性を見出すことが国家の役割であると考えられている。

  いずれの理論においても、国際政治において国家は主権の平等・相互不干渉が保証される主権国家として認識されていることから、自国の国益追求を図る役割を持つことに変わりはないだろう。しかし、国家間の相互依存関係が顕著になるに伴い、リベラリズムによって、国益のみならず国際機関の協同による平和の維持の役割が国家にはあると説明されるようになった。国際法の分野において、産業革命以降の産業経済の発展、交通・通信手段の発達により国際貿易等の国際交流が飛躍的に増大し、交流を円滑に進めるため、国際条約の量が増大した、共通の目的を実現するため国際郵便連合といった多数の国による国際機構が設立した、紛争処理手段としての国際仲裁裁判の発達により判例が蓄積した、という構図を捉えられるように、相互依存関係が深まるにつれ、現代の国家には平和の維持という役割も持つようになったと考えることができる。