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Book Memories vol.4 : めちゃくちゃわかるよ! 超株入門

Theme : 金融

Time :  約20分

Difficulty : 易

 

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vol.3の記事

Book Memories vol. 3: 時間革命 1秒もムダに生きるな - BobY2

で述べた通り、世界で一般的な資産運用の方法は、「長期・積立・分散」である。

これは短期的に利益を得ようとするのではなく、リスクをできるだけ低く抑えるために多様な銘柄の株式、債券やコモディティに投資をする手法である。近年ではAIの発展から、個人の年収、年齢、目標などに沿った「長期・積立・分散」の資産運用が簡単に行えるようになってきている。

 

 この「長期・積立・分散」では、多くの場合は株式、債券は投資信託によって運用し、個別銘柄の細かい選別は投資者は行う必要がない。

 しかし、投資のステップとしては楽で時間もかからない一方、より細かい知識を習得し、よりレベルアップした資産運用を行っていくには、自ら個別銘柄に投資してみるのが良いのではないか。自らが買いたい銘柄の株を選別し、その企業の市場動向を追って随時調整を行っていくことで、逆にメインである「長期・積立・分散」で使える知識を得てより良い資産運用を行うことができるのではないか。

 また、最初は自分の好きな優良企業に株式投資することにはなると思うが、自分で調べて、考えた上で厳選して株を買うことで絶対に損をしたくないという気持ちになるはずであり、そうなったならば、企業レベルでの動向が気になり、それに派生して業界、市場、経済、国内政治、そしてやがては国際政治の動向が気になる。

このように株式投資は世の中の動きを知る上での大きなインセンティブになるはずだし、全然わからなかったニュースや難しいビジネス書などもわかるようになって人生がより楽しくなっていくものだと思う。

 

 今回そのようなことを学んだのは、

 

めちゃくちゃわかるよ! 超株入門 

 

深野康彦氏著 ダイヤモンド社

 

という本。

 

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link below  ↓

 

 自分なりに大事だと思ったところをまとめたので、興味のある方は読んでいただければ、と思う。

 

 特に本を読んだ上で自分なりの解釈だったり派生させたことを書いたりしているわけではないが、一種の教科書的な感じで大事な点をさくっとまとめ、自分の知識の幅を広げていくためのアウトプットのツールとして使うことにしている。また記事の最初にVocabs欄を設け、キーワードや専門用語などを載せているので知識を効率的に広げていただきたい。読者の方々にはもし知らないことがあれば身につけていただきたいし、ただ要約しているだけなので、よくわからない点があれば自ら購入して読んでいただくなりと、自由に使っていただければと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

[Vocabs]

 

東京証券取引所(東証):大企業中心の東証1部、中小企業中心の東証2部、新興企業向けのマザーズJASDAQ

などの株式市場を運営している。

 

上場株証券取引所が運営するいくつかの株式市場で取引される株。

 

非上場株:上場されていない株。

有名だが非上場の企業例は、ロッテJTB森ビルサントリーYKK竹中工務店朝日新聞社

 

普通配当:通常の配当。

 

特別配当:特別に利益が大きく伸びた年に配当を増額する配当。

 

記念配当:創立〇〇周年といった記念年などに増額する配当。

 

配当所得:株の配当による所得。

他の所得とは切り離して、所得税15.315%、住民税5%を払う(申告分離課税)。

配当が多くても少なくても税率は一律。

なお、所得税の税率が半端なのは、平成25年(2013年)から平成49年(2037年)まで、復興特別所得税として所得税額に2.1%が加算されているから。

 

譲渡所得:株の値上がりによる所得。

普通は「申告分離課税」として、所得税15.315%、住民税5%を払う。

 

雑所得株主優待による所得。

基本的に、給与などのほかの所得と合わせての「総合課税」となり、所得額に応じて税率が変わる。(所得が多いほど税率が上がる)

ただし、サラリーマンの人は一般に、給与以外の所得の合計が年間20万円までであれば、所得税の申告や納税は不要。

そのため、株主優待の合計が年間20万円以下なら所得税はかからない。

 

NISA(少額投資非課税制度):税金の優遇制度。

NISAの適用を受けた口座(一人1口座)で行う株式投資では、投資をした年から最長5年間、税金がいっさいかからない。

一般NISAは2016年からは年間120万円まで非課税の枠が拡大されている。

制度は2023年まで続く予定で、それまでの間、毎年新たに120万円の非課税枠を5年分、合計600万円まで使うことができる。

新NISAは2024年からは年間122万円まで非課税の枠が拡大されている。

制度は2028年まで続く予定で、それまでの間、毎年新たに122万円の非課税枠を5年分、合計610万円まで使うことができる。

積立NISA2018年からは毎月40万円までの投資から得られる売却益などを20年間非課税にするもので、一般NISAとは選択制。

 

ジュニアNISA:2016年からスタートした20歳未満の人を対象にしたNISA。

年間80万円まで、最長5年間の株式投資が非課税となる。

親や祖父母から年間110万円までは非課税(贈与税)で贈与することができる。

18歳までに引き出すと通常の課税。

 

一般口座:1年間に株式投資で得た配当や譲渡益について、自分ですべて計算し、税金の申告手続きなども行う。利益の計算や税金の手続きについて、証券会社は何もしてくれない。

 

特定口座:口座を開いている証券会社が投資家に代わってその口座での1年間の取引内容をまとめ、書類を無料作成してくれる。

 

源泉徴収あり:取引内容をまとめた書類(年間取引報告書)を作成してくれるだけでなく、さらに税金の計算と納税(源泉徴収)までやってくれるというもの。

 

源泉徴収なし:1年間の取引内容をまとめた書類をもとに、自分で税務署に確定申告する必要がある。株式投資による利益や損失を他の所得と合わせ、税額を計算したり、納税したりする。

 

卵を同じカゴに盛るな:投資する銘柄を増やしていくときに注意すべきなのは、同じ業種、同じ業界の株ばかり持たないということ。

値上がりする時は一緒に値上がりするかもしれないが、値下がりする時は逆に損失も大きくなる。

 

外需株:海外の売上が多い、自動車や電気機器など輸出がメインの会社の株。

 

内需株:国内の売上が多い、建設、電力、ガスなどがメインの会社の株。

 

景気敏感株:不況から好況に向かい始めるとき、まっさきに売上が伸びる業種で、具体的には紙パルプ、化学、鉄鋼などの素材産業や工作機械メーカー、運輸業などの株。

 

ディフェンシブ株:景気が悪化しても底堅い動きをする業種の株。例えば、電力、ガス、食料品、医薬品などが代表例。

いずれも生活に不可欠で、不景気でも売上がさほど変化しないことが理由。

 

ポートフォリオ運用:複数の株に投資しながら、タイミングを見て順次、入れ替えていく投資手法。

損失をなるべく抑えながら値上がり益を確保するようにする。

長期的に安定したリターンを目指すためには不可欠。

 

順張り:流れに素直に乗っていく。

大きな波が上昇していることを確認してから「買う」。

逆に、大きな波が下降に転じたことを確認してから「売る」。

 

逆張り:順張りの逆。

大きな流れが下降を続け、そろそろ反転するころだろうというタイミングを狙って買うやり方。

相場全体が大きく下げた時など、「これは安い!」と思って買うケースなどがあてはまる。うまく下降から上昇へ反転する直前のタイミングで買えれば、大きな「値上がり益」が見込める。

 

ローソク足:白または黒の胴体と、その上下にヒゲが付いた図。

時間の経過に伴って左から右に並べる。

ローソク足1本が1日の株価の動きを表す。

 

陽線:白抜きのローソク足

始値より終値が高かったことを表す。

値上がりの印。

陽線が長ければ長いほど、1日の値上がりが大きかったことになる。

 

陰線:黒塗りのローソク足

始値より終値が安かったことを表す。

陰線が長ければ長いほど、1日での値下がりがきつかったことになる。

 

始値:はじめね。

その日の最初に取引が成立した価格。

 

高値:たかね。

その日の取引の中で最も高かった価格。

 

安値:やすね。

その日の取引の中で最も安かった価格。

 

終値:おわりね。

その日の最後に成立した取引の価格。

 

移動平均線:過去の株価の変動をならして示し、株価の変化の方向性をよりわかりやすく示すもの。

過去どれくらいの期間の平均を取るかによって、5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線

例えば、5日移動平均線は、ある日から過去にさかのぼって5日分の終値を合計し、5で割る。次の日は、また過去にさかのぼって5日分の終値を合計し、5で割る。

 

ゴールドクロス:2つの移動平均線が入れ替わるところ。

短い日数の移動平均線(短期線)が下から、長い日数の移動平均線(中期線)を上へ突き抜ける「ゴールデンクロス」は、相場が下落から上昇に転換したことを示し、「買い」のタイミングとしてよく知られる。

 

デッドクロス:2つの移動平均線が入れ替わるところ。

ローソク足が短期線の下に抜けただけでなく中期線も下回り、さらに短期戦が中期線を上から下へ突き抜ける。

今までの上昇トレンドが崩れてしまった可能性がある。

 

出来高:株が実際に証券取引所で売買された量。

出来高が多い銘柄は、それだけ売りと買いが多く、人気があるということ。市場での取引のエネルギーが大きいとも言える。

 

成行注文:価格にこだわらず(価格は指定せず)、そのときの相場ですぐ、確実に買いたいときに使う。

 

指値注文:さしねちゅうもん。

「この値段で買いたい」というふうに、価格をあらかじめ指定して注文を出す。

「買い」の場合は、注文を出す時の株価よりも安い価格を指定する。そして、市場での株価がその価格にならない限り、取引は成立しない。

 

受渡日:代金の支払いと株の受け取りの日。

売買成立(約定)の日を入れて4営業日後に行われる。

 

買いの逆指値注文:株価が上昇し始めたのをしっかり確認してから買いたい時に、現在より高い株価を指定する指値注文。

上昇トレンドになった状況で買うことができる。

 

売りの逆指値注文:現在より安い株価を指定して、売り注文の予約をする指値注文。

株価がどんどん値下がりして損失が拡大するのを防ぎたいときなどに利用する。

 

信用取引:自己資金にプラスして、口座を開いた証券会社からお金を一時的に借りて株式投資を行う方法。

信用取引で借りられるお金は、自己資金の約3.3倍まで。

 

押し目買い:株価が上がる時に小さなアップダウンを繰り返しながら上昇する株価のクセを利用する。

 

押し目:少し値下がりしたところ。

 

三角持ち合い:株価が一定期間、ほとんど動かなくなり、一定の範囲を上下するだけで、売買高も低調で、さらに株価が動く範囲が狭くなり、ローソク足がどんどん短くなっていく状態。

次のトレンドに向かってエネルギーがたまっているときの形。

三角持ち合いからローソク足が大きく上へ伸びた時(長い陽線)などは、「買い」のタイミング。

 

ダブルボトム:株価が大きく下げた後、底を打って上昇に転じることがよくあり、大底を2回打つときのチャートの特徴的な形。

 

ネックライン:2回の底の間にできた小さな山。

ネックラインを超えたあたりが、「買い」のタイミング。

 

利食い:「含み益」が出ている状況で決済すること。

 

損切り「含み損」が出ている状況で決済すること。

 

ナンピン:「損切り」とは逆に、買った株が値下がりしているときにその株を買い増すこと。

特徴は、平均の買い値を下げ、1株当たりの値下がり率が減ったように見せる効果があること。

 

毎月分配型:毎月、一定の分配金が支払われるもので、低金利にうんざりしている個人投資家が買っている日本で非常に人気な投資信託

投資信託の運用を続けながら、運用成果だけは毎月こまめに受け取りたい」というような投資家のニーズに合った商品。

実態は、運用益だけでは分配金に足りず、元本を取り崩しているケースが大多数。

 

 

 

 

 

 

 

 

本文

 

 

[:1. 始める前に知っておきたい株のキホン]

[:2.失敗しない自分流の株選び]

[:3.「買い」のタイミング判断はシンプルに]

[:4. 「売り」はメンタルコントロールと自分ルールがカギ]

 

 

株式投資は「ギャンブル」とは違う。

 

・ギャンブルでは、みんなが賭けたお金(掛け金)から運営者の取り分を引いて、残りを勝者が総取りする。

 

・ギャンブルでは運営者の取り分なども馬鹿にならない。競馬だと掛け金の約4分の1、宝くじでは半分以上と言われる。最初から儲かる確率より損する確率の方が高いといっていい。

 

・一番リスクが低いのは銀行の預金や個人向け国債だが、今はほとんど利息がつかない。ATMで引き出す時間外手数料などを考えると、実質的にはマイナスになるケースもある。

 

・取引にかかる手数料も、昔は数千円から数万円の固定制だったが、20年ほど前に完全自由化され、今ではオンラインでのトレードであれば1回数百円ほど。証券会社によっては一定額まで無料でできるところもある。

 

・初心者が押さえておくべき基本は、

①自分流の銘柄選び

②買いのタイミング判断

③売りのルール化

 

・数万円程度で買える銘柄はたくさんあるし、中には1万円くらいで買えるものもある。

 

・少ないお金で、まず始めて見ることをお勧めする。数万円レベルで始めるのであれば、仮にいくらか損をしてもダメージはわずかで済む。

 

個人投資家の場合、プロのように決まった期間のうちに結果を出さないといけない、といった制約がない。5年先、10年先を見て、焦らずじっくり取り組み、そこそこ儲けが出ればいい。

 

 

1. 始める前に知っておきたい株のキホン

 

株を買うってどういうこと?

 

株を買うのはキャベツを八百屋で買うのと同じ

 

・「株はどこで買えるか」という質問への答えは、「証券取引所の免許を持った証券会社で買える」。

 

個人が買えるのは上場株だけ!

 

・世の中には数えきれないくらいの株式会社があるが、それらの会社が発行する株がすべて東京証券取引所などの市場で取引されているわけではない。日本には現在、東京、名古屋、札幌、福岡の4つの証券取引所があり、それぞれが会社の規模などいくつかの基準に応じて会社を選び、その株を一般に取引できる株式市場を運営している。

 

・規模が多くて有名な会社でも、株を証券取引所に上場していない「非上場株」は結構ある。そういう会社の株は残念ながら、一般の個人が買ったり売ったりすることは基本的にできない。

 

株式市場の取引時点は決まっている

 

・上場株を買ったり売ったりするには、証券会社に注文を出し、それを証券取引所に取り次いでもらう。

 

証券取引所(株式市場)で取引されるのは、平日の午前9時から午前11時30分まで「前場」と、午後0時30分から午後3時(15時)まで「後場」の間。

 

・週末や祝日、夜間などに証券会社が受け付けた注文は、仮受け付けの状態で、翌日(週末などは翌週の月曜日)に証券取引所が開いたら順次、処理されることになっている。

 

株はいくらから買えるの?

 

1万円未満で買える株もある

 

・もっとも購入代金が高い株を買うには、約1000万円の資金が必要。ユニクロで知られるファーストリテイリングも、300万円以上のお金が必要。その他、100万円以上ないと買えない株は50以上にのぼる。それらの株を発行しているのは基本的に大手で業績が好調だったり、急成長したりしている企業。

 

・一方、1万円未満で買える株もたくさんある。そうした株は1株当たりの株価が100円を割り込んでくるものが多く、経営自体があまり良くないケースが多いので注意が必要だが、驚くほど少ないお金で買えることは確か。

 

最低限必要な金額は株価の100倍か1000倍

 

・株を買うのに最低限必要な金額= 1株当たりの株価(円) × 単元株数(株)

 

・投資家にはわかりにくいので、現在は100株か1000株のいずれかに整理され、近い将来には100株だけになる見込み。

現状はまだ、ある株の購入代金として最低いくら必要かは、その株の単元株数を確認しなければならないが、将来は単純に1株当たりの株価を100倍すればよくなる。

 

株価はどうやって決まるの?

 

・株式市場での売り手と買い手のバランスで決まる。

その会社の株を買いたいという人が多ければ株価は上がり、その会社の株を売りたいという人が多ければ株価は下がる。

 

・株価そのものが会社の規模や経営の状態を表すわけではない。

 

・1株当たりの株価が高い方が良い会社、1株当たりの株価が安いと危ない会社、とは必ずしも言えない。

 

・株価そのもので会社の規模や経営状態を判断するのではなく、他の情報と合わせてみることが大事。

 

株はどうやって儲かるの?

 

株式投資での儲け方は3つ

 

・株式で儲けるには、

株主優待

②配当

③値上がり益

という3つの方法がある。

 

株式投資と比べ、銀行預金では利息が付くだけ。外国為替証拠金取引(FX)では、金利(スワップ)と値上がり益の2つ。

 

選ぶ楽しさが魅力の「株主優待

 

株主優待はあらかじめ会社が約束しているものだから、配当や値上がり益より確実な儲け方。

 

・株を買う金額に対する割合もすぐ計算できる。

例えば、10万円で買える株で、年間3000円分の商品がもらえるなら、それだけで投資額に対して3%のリターン(利回り)が見込める。

 

株主優待にさらに配当額を加えると、年10%を超えるリターンになる銘柄もある。

 

・株を買ってから株主名簿に株主として載るにはルール上、3日かかるから、権利確定日の3日前(権利付最終売買日)には、その会社の株を買わなければならない。

3日というのは株式市場が開いている日でカウントし、土・日や祝日は含まない。土・日や祝日が間に入ると、それだけ日数は増える。

 

株主優待をもらうには、1年以上、株を持ち続けないといけないなど、別の条件を設けている会社もある。

 

・株を買えばすぐ、株主優待がもらえるというわけではないから、それぞれの会社ごとの条件をよく確認する。

 

株主優待そのものは魅力的でも、その後、株価が大きく下がり、最悪の場合は倒産してしまう会社もある。

 

・経営が上手くいっているのかについても、一緒にチェックする。

 

・いくら有利な株主優待であっても、自分の家の近くに優待券を使える店がなかったり、自分では利用しないサービスは避けた方がいい。

 

・基本的には自分や家族が使えるものを選んだ方がメリットを実感できていい。

 

預金の利息に似ている「配当」

 

東証1部に上場している株の平均では、株価に対する配当額の割合は年1.7%程度になり、これだけでも銀行預金より高い水準。

 

・銀行に預けてもほとんど利息が付かない今、4%以上の配当が付く銘柄がいくつもある。

 

・成長力の高い新興企業では、黒字であっても成長のための投資を優先して配当しないこともある。アメリカの例だが、GoogleAmazon、かつてのMicrosoftAppleがそう。そういう成長力の高い新興企業は、配当がゼロでも株価が上昇するから投資家には人気がある。

 

・初心者が配当を重視して株を選ぶのであれば、

①これまで安定して一定の配当を続けているのかどうか

②配当の元手となる毎年の利益やこれまでの利益の蓄積(利益剰余金)がどれほど厚いのか

といった点をチェックしたほうがいい。

 

うまくいけば投資額の何倍にもなる「値上がり益」

 

・「株主優待」や「配当」に比べ、「値上がり益」はうまくいけば投資額の何倍、何十倍になることもある。

 

株式投資の最大の魅力は、「値上がり益」。

 

・「値上がり益」がいくらになるかは、株を買ったときの市場での取引価格(株価)と、その株を売ったときの市場での取引価格(株価)の差で決まる。

 

・買ったときより売った時の株価が高ければ高いほど、また買った株数が多ければ多いほど、儲けは大きくなる。

 

・値下がりのリスクをうまくコントロールしながら、なるべく大きな値上がりを確保することが重要。

 

コストはどれくらいかかるの?

 

ネット証券なら売買手数料はわずか

 

株式投資を行う際にかかるコストで代表的なのは、証券会社に支払う売買手数料と、配当や値上がり益にかかる税金(所得税と住民税)。

 

・売買手数料には、1回の取引が成立するごとにかかるタイプと、一定の取引金額に達するまで1日に何度売買しても手数料が一定のタイプがある。

 

・初心者は、デイトレーダーのように毎日何度も売買することはないから、1回ごとにかかるタイプで、かつ金額の安い証券会社を使うのがお勧め。

 

・ネットが主力の証券会社(ネット証券)であれば1回あたり数百円で済むところがほとんど。

 

・大手の総合証券会社では、売買手数料は1回数千円から数万円することもある。かなり大口の株式投資をするのでなければ、手数料の負担が重いことは否めない。

 

・現在では、個人投資家株式投資を行うのは基本的にネット証券や、大手総合証券でもネットを利用した取引方法が主流になっている。

 

税金は基本的に儲けの約20%

 

・株を売って損が出た場合、ある程度、取り戻す方法がある。

まず、同じ年に他の株などで得た値上がり益(譲渡所得)や配当(配当所得)と合算して、プラスとマイナスを相殺すること。同じ証券会社の口座で取引していれば普通、証券会社の方で合算して処理してくれる。複数の証券会社に口座を開いているなら、自分で税務署に確定申告する必要がある。

また、他の株などの儲けが無かったり、損が大きすぎたりした場合は、株の損失を向こう3年にわたって繰り延べることもできる。損失繰り延べの場合も、分離課税ではなく、自分で税務署に確定申告する必要がある。

 

ネット証券で口座を作ってみよう

 

証券会社を選ぶ基準は2つ

 

・ネット証券を選ぶ基準としては、

①ネットでの売買手数料の金額

②ネット画面の見やすさや操作のしやすさ

 

・売買手数料については、ネット証券であればそれほど大きな違いはないが、自分が買いたい会社の株では売買代金とそれに対する手数料がいくらになるのかはきちんと確認する。

 

・口座を開設するだけなら無料、という証券会社が少なくない。最初からどれかひとつに絞り込むのではなく、2~3社で実際に口座を開設し、使い比べてみるのもよい。

 

初心者なら「特定口座」の「源泉徴収あり」がお勧め

 

株式投資で大きな損失が出た場合、翌年以降にその損失を繰り越すには確定申告が必要。

株式投資にある程度、慣れてきたらサラリーマン以外の人でも、「特定口座」で「源泉徴収なし」、つまり証券会社で取引内容をまとめてもらい、確定申告は自分で行うという形に変えるのが良い。

 

 

2.失敗しない自分流の株選び

 

応援したい会社をまず1社買ってみる

 

まず1社買って「自分の株」と自覚する

 

・会社は東京証券取引所で3500以上、その他の取引所も含めれば4000近くあって、規模や業種、事業内容など様々。

 

・絶対に儲かる株が見つかるまでは買わない、なんて考え方でいるといつまでたっても株式投資を始めることはできない。

 

・自分にとってわかりやすく、納得いく基準でとりあえず選んでみればいい。

 

株式投資は実際やってみないとわからない点が多く、少額でいいからまず1社買って、「自分の株」と実感してみることが大事。

 

身の回りや仕事関係で知っている上場企業をピックアップする

 

・日常生活の中で商品やサービスを利用している会社や、仕事を通じて事業内容を知っている会社の中から選ぶ。

 

・商品・サービスや事業のことをもともと知っているから興味や関心を持ちやすく、経営状況についての理解も早い。

 

最近の話題や社長のメッセージを見てみる

 

・企業のプロフィールやビジネスのやり方、最近の話題、社長のメッセージを見ていく。

 

・少しずつ調べて自分用の「株ノート」に整理する。

 

・「株ノート」の主な項目

会社のプロフィール

ビジネスのやり方

最近の話題

社長のメッセージ

 

・業界において他社と比べてどこが強み(特色)か、どこが弱み(課題)かということも重要。

 

「商品やサービスが好き」「応援したい」で1社選ぶ

 

・お金の判断には、会社の財務内容や業績の見通し、業界を取り巻く環境変化などいろいろなことを調べて分析しなければならない。初心者がいきなり取り組むにはハードルが高い。

 

・1社目については自分の感覚を信じることをお勧めする。

 

・「商品やサービスが好きか?」「その会社を応援したいかどうか?」という気持ちを基準にする。

 

・リターンがすべてのプロではなく、個人投資家だからできる株式投資のスタイル。

 

・1社目の投資額は少なく、せいぜい10万円くらいまでで選ぶ。

 

買った会社のことをさらに深く調べてみる

 

・初心者はある程度割り切って、経営に関係したとりわけ重要な数字だけに注目する

①売上高

②利益

自己資本

 

・利益は数字そのものも大事だが、売上高と比べてその割合をチェックする。

 

自己資本がたくさんある会社は、リーマンショックのような経済危機が起こった時も嵐が過ぎ去るのを待つ体力がある。

 

2社目は成長が期待できる会社を探してみる

 

・「これから大きく成長しそうかどうか」

 

・お勧めなのは、最初に買った会社と取引があったり、ビジネス上でつながりのある会社から探すこと。

 

・初心者が狙うのはあくまで事業内容が理解できて、しかも一定の規模のある会社がいい。この段階ではまだ、誕生したばかりの小さなベンチャー企業や値動きが激しい中小企業を選ぶことはお勧めしない。

 

候補企業の「成長力」「収益力」「健全性」をチェック

 

・①きちんと売上高が伸びているかどうか → 成長力

 ②売上からどれくらい利益を確保しているか → 収益力

 ③リーマンショックのような状況になっても生き残れるか → 健全性

 

きちんと売上が伸びているかどうか(成長力)

 

・成長力がどれくらいあるかは、売上高が前年に比べてどれくらい(何%)伸びたかでチェックする。

 

・ある年だけ大きく伸びて他の年はぱっとしないという会社もある。何年にもわたって安定して成長する方が望ましい。

 

・前年と比べるだけでなく、過去3~5年分くらいの伸び率を並べてみることが重要。

 

売上からどれくらい利益を確保しているか(収益力)

 

・売上高に対する経常利益の割合を示す「売上高経常利益率」が収益力を判断する代表的な指標。

 

・最新の数値を見るだけでなく、過去5年ほどさかのぼってどのように推移しているのかを見ることが重要。

 

リーマンショックのような状況になっても生き残れるか(健全性)

 

・健全性を判断する指標としては、「自己資本比率」が代表的。

 

・一般に、自己資本比率は50%以上が望ましいと言われているが、日本の会社の自己資本比率は全般的に低く、全産業平均(平成27年度)では40%程度。

 

同じ業種、業界の株ばかり買わないこと!

 

・投資する株の銘柄を増やしていくときに注意すべきなのは、同じ業種、同じ業界の株ばかり持たないということ。

 

・個人の投資家にとって何より重要なことは、長く株式市場で投資を続けていくこと。

大きな儲けを逃がしても構わないが、大きな損失を出すことは絶対避けなければならない。多少のアップダウンがあっても、長く続けていればそこそこのプラスを得ることは難しいことではない。

 

株価が動く理由が異なる業種を組み合わせる

 

・外需株 + 内需株

景気敏感株 + ディフェンシブ株

 

タイミングを見て入れ替えていく

 

・あらかじめ購入・売却のタイミングについての目安やルールを決めておく。

 

 

3.「買い」のタイミング判断はシンプルに

 

株は安いときに買う!

 

初心者は相場の大きな流れに乗る「順張り」を徹底

 

・相場の流れに乗る。

 

・ポイントは、大きな波がはっきり上昇に転じたとわかるまで待つ、ということ。

 

・大きな波というのは数か月くらいの期間での変化で、月初より月末の方が値上がりしているかどうか。

 

・毎日のアップダウンについてはとりあえず、気にしないようにする。

 

・「逆張り」は「安い!」と思った株価がさらに大きく値下がりすることもよくあり、初心者にはあまりお勧めできない。

 

・「逆張り」はあくまで、上級者向けのやり方。

 

チャートを見るために必要な3つのキホン

 

ローソク足」は株価の動きをわかりやすくしたもの

 

・「順張り」や「逆張り」といった判断をするためには、一定期間における株価の動きを把握することが欠かせない。

 

・便利なのが「ローソク足」を使ったチャート。

 

1本の「ローソク足」から4つの価格がわかる

 

・1日の株価の動きをローソク足はすごくシンプルに表しているから、ローソク足を読めるようになれば、その株の1日の株価の動きがわかり、これからどう動くか予想もしやすい。

 

ローソク足を読むにはまず、ローソク足の胴体の部分が「陽線」か「陰線」かを確認する。

 

・1日の始値終値が同じだったら、胴体がなくて横線だけになる。

 

・次に、胴体の上下に伸びたヒゲを確認する。

 

・「陽線」でも「陰線」でも、ローソク足の胴体よりも上に伸びたヒゲの先端がその日の高値、胴体より下に伸びた先端がその日の安値。

 

・1日の始値=安値、終値=高値だったら、ローソク足にはヒゲはなく、陽線の胴体のみとなる。

逆に1日の始値=高値、終値=安値だったら、やはりローソク足にヒゲはなく、陰線の胴体のみとなる。

 

ローソク足に「移動平均線」を合わせてみる

 

・チャートで株の売買のタイミングを判断するにあたっては、ローソク足に加えてテクニカル分析と呼ばれる指標も参考にするのが一般的。

 

移動平均線には大きく分けて3つの使い方がある。

第一は、移動平均線の傾きを見て、相場のトレンドを判断するという使い方。

第二は、ローソク足移動平均線からどれくらい離れているかによって、買われすぎや売られ過ぎを判断するという使い方。

第三は,5日移動平均線と25日移動平均線、あるいは25日移動平均線と75日移動平均線といった期間の違う2つの移動平均線を組み合わせて、トレンドの変化を判断するという使い方。

 

・初心者は、ローソク足の形などと合わせながら、2つの移動平均線の「ゴールデンクロス」を「買い」のタイミングの目安とする。

 

出来高」も併せて見れば完璧!

 

出来高が増えると株価が大きく値上がりしたり、逆に悪いニュースであれば出来高の増加をともなって大きく値下がりしたりすることがある。

 

・一般に出来高の増加は、株価の上昇や下落に少し先行する傾向があるから、ローソク足移動平均線の変化と一緒に見ておくことが重要。

 

「買い」の注文はこうしよう

 

・値動きが激しいときは自分の考えとはかなり違った価格になることもあるが、株式市場では1日に動く値段の幅が銘柄の価格帯ごとに決まっていて、その幅を超えて高い値段や安い値段で売買が成立することはない。

 

指値注文」は希望価格で注文を制約させたいとき

 

・「買い」の場合は、注文を出す時の価格よりも安い価格を指定する。

 

・複数の投資家からの買いの指値注文が重なった場合、一番高い価格の注文が優先(価格優先)される。同じ価格の指値注文が重なった場合は、先に取引所に出された注文が優先(時間優先)される。

ただし、立会開始時(寄り付き)と立会最終時(引け)については、それまで出された注文がすべて同時注文として取り扱われ、指定された価格を突き合わせながら処理される。それ以外の時間帯でも、売り買いの注文が殺到したときは同じように同時注文として取り扱われることがある。

 

信用取引」は初心者には向かない

 

・基本的に短期売買のデイトレーダーがよく利用する方法であり、初心者は避けた方が無難。

 

「買い」のタイミングはこう判断しよう

 

・初心者にお勧めなのは、

押し目買い

②三角持ち合い

③Wボトム

の3つ。

 

押し目買い」は上昇途中で少し値下がりしたときがチャンス!

 

・株価が上昇する際には一本調子の右肩上がりになるのではなく、小さなアップダウンを繰り返しながら上昇する。少し値上がりしたら売る株主が出てきたり、それでも上昇の理由が強ければ新たに買う人が出てきたりするから。

 

移動平均線では、短期線とローソク足の位置関係を目安にするとよい。上昇トレンドにおいてローソク足は、短期線より上のところで上下することが多いから。

 

・まず短期線が中期線を下から抜ける「ゴールデンクロス」になったことを確認する。

その後、ローソク足がいったん短期線から上に離れていったものの、少し下がってきて短期線にタッチするくらいになったところで「買い」のタイミングと判断する。

 

・はっきり「押し目」とはわからないこともある。そこで、2~3回に分けて「買い」の注文を入れるようにする。

 

・上昇トレンドの途中で株価が下がった時、押し目なのかトレンドの転換なのかは、非常に重要。

 

「三角持ち合い」はローソク足が短くなった後、上へ大きく伸びた時が狙い目!

 

・「三角持ち合い」からローソク足が上へ大きく伸びた時(長い陽線など)は、「買い」のタイミング。出来高もそれまでより大きく増えていれば、自信を持って「買い」に動いていい。

 

「ダブルボトム」は株価が2回大底を打って上昇し始めたときがチャンス!

 

 

 

4. 「売り」はメンタルコントロールと自分ルールがカギ

 

株は高いときに売る!

 

売らなければトータルの利益はわからない

 

・中長期での株式投資においても一番大事なのは「売り」のタイミングを間違えないこと。

 

・「今、決済すべきかどうか」を決めるのが、売りのタイミングを判断するということに他ならない。そして、買いのタイミングの判断よりもはるかに難しいと言われる。

なぜなら、買いの場合は迷ったら見送ればいいから。

売りの場合は、すでに株を買って持っているため、見送ることが損失に直結することがある。

 

投資は心理ゲームである

 

・多くの人が「含み益」が出ているときは早めに決済してしまい、「含み損」が出ているときは決済を先延ばしにしがち。目の前の利益は早く手に入れたいと思い、損失は挽回の可能性に賭けたくなるから。

 

・多くの投資家が「まだ上がるはず」と思えば株価は上がる。多くの投資家が「そろそろ天井だろう」と思えば株価は下がる。

 

・1990年前後のバブル景気、2000年度前後のITバブル、2008年のリーマンショックなども、元をたどれば多くの投資家の心理の動きがその裏にある。

 

株式投資にあたって「いま、自分はどう感じているのか」「他の投資家はどう考えているのか」ということを意識してみると良い。最初はなんだかよくわからなくても、そういう意識を持っているだけでいろんなことが見えてくるはず。

 

自分の限界を超えない金額で投資する

 

・「売り」のタイミングの判断にあたっては、できるだけ冷静な心理状態でいられるかどうかは非常に重要。

 

・人にはそれぞれ、冷静に判断できる金額の限度があるから、まず、投資金額に注意する必要がある。

 

・少ない金額であれば、初心者でもそれなりに冷静に、株価の動きを見ながら、「ここが売り時かな」といった判断ができる。失敗しても、「なぜあそこで決済できなかったのだろう」と落ち着いて分析できるはず。そういう経験を積み重ねながら、少しずつ投資金額を増やしていけばいい。

 

1回の最大損失額をあらかじめ決めておく

 

・冷静な心理状態で株式投資を行うには、1回あたりの最大損失額をあらかじめ決めてルールにしておくのが有効。

 

・「ここまで損したら心が折れる」という金額を自分で考え、含み損がその手前の一定額になったらいったん決済すると決めておく。

 

・「そのうち値上がりするかもしれない」という考えを続けることは非常に危険。いつまで経っても決済できず、結局、投資資金の多くを失ってしまうことにつながる。

 

・1回あたりの最大損失額を決めておくというのは、自分の判断ミスを認める「限界線」を引くということに他ならない。その線を超えたら1回、自分のミスを受け入れ、撤退する。

 

・最初から負けることを想定するわけではなく、最大損失額の範囲内の含み損であればあたふたせず、「まだ大丈夫」「きっと上がるだろう」と思っていればいい。

 

誰もがはまる投資家心理に注意しよう!

 

・人間というのは、肉体的にしろ精神的にしろ「痛み」を本能的に避けようとする。

 

自分が知っている価格水準に引きずられる

 

・一般に大きな利益を手にする投資家は、過去の株価との比較による印象だけで「高すぎる」「安すぎる」と決めつけず、株価の動きを素直に見て、その動きについていく。

 

・今の株価・相場だけで「高い」「安い」と決めつけない。

 

・自分が「高い」「安い」と感じても、それは過去の株価に引っ張られているからではないか、一度立ち止まって考えてみるだけで、投資判断の精度は上がるはず。

 

自分に都合の良い情報ばかり集めて納得する

 

・買った株が大きく値下がりしてしまった場合、「せっかく買ったのだから」という風に考えることはお勧めできない。そのまま持ち続けて損失が膨らんだり、場合によっては「こんなに安くなった」とばかり買い増し(いわゆるナンピン)してしまったりすることにもなりかねない。

 

「もうそろそろ」という勘に頼ってしまう

 

・投資において勘は大事。しかし、勘だけに頼っているといずれ失敗する。勘は「当たれば儲けもの」というくらいでいい。

 

・「もうそろそろ」というのが単なる印象か、何らかの裏付けがあるのかは、はっきり区別しておかないと失敗する。

 

株式投資をしているといろいろな心理の動きを経験する。自分ではそれほど意識していなくても心理面のプレッシャーは少なくない。

 

「儲ける」ためのルールはこれだ!

 

欲に目がくらんで深追いしない

 

・「含み益」が出ている場合の方が、「含み損」が出ている状況よりは「売り」のタイミング判断は比較的冷静に行える。

 

買った時から2割の値上がりを目安にする

 

・「もっと上がるはず」と深追いするのはほどほどにする。

その代わり、自分なりの「売り」の目標を決めておいて、そこに達したら売ることを徹底する。

 

・具体的には、買った時の価格から2割上がれば、いったん「売る」ということをお勧めする。

 

・株にもよるが、3割を超える値上がりに設定すると、そこまで到達する前に値下がりに転じる場合が増えてくる。逆に1割だと、1割上がってさらに上昇するケースが多い。

 

・株の特徴や株式市場の状況などほかの条件も勘案しつつ、2割を2割5分とか3割に引き上げたり、逆に1割5分くらいに下げたり、調整することも考える。

 

慣れてきたら2段階方式で利益確定する

 

・第1段階は、「買った時から2割の値上がり」といったシンプルな目安を決める。

 第2段階は、この目安を超えて値上がりしてもそこではすぐ決済せず、しばらく様子を見る。

第1段階の目安を上回った後、ピークをつけてから今度は値上がり分の例えば10%下がったところで「利食い」の決済をする。

 

・優秀なプロのトレーダーは「損切りは早く行い、儲けはできる限り引っ張る」と言われる。

 

・「利食い」のルール化は、「売り」のタイミング判断における心理面の影響を少なくし、冷静に行動することができる効果がある。

もちろん心理面の影響をゼロにすることはできないが、心理面の動きについて理解しておくとともに、自分なりのルールを決めておくことで、株式投資の勝率は確実に上がっていく。

 

損切り」は成功のための最強テクニック!

 

・「利食い」と「損切り」を比べると、圧倒的に難しいのが「損切り」。

 

・「損切り」ができるかできないかが、株式投資で成功するかしないかを左右すると言っても過言ではない。

 

・「損切り」が重要な理由は大きく分けて3つ。

第一は、投資資金を守るため。

投資資金が減ると、それを元に戻すのは大変。

第二は、投資資金を有効に活用するため。

含み損が出ている株を持ち続けるということは、投資資金を寝かしておくということに他ならない。

いったん「損切り」し、他にもっと値上がりが期待できる株を選ぶことで、大切な投資資金を有効に使うことができる。

株式投資の目的は最終的なリターンをプラスにし、またプラスをできるだけ伸ばすこと。1回損失があっても、次でそれ以上のプラスを出せばいい。「いったん損を出す」ことは決して失敗ではない。

第三は心理面をリセットするため。

一度「損切り」をして株の持ち高をなくし、冷静になる。できればしばらく(最低でも2~3週間)、株価の動きも見ないくらいがいいかもしれない。その後、もう一度その株の実力や株式市場の状況などを検討し、その株を買うべきかどうか考え直してみる。

 

損切り」は早ければ早いほど良い

 

・何度か値下げしたらそこで決済するという目安をあらかじめ自分のルールとして設定する。

 

・「損切り」の目安は「利食い」の目安よりも狭くすること。

利食い」の目安を2割の上昇とするなら、「損切り」の目安は「利食い」の目安の半分、買った時の価格から1割の下落とするのがお勧め。

つまり、「利食い」と「損切り」の目安は、だいたい2:1くらいの幅に設定する。

 

・「損切り」の目安の方を狭い幅で設定するのは、早めに「損切り」するため。

利食い」の目安の半分の幅で「損切り」の目安を設定すると、「損切り」になるケースの方が当然増える。2回続けて「損切り」に引っかかっても、次で2割値上がりして「利食い」できれば自己資金はほぼ元に戻る。

 

・早めの「損切り」はまた、判断ミスを修正する良い機会になる。自分がその株を選んだ理由、買い注文を出したタイミング、など何が間違っていたのかを振り返ってみる。

そういう反省の積み重ねが、株式投資の経験値を上げることにつながる。

 

株の特性に合わせて「損切り」ラインを調整する

 

・「損切り」の目安は、いったん決めたら安易に動かさない。

 

・とにかく、あらかじめ決めた目安に達したら、機械的に決済する。

 

・「あっ、また引っ掛かっちゃった!」というくらいでいい。そして、その都度、何が悪かったのか(銘柄選びか買い注文のタイミングかなど)を考えてみる。

 

・値動きが小さい株の場合は、「損切り」の目安を1割よりさらに狭くすればいい。

逆に、値動きが大きい株の場合は、「損切り」も目安は2割ほどまで広げた方が良い。

損切り」の目安を広げたら、「利食い」の目安も広げる。

設定は柔軟に行うが、いったん決めた目安は必ず守るようにする。

 

・目安を見直すのは、設定した目安に引っ掛かって「利食い」あるいは「損切り」した後。決して、いったん株を買った後で「利食い」と「損切り」の目安をコロコロ変えるようなことはしてはいけない。

 

値下がりしている株を買い増す「ナンピン」は厳禁

 

ナンピンの最大の問題は、ナンピンした時点からさらに株価が下落したら、ナンピンしなかった場合よりも含み損が増えてしまうこと。

 

ナンピンはもともと「買い」の判断が間違っていたところに、株価のトレンド(値下がり)に逆らう「逆張り」という難しい手法をプラスするもの。

元の判断が間違っているところに、さらに難易度の高いやり方をプラスするから、ナンピンは失敗する確率が高い。

 

・初心者のうちから「ナンピン」をやるクセがつくと、「損切り」がなかなかできなくなる。

 

自分で損切りが出来なければ「売りの逆指値注文」を利用する

 

・例えば2割の値上がりを目安にした場合、当初は2割値上がりした価格で「売りの指値注文」をしておく。そして、含み益が買ったときより2割を超えて値上がりしそうになったら、この「売りの指値注文」をはずす。

それと同時に「売りの逆指値注文」によって、その時点の値上がり分から10%下がったところで売りの注文が出るように予約する。株価がそのまま値上がりしていけば、それに従って「売りの逆指値注文」で指定する株価も引き上げていく。

 

 

 

長期的な視点で株式投資に取り組むにあたって、心にとめておきたいポイントは、3つある。

 

今後、リーマンショック級の金融危機は訪れるのか?

 

・第一は、再びリーマンショックのようなことはあるのか、ということ。

 

株式投資というものはそもそも、日本や世界の経済が今後も成長することに賭けるということ。

PwCでは世界経済は年平均約2.5%のペースで成長し、2042年には2016年の倍の規模になると予測している。IMF(国際通貨基金)なども、長期的に世界経済は拡大を続けるという見方では一致している。

 

・楽観的に日本と世界の経済成長に賭ける。株式投資においては、その基本スタンスを見失わないようにする。

 

まずは個別株で株式投資、インデックスファンドは積立用と使い分ける

 

・第二は、株式投資をするにしても、個別株ではなくて投資信託でよいのではないかということ。

 

投資信託なら、どの株をいつどれくらい買ったり売ったりするのかという判断はプロ任せ。また、投資先が分散されるため、個別株よりも価格変動のリスクを抑えることができる。

しかし、日本では現在、誰でも買える公募の投資信託が約6000本あると言われ、上場株式の銘柄数よりも多くなっている。どの投資信託を選ぶかという点では、個別株よりハードルが高いくらい。

 

投資信託では購入時に証券会社などに購入手数料を支払い、その後も運用会社に年数%の信託報酬(運用管理費用)を支払わないといけない。

手数料の負担がかなり重いのもデメリット。

 

・そもそも、株式投資の基本を理解し、経験を積むという意味では、少額でいいからまず個別株にトライしてみる方が良い。

株の選び方や売買のタイミングの判断など、実際にやってみないとわからないことは多い。そうした知識や経験は、投資信託を利用する場合にも必ず役に立つ。株式投資の基本がある程度、わかったら「毎月分配型」の投資信託を選ぶということはない。

 

・個別株で株式投資の勉強を行いながら、インデックスファンドでの積み立てを併せて行うというやり方も良いかもしれない。

 

株式投資に慣れたらアメリカや中国の株も買ってみる

 

・第三は、外国株について。

 

・今すぐ外国株を買うということではなく、10年後、20年後を考えた場合、外国株も一つの選択肢として視野に入れておくべき。

 

・基本的に、外国株を買った時より円安になればプラス(得)、円高になればマイナス(損)の影響が出る。

 

・経済力という点での日本のポジションは、世界の中で徐々に下がっていくことは避けられない。そして、経済力が低下する国の通貨は、経済力が上昇する国の通貨に比べて弱くなっていく。

中長期的に考えれば、次第に「円安」になっていく確率が高く、そうであれば外国株を買って持ち続けることで為替の点でもプラスになると考えられる。

 

・個人が行う株式投資は基本的に、半年や1年といった目先の儲けを狙うのではなく、それこそ10年、20年とい長いスパンで行うもの。

そういう長期的な視点での株式投資は、早く始めるに越したことはない。

 

以上。

これらの知識を活かして、個別銘柄の株式投資を始めてみてはいかがだろうか。

 

 

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