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Article Memories vol.12: 米ファンド、日本のオフィスREITに買収提案 1700億円

Theme: 金融

Time: 約5分

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 米投資ファンドスターウッド・キャピタル・グループは、日本の上場不動産投資信託REIT)のインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の全ての投資口(株式に相当)を1口2万円で取得する計画を公表した。取得額は約1700億円となる見通し。事前にインベスコ側の同意を得ていないとみられる。

スターウッドは今後、インベスコに対してTOB(株式公開買い付け)を実施する予定という。2020年10月末時点の保有不動産の含み益を考慮したNAVネット・アセット・バリュー、純資産総額)の1口あたりの金額である1万7684円よりも高い。

 

 新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの定着でオフィス市況は不透明感が増している。スターウッドREITを非公開化したうえで、賃料契約や更新などに取り組み、収益を高める方針という。

スターウッドは事前の同意を得ていないとみられる。

 

 日本のREITの再編はこれまで、経営が苦しくなった法人の救済や、同じ不動産会社の傘下にある法人同士の合併が多かった。19年にスターアジア不動産投資法人が、さくら総合リート投資法人に対して事前同意のない合併を提案。さくら側の運用会社は反対を表明したものの、その後開いた投資主総会(株主総会に相当)で合併が可決され、国内REITで初の敵対的M&A(合併・買収)が成立した。

 

 スターウッドは不動産やインフラなどに投資する世界大手ファンドで、現在の運用資産は750億ドル(約8兆円)を超える。日本には01年に参入し、00年代に住宅やオフィスビルなどへ投資していた。一時は日本での投資活動を停止していたものの、21年1月にアジアの地域統括拠点を香港から東京に移し、投資を再開した。

Article Memories vol.11: 野村とクレディ、巨額損失懸念 欧米金融に拡大も 

Theme: 金融

Time: 約5分

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 米投資会社に絡むとみられる損失への懸念が世界の金融機関に広がっている。

野村ホールディングスは米顧客との取引に関連して約20億ドル(約2200億円)の損失が生じる可能性があると発表した。スイスの金融大手クレディ・スイス・グループも巨額の損失計上の可能性を発表した。

 

 投資会社のアルケゴス・キャピタル・マネジメントが、保有株の下落で打撃を受けて資産を投げ売りした。野村HDやクレディの損失はアルケゴスに関連しているとみられる。

アルケゴスは著名なヘッジファンドのタイガー・マネジメント出身のビル・ホワン氏らの資産管理会社。アルケゴスは保有するメディア銘柄が下落したことで打撃を受けた。担保の追加差し入れ(追い証)を求められたが、対応できずに保有する米中のメディア銘柄などの投げ売りにつながったようだ。

 

 アルケゴスの売買注文を受けた米ゴールドマン・サックスは、バイアコムCBSなど米メディア銘柄や、百度バイドゥなど中国企業の銘柄など計105億ドル(約1兆1500億円)相当の株式を相対で大量売却する「ブロック取引」をしていた。

野村やクレディはアルケゴスへの融資や株式ポジションの一部引き受けなどをしていたようだ。アルケゴスの行き詰まりにより、融資の回収やポジション解消で損失が発生するとみられる。クレディの損失は30億~40億㌦とみられる。

 

 欧米の大手金融機関もアルケゴスとの取引があるとみられ、今後関連した損失が広がる可能性もある。アルケゴスによる資産売却が一巡したかは明らかでなく、「ヘッジファンドレバレッジを落とす動きが継続する可能性があり、過剰流動性相場のほころびが広がっていくことへの警戒」も高まっている。

Book Memories vol. 15 :  ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法

Theme: 自己啓発

Time: 約5分

Difficulty: 

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「ヤフーの1on1」の画像検索結果

 

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 自分なりに大事だと思ったところをまとめたので、興味のある方は読んでいただければ、と思う。

 

  特に本を読んだ上で自分なりの解釈だったり派生させたことを書いたりしているわけではないが、一種の教科書的な感じで大事な点をさくっとまとめ、自分の知識の幅を広げていくためのアウトプットのツールとして使うことにしている。また記事の最初にVocabs欄を設け、キーワードや専門用語などを載せているので知識を効率的に広げていただきたい。読者の方々にはもし知らないことがあれば身につけていただきたいし、ただ要約しているだけなので、よくわからない点があれば自ら購入して読んでいただくなりと、自由に使っていただければと思う。

 

 

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Article Memories vol.10: 週刊東洋経済 1/30号:1億人の「職業地図」

Theme: 金融・経済・政治

Time: 約20分

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「1/30号:1億人の「職業地図」」の画像検索結果

 

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経済を見る眼 

生活保護に至る前の支援の意義

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、生活困窮者が増えている。しかし、生活保護の受給者数を見ると、意外なことに増えていない。

 

今後受給者増の可能性はあるが、なぜこれまで増えてこなかったのか。
この背景として、雇用調整助成金生活福祉資金の特例貸付などの利用が影響したという見方がある。それに加えて、リーマンショック以降、住居確保給付金など、生活保護に至る前の段階での支援制度が拡充されたこともあるだろう。

 

生活保護に至る前の段階で支援をしていくことには、次のような利点があると考えている。
第1に、早期に生活再建を図れる点。

第2に、スティグマ(恥辱)を感じにくい点。

 

ただし、住居確保給付金は有期の制度である。住居さえ確保できれば何とかやり繰りできる人は多いので、期限後の支援のあり方を議論する必要がある。一方で、感染拡大が長引けば、生活保護の受給者が増えて、「社会保障の最後の砦」としての生活保護の重要性が一層高まる。もっと「入りやすく出やすい制度」にできないか。
 未来は不確実であり、誰もが貧困に陥るリスクを抱えている。広く社会として、生活困窮者を救済していく制度のあり方を議論すべきだ。

 

 

HSBCが宣言、「サステナブル金融」の時代

 

20年10月には、自信の事業運営およびサプライチェーンのネット・ゼロ達成期限を30年に設定。さらに、広範な業種の顧客の排出量削減、低炭素経済への移行支援によりパリ協定の削減目標に適合させ、50年までに顧客自身のネット・ゼロを実現させるという意欲的な目標を発表した。顧客の低炭素経済への移行を支援するため、今後10年間で7500億米ドル~1兆米ドルという、大規模な融資および投資を行う。

 

同グループが多くの顧客を有しているアジア圏は、持続的な経済拡大などを背景に、温室効果ガスの排出量が高い。低炭素経済への移行を目指して、今後よりいっそうの取り組みが期待されている。アジア諸国が低炭素経済への移行を果たすことは、世界全体に与える影響も大きく、その意味でもHSBCは重要な役割を担うことになる。

 

同社は、世界最大級の貿易金融のプロバイダーであり、環境問題を重視した投資のリーダー的存在として知られている。また、持続可能性に配慮したサスティナブル・サプライチェーンファイナンスなどの金融サービスも提供している。

 

 

ニュースの核心 

北朝鮮党大会で露呈した超えがたい経済苦 

 

今回の党大会の真の目的は、北朝鮮の経済回復に道筋をつけること、そしてそのための朝鮮労働党の組織改編だった。経済制裁やコロナ禍、昨年発生した水害という三重苦に北朝鮮はあえいでいる。
金委員長は大会開幕の辞で「16年からの国家経済発展5カ年戦略の目標はすべての部門で大幅に未達」と、失敗を認めた。さらに「党中央委員会活動総括報告」の内容を見ると、「新たな5カ年計画期間に人民の食住衣問題の解決でなんとしても突破口を開く」などといった経済分野に関する言及が報告の半分を占めている。それに対して、軍事分野は10%以下だ。

 

しかも開会中に行われた「部門別協議会」では、「軍事分野の目標は暫定中止で、経済活動に注力すべき」とされ、経済活性化に集中して議論がなされたという。
とくに北朝鮮内の企業活動の再開や活性化が課題とされ、他国では税金に当たる政府への上納金の負担軽減が決定されたようだ。

 

金委員長は党の組織改編を行い、今大会で「党委員長」から「総書記」と肩書を変えた。同時に党員の世代交代を進め、スリム化も行った。故・金日成(キムイルソン)主席、金正日(キムジョンイル)総書記も使った歴史的な肩書で求心力を高め、政策の効率的な実行を図るつもりなのだろう。
 だが、経済活性化を図りたいのなら、核開発をやめなければ経済制裁は解除されない。さらなる発展には外国からの投資は必須だ。「自力更生」「一心団結」という大会のスローガンではおぼつかない。

 

 

ニュース最前線 

01 岡藤CEOの存在感示した 伊藤忠「2つのトップ人事」

 

伊藤忠では繊維や食料といった生活消費関連事業がいわば花形で、化学畑は目立つ存在ではない。
だが、エネルギー・化学品カンパニーは蓄電池や再生可能資源由来のバイオマスプラスチック事業に参入するなど、伊藤忠が重視する環境配慮型ビジネスを手がけている。

 

現在の伊藤忠は各部門がバランスよく稼ぐことが特徴だ。資源事業への依存度も低く、非資源事業が純利益の約8割を占める。

 

強く必要性を唱えているのがビジネスモデルの転換だ。顧客ニーズが多様化する現在、商社が従来の強みとしてきた縦割り組織では対応し切れないケースが多く、各商社の課題となっている。伊藤忠も今後は顧客ニーズを基に新たなビジネスをつくる「マーケットイン」型への組織転換を目指す。

 

全国で1日約1500万人が来店するファミマの顧客購買データの活用など、ファミマの強みを伊藤忠が営む事業全体の成長に結びつけることが期待される。
伊藤忠の今後の成長エンジンと期待されるファミマだが、多くの課題も抱えている。

その1つが「21年問題」だ。ファミマとユニーグループ・ホールディングスとの16年の経営統合に伴い、サークルKサンクスの約5000店舗がファミマにブランド転換した。この転換組の加盟店契約の更新が、21年から始まるため、加盟店をいかにしてつなぎ止めるかが問われている。

また、弁当などの商品開発力はコンビニ王者のセブン−イレブンに見劣りする。

 

マーケットインを重視する次世代の伊藤忠にとって、ファミマの事業強化・活用はグループのさらなる成長へのカギを握りそうだ。

 

 

02 NHKが総務省に「回答」 それでも続く値下げ圧力 

 

NHKはネット常時同時配信の認可を求めた際、高市早苗・前総務相から、三位一体の改革(業務・ガバナンス・受信料)を求められていた。新年度を目前に控えて、これがNHKの宿題になっていた。
今回の経営計画において、業務面では現在3チャンネルある衛星放送を23年度中に2チャンネルに削減し、将来的には1チャンネルへの移行も視野に入れる。現状、3波(AM2波・FM)を持つラジオは2波(AM・FM)への削減を検討する。
ガバナンス面では、業務が重複し肥大化していると批判されていた関連団体を縮小する。さらに中間持ち株会社制度を導入して子会社の経営に対するグリップを強め、ガバナンス強化を図る。

三位一体改革の中で最も注目度が高かった受信料については、値下げを明示した。

 

NHKは今回、23年度に値下げを行うとしている。詳細は未定だが、値下げの原資は700億円規模で、受信料を支払っている世帯が約4000万であるため、1世帯当たり年間1750円の引き下げとなる。だが、NHKにとって「23年度の値下げ」で終わりではない。今後は、受信料の継続的な引き下げを求められそうだ。

 

新たな制度では、一定額を超える繰越剰余金を、受信料の引き下げに充当することを義務づける。事業収支の黒字が続いてNHKの繰越剰余金が積み上がれば、それに応じて受信料の引き下げが継続されることになる。ただし、すぐに実現するという保証はない。NHKが今回示した21年度予算は、20年10月に実施された受信料の値下げが通年化することや新型コロナ影響による収入減少などで、事業収支が230億円の赤字(20年度の中間期の事業収支は449億円の黒字)になるとの見通しを出している。仮にこうした状況が続けば、繰越剰余金が積み上がらないため、23年度の値下げ以降は、受信料の引き下げが行われないという可能性もある。

 

そのため、21年度に悪化するとしている収支が、どこまで改善されていくのかがポイントになる。23年度中に値下げが行われると、翌年度の事業収入も低下する。値下げの実現にはコスト削減を継続して収支の黒字を維持することが必要になる。NHKには、向こう3年の経営計画におけるコスト削減にとどまらず、今後も継続的に事業運営のムダを見直すことが求められる。総務省の“監視の目”が緩むことはないだろう。

 

 

03 寒波とLNG不足が直撃 長期化する電力の逼迫 

 

大寒波の襲来をきっかけに、全国規模で電力の需給が逼迫している。

電力会社や電気事業連合会は家庭や企業に節電を呼びかけるとともに、休止していた老朽火力発電所の稼働や、電力会社のエリアを超えた広域的な電力融通を続けている。だが、いつ電力不足に陥ってもおかしくない。
 電力需給が逼迫している要因は、大寒波や悪天候による太陽光発電の出力低下といった供給側の要因に加え、暖房用などの電力需要が急増する需要側の要因もある。

 

電力供給は綱渡りが続いている。その要因として、LNG(液化天然ガス)の調達難が指摘されている。LNG火力発電は日本全体の発電電力量の約4割を占め、電力需要の増減にスピーディーに対応できる強みがある。ただ、その性質上、長期にわたる備蓄ができないうえ、調達そのものが難しくなっている。燃料の確保が難しくなっていることにより、LNG火力の多くが出力を抑制しての稼働を余儀なくされている。

供給面でのさらなる制約となっているのが、LNG火力と並ぶ主力電源である石炭火力発電所でのトラブル多発だ。

 

卸電力市場での価格高騰はユーザーにも影響を与えることになりそうだ。電力やガスの契約切り替え支援サービスを展開するENECHANGEには、1月に入り、卸電力市場の価格に連動する料金プランに加入する電力ユーザーから、契約内容や解約に関する相談が相次いでいる。

 需給逼迫を解消する見通しが立たない中、影響はさまざまな方面に及びつつある。

 

 

フォーカス政治 

再燃し始めた通商交渉への「不安」 

 

「日本はすべて役人任せだ」
縦割りの厳しい体質をそのままにして官僚に丸投げした、リーダーシップの欠如。
政治が動かないから、役所は省益優先の姿勢を崩さず調整はいつも難航した。

 

3チャイナ、2ジャパン──。
「ほかの国は二人来ても、一人しか発言しない。あるいは一人しか来ていない。日本は二人来て、二人発言するわけですから、これは大変だった」

3チャイナというのは、中国、香港、台湾のこと。2ジャパンは、外務省と通産省が国際交渉でつねに張り合っていて、閣僚会合があると大臣が2人出席することが多いという意味だった。

 

「大臣が座る席を2つ欲しい、3つよこせ、というのは外務省が議長国と交渉するが、なぜそれだけ必要なのかを説明しなければならず消耗した。こんな要求は『大臣レベルで仕切り役がいない日本』と受け取られる」
そんな態勢が一変したのは最近のことだ。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を決断した際、当時の安倍晋三首相は初めて「担当閣僚」を決め、経済再生担当相の甘利明氏を指名した。各省の利害が交錯する通商協議を1人の閣僚に任せるのは前代未聞。省益を守ることに関心を集中させていた霞が関には緊張が走ったが、意思決定はスムーズだった。

一元化は「1強」と呼ばれた力のある政権がTPPを重視したからこそ可能だったのだろう。

 

2021年、米バイデン政権の誕生で、日本は延期されていた日米貿易協定協議の「後半戦」などを始めねばならない。通商交渉で政治による「統一された国家意思」を前面に出せるようになったのは「1強」と呼ばれた力の強い政権が存在したからであるとすれば、首相官邸の求心力が低下している現在、各省調整ができず「2ジャパン」と皮肉られた時代に戻るおそれはないのだろうか。
通商政策に関与する政府当局者によると、霞が関には「TPPは内閣府、日米協議は外務省、RCEP(日中韓など15カ国による東アジア地域包括的経済連携)は経産省」という奇妙な縄張りが新たにできつつあるのだという。

 

グローバル・アイ 

コロナ禍前から続く構造問題 バイデン政権に希望はあるか

 

米国の政権交代と新型コロナワクチンの接種拡大を見込んで、景気は2021年に回復するとの楽観論が強まっている。だが、これはお門違いというものだ。コロナ禍が想定を上回って長引くおそれがあるからだけではない。真の問題は、コロナ禍前から米経済が壊れていることにある。
確かにコロナ禍前の失業率は3.6%と歴史的な水準に下がっていたし、株価も高値を更新し続けていた。しかし、その一方では、高い収入と出世につながる「まともな雇用」が激しく枯渇するようになっていた。

 

もちろん、全体として見れば新たな雇用は生み出されてきたが、その中心は所得額では底辺の仕事だった。つまり、まともな雇用が低賃金の雇用にどんどん置き換えられていったのである。

 

株価にも同じことがいえる。好調な株価は、必ずしも経済が健全であることを意味しない。大企業が強大な力を振りかざし、人々を犠牲にしながら荒稼ぎをしていても株価は上昇する場合がある。米国の歴代政権がそうしてきたように、法人税をさらに引き下げ、資本家をもっと優遇すれば、株価はいっそう上がるかもしれない。経済が今年回復したとしても、このような忌まわしいトレンドは変わらない。少なくとも、これは放置しておいて勝手に改善する問題ではないのだ。大卒未満の人々に稼ぎのよい雇用が戻る見込みはない。それどころか、大企業の立場はコロナ禍でさらに強まった。だからこそ、沈み込む実体経済をよそに、ウォール街はあれほどの活況を呈しているのだ。
歴史的にいって、好況は構造問題を覆い隠し、深刻化させることが多い。そのような過ちを巨大なスケールで繰り返さないためには、以前から経済と社会をむしばんできた構造問題と正面から向き合わなければならない。


中には連邦最低賃金の大幅引き上げのように単純な方法で対処できる問題もあり、そうしたものはすでにバイデン新政権の政策リストに載っている。だが、もっと本質的な変革が最低でも2つ必要だ。第1に、人間の仕事をロボットに置き換える技術開発に力を傾ける流れは止めなくてはならない。自動化が進む経済にはまともな雇用は生まれないし、富が幅広く行き渡ることもない。

第2に、経済・社会生活においいて、ますます幅を利かせるようになった大企業のイデオロギー的影響も何とかする必要がある。ごく一握りの企業が技術革新と経済政策のあり方を牛耳っているようでは、まともな雇用の創出や格差の縮小など到底望めない。

 

バイデン政権は構造問題と向き合う意欲を見せてはいる。だが、その布陣はどうか。米国の経済を一段と利己的なものにした企業の出身者がブレーンに名を連ねている時点で、大変革の望みは薄いといわなければなるまい。

 

 

グローバル・アイ INSIDE USA 

MARsに見る人民の怒り トランプ現象は終わらない

 

ミドル・アメリカン・ラディカルズ、頭文字を取ってMARsという。あえて訳せば「米国中産階級過激派」だ。トランプ政権誕生前後に論議された。本をただせば、1970年代、米国政治が激しく流動化した時期に、その震源とみられた「サイレントマジョリティー(物言わぬ多数派)」を指して一部で使われ出した言葉だ。
トランプ共和党政権からバイデン民主党政権へと移った今、改めてMARsを考えてみたい。政権交代を前に起きたトランプ支持者らによる米連邦議会議事堂襲撃事件は、米国で吹き荒れるポピュリズムを強く印象づけたからだ。

 

ポピュリズム1.中央に対する地方の反感、2.エリートに対する民衆の反抗や懐疑、3.外来の人や物を排斥する土着主義(ネイティビズム)──を原動力に改革を求めていく運動だ。そこには既存の政治体制に反発する革新性とともに、よそ者を排除する反動的な面がある。つまり、右とも左ともいえない。

 

彼らは人工妊娠中絶など社会問題では保守的立場を取る一方で、社会保障医療保険ではリベラル(進歩的)な政策を求め、単純に左右に分類できない存在であるとわかった。

彼らは混迷する経済や社会の価値観に翻弄され、生活を守ってほしいと願う人々だ。エリートに支配された政治に自分たちの声は届かないと怒り、政治から疎外されているとも感じていた。

 

彼らにとって連邦議会は怒りを向ける対象でしかない。たとえトランプが失脚しても、また似たような扇動者に操られ、連邦議会でもホワイトハウスでも襲撃するかもしれない。彼らは左側にもいる。

 

バイデン政権は一応、上下両院を支配し、長い政治経験を持つ大統領が、トランプ後に旧来の主流派が戻ってくる共和党と妥協を図って政権運営をするだろうという楽観的観測もある。ただ、すさまじい格差問題などに根本的改革がない限り、MARsは怒りを抱えたまま潜在し続ける。右ではトランプないし後継者を、左ではサンダース派勢力を介し、彼らが米国政治を揺さぶる構図は消えない。

 

 

マネー潮流 

電力危機から得られた教訓 

 

年明けの電力市場は未曽有の混乱に陥った。

電力という商品は貯蔵が利かない特性から、需要量に合わせて発電量を時々刻々調整する必要がある。需要が急増し供給が不足する場合には需要が抑制されるまで価格が上がり続け、最悪の場合には停電が起きる。

 

今回の事態にはいくつかの要因がある。まずは年末から日本列島を含む北東アジア全域を襲った寒波である。コロナ禍で産業需要は抑制されたが家庭の暖房需要は増加した。加えて再エネによる供給が夏場は機能するが、冬場は不安定になる。そんなときには化石燃料で発電するのだが、低炭素時代で環境負荷の低い天然ガスへの依存度が近年増えており、島国の日本は海外から液化天然ガス(LNG)を輸入する必要がある。


今回の危機にはこのLNGが大きく関わっている。寒波が北東アジア地域を直撃したことから中国や韓国でも発電需要が急増した。

わが国は昨年末まで卸電力価格が低迷したため発電業者はLNG調達を抑制し手持ち在庫も絞っていた。そこに寒波が襲来し、急きょ燃料調達に動いたものの、他国も買い出動をしたことに加えて、輸出国や海上航路のボトルネックでLNG市場は極端な供給不足となった。そこで長い冬を乗り切るために発電出力を低下させて燃料在庫を温存したため、予備率が急減し綱渡りの発電状況となっている。

 

ここには電力自由化に伴う構造的な問題も内在する。2016年の全面自由化後に新電力と呼ばれる小売電気事業者が数多く市場に参入した。彼らは顧客のニーズに合わせて魅力的な条件で売電するが、電力調達はJEPXの直物市場に依存してきた。

長期固定価格で売電し直物の変動相場で日々調達する行為は、金融機関が顧客に資金を長期で融資し、超短期(翌日物)で調達する行為と本質は同じである。リスク管理が発達した金融業界では、価格(金利上昇)リスク流動性(資金調達不能)リスクは根幹のリスクとして認識され日々管理される。だが、この概念が希薄な電力業界ではリスクの過小評価が常態化したと考えられる。金融的観点からは、今回の危機は電力契約の長短ミスマッチリスクが顕在化したケースと捉えることができる。

 

停電のない低炭素電化社会の実現には、再エネを縁の下で支えるLNGが不可欠だ。

来るべきクリーン電化社会に向けて、電力業界のリスク管理体制の強化LNGの流動性を高める方策が望まれる。50年に向けてマネーも石油からガス、そして電力へと移っていくであろう。

 

 

【第1特集 1億人の「職業地図」】 消える仕事、残る仕事 1億人の「職業地図」

 

CoverStory 

パンデミック、AI、脱炭素…激変する雇用環境 2030年に消える仕事・残る仕事

 

2030年、仕事を激変させる「7つのキーワード」

パンデミック

DX

AI・ロボット

脱炭素

ジョブ型雇用

ギグワーク

遊び

 

 

20年から大企業が相次ぎ導入したのが「ジョブ型雇用」である。職務定義書(ジョブスクリプション)を基に、職務(ジョブ)の達成度で社員を評価するもので、日立製作所三菱ケミカル資生堂等が採用。そこにあるのは旧来の硬直的組織では革新的イノベーションは生まれないとの危機感だ。

 

組織に縛られない働き方もある。ネット経由で単発の仕事を「ギグワーク」として請け負う人が増え、仲介サイトへの登録者数は750万人を超える。プログラミングやデザイン、翻訳のような机上の仕事から、フードデリバリーのような現場の仕事まで、自分の時間を融通してできるようになった。

 

 

PART1 

「消える仕事」 18業種の現在と未来 コロナ後も構造変化についていけるか

 

「コロナ禍が終わっても時代錯誤のビジネスモデルが変わらなければ顧客離れが進むだけ」
銀行はその最たるものだ。超低金利で利ザヤを稼げず、都心の支店やATMは重荷である。みずほ銀行は1月18日から紙の通帳発行で1100円を徴収、儲からない小口や非デジタルの客層を選別し始めている。就活でも銀行員は一転、不人気業種となった。

 

何が引き金になるにせよ、変化が激しくなればなるほど、職業ごとの明暗はより顕在化するだろう。個人にとっても、選択を間違えば、大きな後悔となりかねない。

 

 

01 マイナス金利、再編圧力、AIで支店は激減 銀行員

 

業界 TOPIC
地銀合併特例法
20年11月に施行された地方銀行に合併や経営統合等の再編を促す法律。同一県内で合併しても独占禁止法適用除外となる。

 

2030年の銀行員
長期の超金融緩和で利ザヤが悪化、大幅リストラを迫られているのが銀行だ。駅前の支店はビルの2階にある空中店舗になり、窓口やATMはスマホのネット銀行に代替される。融資でも、取引先の膨大なデータをAIが瞬時に読み込んで信用調査をこなし、現在の主要業務は置き換えられるかもしれない。出世レースでは同期で支店長になれればよく、30歳代で多くの行員が子会社へ転籍し、本体に残るのは一握り。


業界最新事情
目下の焦点は収益環境の厳しい地方銀行だ。経営改革を後押しし競争力を向上させるために、合併特例法の施行、日本銀行による当座預金金利上乗せのほか、政府によるシステム統合費用への補助金等も俎上に載せられている。「地銀連合」構想で10行程度との資本提携を掲げる、SBIホールディングスが台風の目である。

 

 

13 ディーラー・トレーダー

 

ディーラー・トレーダーになるには
銀行や証券、生保等に就職。

ディーラーは自社資金を投資し、トレーダーは顧客の資金を仲介する。

 

業界TOPIC

IFA
独立系金融アドバイザー。証券会社で多数の“太客”を抱える社員が独立。富裕層の資産形成をサポートする。

 

2030年のディーラー・トレーダー
コンピューターで1秒に数千回売買する高頻度取引(HFT)は、今や株式市場や為替市場の相当部分を占める。ディーラーのマーケットメイキング機能は年々低下し、AIが人間並みに売買の“機微”も学習すれば、この流れに拍車をかけるだろう。

業界最新事情
 コロナ禍で巣ごもり投資を始めた個人のデイトレーダーが拡大。扱う商品もより低価格でできるFXや仮想通貨の比重が増している。

 

 

PART2 

「残る仕事」 18業種の現在と未来 必要なのは高度なスキルか創造力か

 

コロナ禍前から指摘されてきたのが2010年代から深層学習(ディープラーニング)で急激に進化したAIだ。

 

長期的に有望なのは大きく2つ。

1つはAIやロボット、IoT等を自ら利用する仕事、もう1つは人間にしかできない仕事だ。

 

「現在は“遊んでいた人”の時代。スティーブ・ジョブズイーロン・マスクも子どものように遊びにのめり込んでいた」。好きな分野で頂点に立ち、プロとしてマネタイズできれば、これ以上の幸せはない。
 時代が変われば職業のあり方も変わる。既成概念に縛られない仕事が将来伸びる可能性もある。

 

 

17 経営コンサルタント

 

業界TOPIC
マッキンゼー・マフィア
業界の雄である同社の出身者。大前研一氏や勝間和代氏、南場智子・DeNA会長ら、顔ぶれは多彩だ。

 

2030年の経営コンサルタント
グローバルなM&Aから地方中小企業の事業承継まで守備範囲は広い。働き方改革企業統治等、制度や慣行をめぐる激変は今後も必至だ。“コンサルバブル”も指摘されるが、企業が第三者の声に頼る傾向は不変で、コンサルタントへの引き合いは大。

業界最新事情
目下のニーズはDXだ。テレワークやリモート会議の整備等、デジタル化に遅れた企業は数多い。近年では戦略系のマッキンゼーボストンコンサルティンググループに対し、IT関係に強いアクセンチュアが勢力を拡大中で追い風が吹いている。

 

 

18 スタートアップ起業家

 

業界TOPIC
SPAC
特別買収目的会社。事業のない“箱”のような企業で上場後に買収先を探す。ソフトバンクG系が米国で上場。

 

2030年のスタートアップ起業家
設立から上場までの期間は現在、平均17年間、最短2〜3年だが、さらに短期化が進む。全体では脱炭素が注目されそうだ。


業界最新事情
在宅勤務や遠隔診療を後押しするDX系のスタートアップに脚光。

 

 

PART3 

会社員が知りたい9職種の「市場価値」 自分の年収と待遇は見合うか

 

ジョブ型雇用とは職務を限定して社員が会社と契約を結ぶ雇用制度を指す。本人の同意なしに関係ない職務に就くことはなく、賃金や評価も職務の成果で決まる。現在の日本で主流の「メンバーシップ型雇用」は、終身雇用と年功序列が前提となっており、ジョブ型雇用とは対照的になる。

 

だが一歩外に出れば潰しが利かないのが会社員。いつ自分が戦力外になるかわからない。

 

1つの分野を極めるには1万時間の練習が必要という。会社員に置き換えると、フルタイムを8時間として年250日=2000時間働けば、5年間で1万時間に到達する計算である。
ただし時間をかけたスキルもいつ陳腐化するかわからない。リスクを避けるには自分の引き出しを増やし、複数のジャンルで秀でるのが理想的。

 

会社員ならスキルばかりでなく、キャリア=現場での経験も武器だ。

 

重要なのはどんな環境にも対応できる柔軟性と自分を客観視する冷静さ。自分自身の“価値”がいくらか知っておいて損はない。

 

 

02 財務・経理

 

TOPIC
IFRS
国際会計基準。上場企業では229社が採用し、トヨタ自動車も今期から移行。のれん代やリース会計等、日本基準と違う点も多い。

 

2030年の財務・経理
 バックオフィス的で地味な印象が強い。だが近年では、エクイティーファイナンスによる資金調達配当や自社株買い等で、企業の経営判断にも関わる戦略的な部門として位置づけられている。ディスクロージャーへの対応やリスク情報のモニタリングも財務・経理の新たな役割だ。CFO(最高財務責任者)は今やキーパーソンの役員となった。

 

 

就活人気企業の10年前・5年前・今/職業別に見た自殺者の傾向

 

就活生はどうしてもその時点で華やかで将来性がありそうな企業・業界を選びがち。だが、5年後や10年後も花形、とは限らない。

 

今から10年前に入社した2011年卒生の就職ブランドランキングの1位はフジテレビジョンだ。まだテレビ業界が輝いていた時代だが、その後、スマホ等の普及による若年層のテレビ離れもあって、成長が鈍化。

 

5年前の16年卒で1位だった三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)等のメガバンクもそう。当時、各行が1000人以上採用していたこともあり、人気の筆頭となっていた。しかし、マイナス金利による収益の悪化やフィンテック導入に伴う窓口業務の縮小で、採用を抑制。今や斜陽産業の色が濃い。銀行に次いで支持されたANA等のエアラインも、コロナ禍で業績が急悪化し、目下、正念場を迎えている。

 

現在、1番人気は伊藤忠商事等の総合商社だが、将来ずっと順風満帆という保証はない。

 

 

リーダーのためのDX(デジタルトランスフォーメーション)超入門 

第13回 米展示会「CES」でわかる世界のDX強者

 

Point
1 CESはもはや家電見本市ではなく、業界横断的なテクノロジーの祭典だ
2 各社の出展内容で見るべきは、経営トップが世界観を提示できているか
3 DXを進めるためにも、魅力的な発表で有望な企業との協業機会をつかもう

 

1月11日から4日間にわたり、世界最大のテクノロジー展示会「CES (コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」が開催された。

 

今やテクノロジーと無縁な業界はない。あらゆる企業の幹部にとって、CESの動向は注視すべきものになっている。
開催形式に関係なく重要なのは、各社の製品だけでなく、年初というタイミングで、どの企業がどの分野に注力しているかという流れを把握することだ。なぜ今この製品を展示するのか昨年の競合による出展の後追いなのか。展示の仕方には戦略の差がにじみ出る。
さらに細かく見るべきなのは、テクノロジーで将来がこう変わるという世界観を、各社の経営陣が自分の言葉で提示しているかどうかだ。

 

ビジョンや世界観を示し、構想を紹介する動画だけでなく、そこにフィットする製品はこれだ、ということを見せるのが重要だ。
今年は、どの企業が出展しなかったかという視点も大事だ。

 

今年の出展者の中でも目立ったのがGMだ。

CESではここ数年、ベンチャー企業の開発したEVが注目を集めたが、GMはそこから学び、自社の戦略にうまく取り込んだ。何といっても経営トップ自らが動向を理解し、行動に移せている。

 

サムスン電子LGエレクトロニクスなどの韓国企業は小さな国内市場を飛び出し、GAFAなどの米国の巨大テック企業と競うため、コロナ禍でも海外へ情報発信する重要性をよく理解している。

 

CESは商談する場でもあり、出展企業にとってはソフトウェア会社やベンチャー企業とオープンイノベーションを進めるための場所だ。出展効果を感じないのであれば、魅力的な世界観を伝えきれていないということだろう。

 

 

 

 

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Article Memories vol.9: 週刊東洋経済 1/23号:製造立国の岐路

Theme: 金融・経済・政治

Time: 約20分

Difficulty: 

 

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週刊東洋経済 2021年1月23日号 | 雑誌紹介 | dマガジン

 

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経済を見る眼 

「Go To」の何が問題だったか 

 

・コロナ禍の経済的影響は、次のような過去にない特徴を持っている。

1つは、通常の経済活動が突然、取引当事者以外へ損失を与える「外部不経済」を持つようになったことだ。

2つ目は、ショックが特定の業界に集中することだ。

3つ目は、これらの外部不経済と経済的打撃が時間限定的なことだ。

つまり政府は、時間限定的な外部不経済と特定業界への打撃にどう対応するかが問われている。

 

・Go To キャンペーンはある意味でうまく工夫されていた。効果は打撃を受けた分野だけに及ぶものだし(分野限定的)、不要になったらキャンペーンをやめることができるからだ(時間限定的)。

 

・だが実施してみると、次の難点が明らかになった。

第1は、政策実施のタイミングだ。

実施後に感染の再拡大が起きたため、思い切ってキャンペーンを展開できなかった。タイミングが早すぎたといわざるをえない。

第2は、政策のアナウンスメント効果である。

Go To キャンペーンが始まったとき、多くの国民は「政府が奨励するのだから、今後は積極的に旅行や外食をすべきなのだろう」と受け止めた可能性がある。これは感染の収束を難しくさせたかもしれない。今後の政策展開に当たっては、国民に正しいメッセージが伝わるよう、よほど注意すべきである。

第3は、政策手段の割り当てである。今回は、生産者の所得を補填するために、関連需要を拡大するという政策手段を割り当てた。しかし、旅行、外食などの消費者行動には外部不経済があるのだから、むしろこれらの需要は抑制するのが正しい。

 

最も理にかなっていると思うのは、旅行や外食消費に課税し、その税収で業者の所得を直接補填することだ。誰もが「こんなときの増税には賛成できない」と考え、実現は難しいとすれば、せめて、Go To キャンペーンの予算を業者の所得補填に回すべきだったのではないか。
 

・コロナ禍は未経験の事態ゆえ、試行錯誤の政策とならざるをえない。しかしそのコストと効果を評価し、今後に生かすことが必要だ。

 

 

ニュースの核心 

株高の裏にある格差の是正はできるか 

 

・国際企業による租税回避地の活発な利用が、欧州や日本にも「法人税の引き下げ競争」という形で波及したのは周知のとおり。安倍政権下でも法人税減税が行われた。企業の誘致ないしは引き留めのためのいわゆる「底辺への競争」だ。

 

・基本に戻れば、貯蓄性向の高い富裕層よりも消費性向の高い低所得層に再分配したほうが経済にはプラス。だが、優遇された富裕層や大企業が投資を拡大すればその恩恵が低所得層にも及ぶ、というトリクルダウン論がまかり通ってきた。実際は、投資は外へ逃げ、製造業より金融業、ITが隆盛となったことで投資や雇用への効果も低かった。歪んだ税率により富裕層は雪だるま式に富を増やし、低所得層はますます貧しくなった。
 これは、先進各国の金融緩和の長期化や財政膨張にもつながっている。債務を抱える低所得層が破綻しないように、「完全雇用を実現するために」という名目で、低い金利を維持する金融緩和が続けられ、財政出動が繰り返される。だが、これは結局、債権者、資本の所有者である富裕層や大企業の富をさらに膨張させる。

 

分配構造の歪みによって、r(資本収益率)を、g(自然利子率)、すなわち潜在成長率が下回ってきたことが、株価上昇の構造的な要因の1つ。つまり、格差拡大と長期的な株価の上昇はセットということだ。実体経済と株価の乖離の原因でもある。

 

・バイデン氏は租税回避に対する懲罰税や収益・雇用を国外から国内に引き戻す税制改革を公約している。ハードルは高いが、EU(欧州連合)に歩み寄りデジタル課税にも合意すれば、国際的な課税潮流に大いなる転換が起きうる。
 ただ、巨額の環境・インフラ投資や、所得分配の歪みを糊塗する低所得層へのばらまきは、賛同を得やすい一方、富裕層への課税は難易度が高い。既得権層によるロビー活動などの政治的圧力、さらには、株価に悪影響を及ぼすとの批判が強く、困難を極めるだろう。

 

 

HSBCが宣言、「サステナブル金融」の時代

 

・ESG投資の分野で、20年近くの実績を積み上げてきたHSBC。そのノウハウを生かして20年11月、個人投資家向けに、国内初となるESG要素を取り入れた米国株式のインデックスファンドを設定した。

 

・ESG投資をすることで、個人が企業や各国政府に対して、より直接的な影響を及ぼすことができる。

長期にわたってESGに熱心な企業を支援できるという観点からも、高い成長を続ける米国株式と、低コストで運用できるインデックスファンドの組み合わせが強力であることは言うまでもない。

 

・投資を通じ、資本の力でESGを導くことが、地球環境の持続可能性を確保することにつながる。

 

 

ニュース最前線

03 トランプ大統領退任でも残るアメリカ政治の「分断」 

 

ジョージア州で行われた連邦上院の決選投票では民主党が2議席とも獲得。上院で主導権を握ることになり、大統領と上下両院を民主党が制する「トリプルブルー」が実現した。

 

・騒動はトランプ氏の“虚言”を基に行われた。同氏は20年の大統領選は「不正だ」と根拠もなく主張。権力にしがみつこうとする同氏にあおられた極右集団や白人至上主義者、「Qアノン」と呼ばれる陰謀論者たちが中心となって引き起こしたとみられる。

 

共和党内でトランプ派と主流派の分裂が深まる気配だ。

 

トリプルブルーはバイデン新政権にとって幸先のいいニュースだ。上下両院で多数党が異なる「ねじれ議会」と比べ、公約を実現しやすい。上院を制したことで左派系の政権幹部を登用しやすくなった。

予算の面でも、大型の追加経済対策や4年間で2兆ドルの気候変動対策、7000億ドルの製造業強化策のほか、それらを実現する財源として企業・富裕層増税の可能性が高まる。財政調整法を使えば、議事進行妨害を回避して過半数で可決することも可能だ。

 

トリプルブルーの報を受け、株式市場は高値を更新したが、先行きはリスクをはらむ。

「コロナ禍もあって増税には議会の抵抗が強く、当面は歳出増が先行し、財政赤字は一段と悪化する」と読む。景気回復期待もあって米国の長期金利は上昇。FRB連邦準備制度理事会)が金利上昇を抑制すれば、「ドル安やインフレの圧力が蓄積する可能性が高まる」。
 分断を深める米国の政治経済情勢が波乱含みであることに変わりはない。

 

 

フォーカス政治 

失敗しか生まない「自民型」政治主導 

 

迷走の原因の1つはまさに首相とスタッフの問題だが、突き詰めれば「政治主導」の仕組みに埋め込まれた欠陥である。
 そしてもう1つは、新型コロナウイルス感染症が、これまで日本の政治が取り組んできた政策課題とは大きく異なり、長期にわたって危機が持続し、難易度が極めて高いという点にある。
 

・では、政治主導の欠陥から見てみたい。民主党政権が本格的に導入した政治主導と「脱官僚」の意思決定では、さまざまに目配りされた官僚主導の意思決定は既得権益保全であるとして廃された。ここでの問題は、官僚主導の意思決定は多くの場合、当代の定評ある専門家が諮問機関で意見を表明するという手続きと一体であり、これも同時に排除されたことである。政治主導は結果として、バランスの取れた専門家を遠ざけた。代わって政権に入り込む専門家とは、政治にとって「都合のよい」意見を言う専門家であり、ほとんどの場合、そのまま政策に反映させればバランスを失しかねない意見を言う人物である。こうして、官僚主導を排した政治主導は、恣意的な専門知を動員する結果を招いた。

 

専門知を排すれば、政策決定は歪む。それをしのぐために、安倍政権も現政権も、急場しのぎで各省を酷使した。そもそも内閣人事局により幹部人事を官邸が掌握したことで、官邸スタッフによる各省への指示が強力に効いた。何か問題が起これば、官邸から各省へ直接指示が飛び、無理やりにでも、とりあえずの対処策を作らせた。結果として各省は、大臣の指揮監督の下で所掌事項に責任を果たす独立の単位としての省ではなくなり、官邸の事務局と化していった。そこでは、独自にいくつかの方向性を定めて専門家と意見を交換しながら代替選択肢を用意する余地がない。言われたままに作業をするという意味での「忖度」しか働かないのである。

 

持続する危機の中、より経済活動を刺激するか、感染拡大を防ぐために行動制限をかけるか、政権はつねに機動的に判断する必要がある。経済政策であれ、感染症対策であれ、複数の代替選択肢を用意していなければならない。当面の官邸の方針とは異なり、多角的に検討されたものであることが、危機では望ましいのである。政治主導の政策決定の前提は、洞察力のあるリーダーと、これを支える有能なスタッフである。ところが、前政権末期や現政権のように、首相と官邸スタッフの視野が狭く、経済活動優先と東京五輪開催に固執し続ける場合、感染対策を強化する選択肢を官僚が用意するのは官邸に刃向かうことでもあり、現状ではまず無理である。だが、それを官邸が積極的に奨励しないと、今回のように感染爆発を前に手をこまねくこととなる。

 

現在の危機に対して、安倍政権以降の「自民党型」の政治主導はもはや失敗しか生まないであろう。官僚主導とバランスの取れた専門知を生かす謙虚さなしには、国民のいら立ちを鎮め、感染拡大を抑えることはできない。これまでの政治主導をどう諦めるか。それが、危機に対応できる自公政権の課題なのである。

 

 

グローバル・アイ 

政策がつくる「未来の姿」 前例主義はなぜ問題か 

 

各国政府が財政を拡張し、未曽有の規模で政策介入を進める中、政策決定のあり方を突き詰めて考える重要性は増している。これは政策の長期的悪影響を回避するうえでも欠かせない作業だ。その意味で、英財務省が経済の変革に向けて新たな政策決定指針を打ち出したことは歓迎に値する。他国も見習うべきだろう。

 

多くの公共政策機関がいまだに費用対効果分析という静的な政策決定手法に過度に依存している。しかし、イノベーションや経済の変容を理解・予測し、促進していくには、こうした手法は適さない。
 費用対効果分析は英国で地域格差の拡大につながったと批判されている。費用対効果の評価軸では、生産性の高い地域に投資を行ったほうが効果的という話になりがちだ。その結果、新規投資の大半は豊かな地域に集中し、豊かな地域はますます豊かとなる。このように格差を増幅し、固定化する連鎖が続けば、持てる者と持たざる者との溝も必然的に深まっていく。現在主流となっている経済政策枠組みは、気候変動対策の妨げにもなっている。静的な費用対効果分析に従うなら、石炭をガスに置き換えるのが二酸化炭素排出を減らす最も安上がりな方法ということになる。だが、こうした分析からは、再生可能エネルギーがいずれ最も安価な発電源に進化するというダイナミックな技術革新の視点がすっぽりと抜け落ちている。

 

財務省の新指針が持つ革新性は経済を動的に変化し続ける複雑系のシステムと位置づけた点にある。社会的に好ましい変化を生み出すために方向づけを与えるのが政府、という立場である。
 

・方向性の選択は重要だ。なぜなら、ちょっとしたことが長期的には重大な帰結をもたらす場合があるからである。

 

効果的な政策決定を行うには、経済の動態力学に理解を深め、ある変化が別の変化の呼び水となる波及効果を考慮する必要がある。

 

費用対効果の伝統的な分析枠組みは「リスク対機会分析」に拡張されてしかるべきだろう。リスク対機会分析では変化のプロセス管理が肝になる。複雑に変化する現実の経済においては、こうした政策決定手法のほうが効果的だし、世界の繁栄、不平等の改善、持続可能性の向上にも資するはずだ。

 

 

グローバル・アイ INSIDE USA 

米議会で急増する女性議員 原動力は反トランピズム

 

女性議員増加の背景にあるのが「トランプ・エフェクト(効果)」だ。女性は男性より差別に敏感だといわれるが、トランプ氏の数々のセクハラ疑惑や人種差別、障害者への侮蔑、移民弾圧などへの反発が女性を行動へと駆り立てている可能性が高い。

 

トランピズムが逆ばねのように作用し、女性パワーが増す米国。図らずも、「トランプ効果」が米政界の「ボーイズクラブ(男社会)」に風穴を開けたようだ。

 

 

マネー潮流 

米ドルが強くなるとき、弱くなるとき 

 

・米ドルは名目実効レート(多通貨間での実力を測る指標)でみると、昨年5月半ば以降下落基調が続き、10%程度下落している。昨年1年間を通じて主要10通貨中、最も弱い通貨となった。
 

・米ドル全体、つまり名目実効レートでみた米ドルの動き方には一定のパターンがある。

 

米ドルが上昇するのは、次の2つの条件のうちどちらかが当てはまるときだ。
 まず、世界的に株価が大きく下落するような、いわゆるリスクオフ(リスク回避)の環境にあるとき。世界経済が力強い成長を続け、投資が活発に行われるようなときには、米ドルから新興国などに投資資金が流れるため米ドルは売られる。だが、環境が一変して世界的に株価が下落し、先行き不透明感からリスク回避姿勢が強まると、投資資金の回収とともに米ドルは買い戻される。その際、円のほうがより買い戻されることもあるので、円高米ドル安になることが多く、円との比較ではわかりづらくなるが、その他の通貨に対しては米ドルが上昇している。
 米ドルが強くなるもう1つの条件は、さらに2つの条件から成る。1つ目が米国経済の独り勝ち、2つ目がFRB米連邦準備制度理事会)への利上げ期待がその他の中央銀行への利上げ期待よりも強いことだ。

 

世界経済が好調なときは通常、前述のように米ドルから投資資金が他国に流れるため米ドルは売られるが、米国経済がその他の国に比して突出して強く、FRBへの利上げ期待が目立って強まると、米ドルは買われる傾向がある。このとき、円は弱い通貨となっているので、米ドル円相場は比較的力強く上昇し円安米ドル高となることが多い。

 

米国経済の独り勝ち度合いを測るのはなかなか難しいが、米国製造業PMI(購買担当者景気指数)からグローバル製造業PMIの数字を引いた値でみると、4ポイント前後を上回ると米ドルが買われる傾向がある。現状この数値は3.3ポイントとなっており、米国経済の他国に先んじての回復がもう少し強まれば、米ドルの下落トレンドが止まり反転上昇を始めるための2つの条件のうち1つを満たすことになる。
 もっとも、米ドル上昇のもう1つの条件である、FRBへの利上げ期待がとくに強いという点をクリアするのはまだ難しそうだ。先に示した米国経済の独り勝ちで米ドルが上昇した期間は、いずれもFRB政策金利の変更期待を反映すると考えられる2年金利も上昇していた。現在、FRBの金融政策に関しては、証券購入の縮小期待もあって長期金利が上昇しているが、長期金利の上昇だけでは米ドルは買われない。この場合、為替リスクをヘッジして米債投資をしても比較的大きなリターンを得られるため、米ドルの支えにはならないのだ。この点に鑑みると、昨年5月からの米ドルの下落トレンドが終了し反発局面に入るのは、まだ難しいだろう。

 

 

袋小路の三菱重工 

キャッシュフロー重視へ転換 巨額投資支えた財務基盤

 

三菱重工のような重厚長大型の企業は巨大な設備を多く持ち、製品リードタイムも長い。さらに多数の事業会社と生産拠点が複雑に入り乱れており、もともと資産の効率性はよくない。そこで製造拠点ごとに分かれていた調達を一本化してコスト削減を実行。業務プロセスなどを細かく見直すことで、仕入れから販売に伴う現金回収までに必要な日数(キャッシュ・コンバージョン・サイクル、CCC)や運転資本を圧縮してきた。

 

問題意識の根底にあったのが、三菱重工に限らず日本企業に多く見られる、売上高や純利益などの指標を過度に重視する経営戦略からの脱却だ。投資に回す資金の捻出と稼ぐ力を見るために、資産構成とキャッシュフローを重視する経営へと変革。「基礎となるのは総資産だ。企業経営の根幹は、総資産をうまく活用して、事業規模や企業価値を最大化することだ」という。

 

ただ運転資本の圧縮は限界に来ている。今後は本業の利益からキャッシュフローを生み出さなければならない。「今までは総資産の大きさが問題だったが、今後は利益を生む質の高い資産構成への入れ替えが必要」という。

 

会社の健全な財務ポジションとして打ち出したのが、独自の経営指標「トリプルワンプロポーション」だ。総資産売上高株式時価総額の3つの額がそれぞれ等しくなることを目指す。これが達成されると、バランスの取れた経営が達成されるというものだ。売り上げ規模に対して過大だった総資産は圧縮に成功した。この3つの数値のうち、極めて低い水準にある時価総額を上げるためには、市場が期待する利益水準を安定的に達成する経営が求められる。
 そうした体制をつくるためには事業ポートフォリオの入れ替えも視野に入る。今度こそ失敗のできない稼ぎ頭の探索が必要になる。

 

 

スペシャルインタビュー 

「バイデン政権でも米中対立は止まらない」 

国際情勢ストラテジスト ジョージ・フリードマン

 

米国は不安定な移行期にあると主張した。約80年に一度の「制度的サイクル」と約50年に一度の「社会経済的サイクル」の大転換期が2020年代に訪れるとみる。トランプ大統領の登場は現周期の終焉の始まりを意味し、米国史における構造的変化の予兆だという。

 

南北戦争当時は今より分断されていたが、トランプの下で分断が深まったのは確かだ。この分断は、(80年に始まった)レーガン周期の終焉を示唆している。同時代にはテックブームが起こり、カリフォルニアや東海岸の人々が富む一方で、自動車や鉄鋼などの工業労働者階級は荒廃した。そこにトランプが現れ、工業労働者階級を結集し、支配階級に挑戦状を突きつけ、対立が生じた。レーガン周期には社会経済的対立に伴い、文化的対立も生まれた。中西部の労働者層は保守的だ。(知識に裏付けられた技能者の)テクノロジストと違い、人工妊娠中絶などに反対し、信仰心があつい。お互いに基本的な米国人像が違うため、感情的な対立が生じる。

 

バイデンという標準的な大統領の下で政治的には落ち着くが、社会経済的緊張は高まり続ける。ニクソン後のフォード、カーター両政権下でも危機は収まらず、政治構造の激変とともにレーガン周期に移行したのと同じだ。24年の次期大統領選挙後、最終的な危機が訪れ、次のサイクルが始まる。米国は苦渋の移行期にある。「米国はもう終わりだ」と揶揄されるが、70年代も同様だった。「日本が世界を乗っ取る」といわれたが、米国は復活した。

 

中東から距離を置き、ロシアと中国に強硬姿勢で臨むという政策は、オバマが始めたものだ。彼はトランプのように対中関税を引き上げはしなかったが、為替(操作)問題で中国と対峙した。バイデンもオバマ路線を踏襲するだろう。中国への敵意が米国内で増しているため、対中政策転換は不可能だ。世界最大の輸出国である中国は、世界最大の輸入国である米国を怒らせたくなかっただろうが、中国にとって国内経済の開放は難しいため、貿易摩擦をめぐる米中の立場は変わらない。中国は米新政権に経済開放をちらつかせるだろうが、実際には無理だ。

 

中国がTPPに参加するには自国経済を開放し、競争にさらす必要がある。だが中国は、貿易摩擦で米国市場を失いかけているため、国内市場を守らねばならず、加盟国と同じ条件で中国市場を競争にさらすわけにはいかない。構造的に自由貿易圏への参加は無理だ。米国にとっても、参加のメリットは明確でない。専門家も賛否両論だ。バイデンがリスクを冒してまでTPP問題に首を突っ込むとは思えない。国内政策に政治的資本をつぎ込む必要があるからだ。

 

中ロの動向は米国の関心事だが、米国は世界に対し、もう責任を負いたいとは思っていない。リスクを共有してもらいたいのだ。バイデン政権下でも、状況が様変わりすることはないだろう。現在の周期・システムが完全に機能しなくなるまで、危機は続く。

 

 

経済学者が読み解く現代社会のリアル 

経済学で起業してみる 目に見える「変化」の拠点

 

【要点メモ】
1 経済学者の社会への影響力が失われ、経済学が「自然科学もどき」に
2 突破口は事業・起業を通じた経済や市場の創造
3 「半熟仮想」を拠点にサイバーエージェントやZOZOと共同事業

 

 没落の兆候が、書店に並ぶ経済学の教科書のスタイルだ。どこかの誰かがつくった「経済」がそこにあり、それを分析するのが私たちという構図。いわば理学(自然科学)もどきとしての経済学だ。しかし、不変の法則が多くある自然と違い、経済は法則自体が変わる

 

経済の変幻自在さに目を向けるなら、立ち上がるのは「次の変化をどう生み出すか」「経済や市場をどうつくるか」という問いだ。変化をつくる工学としての経済学、経済や市場を構想し設計し製作する経済学の役割が浮かび上がってくる。

 

半熟仮想の事業は、以下の3つの段階で進めている。

1つ目は、日本発の突端的なR&D(研究開発)を行い、それを世界に向け開放していくことだ。新たな事業や政策をゼロベースで設計し、導入後の新世界で何が起きるかを予測する技術の開発と実践を進めている。

2つ目は、開発した技術を用いた、日本の伝統産業やアナログ産業の再興だ。これまで、データとアルゴリズムの恩恵はウェブ産業と製造業など経済のごく一部に集中しすぎてきた。この現状を破り、データ技術の果実を広い社会に還流させたい。どんな食品・教育を開発し、いつ誰にどんな値段で提供するかの意思決定を、あたかもウェブサービスをデザインするかのように、データを基に行い、展開することが狙いだ。衣食住や小売り、教育、医療といった課題への取り組みは、自然と社会事業・政策的色合いを帯びてくる。営利企業、非営利組織、公的機関を巻き込んで、幅広い社会・政策課題の解決に貢献したい。

3つ目、最終段階は、22世紀に向けた社会構想である。

データやアルゴリズムは政治や経済、宗教、メディアといった社会の根っこにある価値・制度基盤を変えていく。数百年前の常識と技術で構築されレガシー化しているように見える政治(例えば選挙・立法・行政過程のデザイン)や経済(例えば資本市場の仕組み)をどう今世紀風に更新できるか。半熟仮想は、その構想と実験を発表し始めている。

 

 

リーダーのためのDX(デジタルトランスフォーメーション)超入門 

ブロックチェーン」の威力を見逃すな

 

【Point】
1 暗号資産「ビットコイン」が急騰、今年前半には米取引所大手が上場へ
2 暗号資産は取引記録を「マイニング」という解読競争で認証し信用を担保
3 ブロックチェーンは通貨だけでなく、さまざまな商取引での認証にも有用

 

昨年12月から急上昇したビットコイン相場は、年明けに一時400万円を突破し過去最高値をつけた。相場は水物であるため注意は必要だが、機関投資家も参入し始めており、暗号資産への注目度は高まるばかりだ。

 

今年前半には米暗号資産取引所最大手のコインベースが上場を計画している。主要な米取引所として初の上場となる。100カ国以上で利用されており、すでに日本法人も設立されている。上場に踏み切るのは、取引手数料などで安定的に金融収益を稼げるようになったことが大きい。上場で調達した資金を活用し、暗号資産取引のエコシステム拡大を目指す。取引所は需要と供給を引き合わせる役割を担うので、規模の経済が働く。規模が大きいほど流動性が高まり、ビッド(買値)とオファー(売値)の差が縮まる。つまり投資家が効率的に売買できるため、規模が大きければ取引所として独り勝ちできる

 

ビットコインを取引するうえで、取引記録を「ブロック」に見立て、「マイニング」という暗号を解く作業でチェーンのようにつないでいった。これをブロックチェーンと名付けた。

 

取引履歴を、ブロックチェーンの参加者同士がマイニングの競争で正しい取引だと認証する。この競争では報奨金がもらえる。暗号を解くという競争原理によって正しい取引しか残らないような仕組みが整備されているのだ。

中央銀行は本当に必要なのだろうか。通貨の発行自体はもはやデジタルでできる。将来的には、本来の役割である物価の安定についても、データを活用し人工知能などで実現できるかもしれない。ブロックチェーン技術とデジタル通貨は、互いの長所を活用すれば十分に両立が可能だ。暗号資産が今後デジタル通貨として普及し、当たり前のように利用される可能性がある。

 

一方で暗号資産には価格が変動するという短所がある。ビットコインは発行量が決められており、金のように希少価値があるコモディティー(商品)として取引されている。この解決策が、「ステーブルコイン」という暗号資産の形式だ。1コイン=1ドルというように価格を固定できる。米フェイスブックが1月中にも発行するとされている通貨「ディエム(旧リブラ)」はステーブルコインになるであろうといわれている。

 

ブロックチェーンを使ったからといって、すぐに儲かるわけではない。ただアンテナを張っていないと、いつの間にかあなたの会社の競合がブロックチェーンを使いこなし、先行してしまうかもしれない。まずは小さなことから活用を検討してみよう。

 

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Article Memories vol.8: 週刊東洋経済 1/16号:激動 マンション・住宅

Theme: 金融・経済・政治

Time: 約20分

Difficulty: 

 

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経済を見る眼 

悲観は不要、長期の構造変化に対応を

 

 ・インバウンド(外国人観光客)需要のように、無理やり抑えられてきたものは、一気に元に戻るだろうし、今まで以上に拡大する可能性もある。

 

不動産の建設のように、何十年という長期のスパンで収益性を考える投資の場合には、コロナ禍の影響は一時的な収益の落ち込みということになる。回復したあとの期間のほうがずっと長いのだから、目先の落ち込みや不安感に惑わされることなく、その長い期間の収益性をしっかり評価していくべきだ。

 

 ・企業内での設備投資も、本来は中長期的な収益性を判断軸にすべきものが少なくない。そうであれば、コロナ禍による短期的な落ち込みだけに目を奪われるのではなく、もっと長期の収益性を判断材料とすべきだ。

 

 ・ただし、厳密には目先の状況を重要な判断材料とすべきときもある。1つは、流動性の確保が必要な場合だ。どれだけ長期の収益性がよい事業であっても、現在のキャッシュフローがなければ、投資を実行できなかったり、事業の継続が難しくなったりしてしまう。そのため、長期的な収益性よりも、短期的な流動性の確保が必要な場合も出てきてしまう。

 もう1つは、現在の経済状況が、産業構造の変化や経済全体の構造変化を引き起こし、事業の将来性に大きなインパクトを与えてしまう可能性だ。この場合には、今後どのような構造変化が起こり、それがどのように将来の収益性に影響を与えるかをよく検討する必要が出てくる。コロナ禍を契機に、デジタル化やグリーン化への投資拡大に世界全体が舵を切っていることを考えると、ほとんどの産業において、元に戻るというよりは、構造変化が生じると想定すべき状況ではあるだろう。

 

・構造変化が生じるからこそ、今生じている変化から、将来に関する適切なシグナルを受け取るべきだ。その際には、現下の変化が、将来にわたってどんな大きな変化を生じさせるのか、という長期的目線、長期的なビジョンがより一層重要になる。そして、どうしても現状に引っ張られ悲観的になりがちな見通しを、いかに払拭していくかも大切なポイントとなる。 

 

ニュースの核心 

意外に効果大!? 新試算で浮上した年金改革案 

 

2020年12月25日、厚生労働省年金財政検証の追加試算を公表した。ほとんど報道されなかったが、今後の年金制度改革を占ううえで重要な資料になりうるものだ。追加試算で仮定されたのは、現在は別々である基礎年金と厚生年金の報酬比例部分の給付水準調整期間を一致させるというものだ。実際の法改正では制度内部の資金配分見直しが想定される程度で、家計や企業の保険料負担が増えるといったものではない。にもかかわらず、調整期間を一致させると、将来世代の年金給付水準は現行制度に比べ10%前後(標準世帯)も改善されることがわかった。

 

少子高齢化で諸外国に先行する日本では、04年の法改正により世界でもユニークな制度が構築された。一言でいえば、年金財政の均衡に、より重点を置いたものだ。具体的には、現在の保険料率(厚生年金18.3%の労使折半)を固定したうえで今後約100年間の収入総額を想定し、この期間内で収支が均衡するように給付水準を調整していくというものだ。給付調整では、将来世代だけの犠牲とせず、現在の年金受給者を含めて実施するマクロ経済スライドという方式が採られている。この給付調整は、基礎年金と報酬比例で個別に適用されている。見通しでは、収支差悪化が大きい基礎年金において、より長い調整期間を必要とし、給付水準低下は報酬比例を大きく上回る状況だ。これにより生じる不都合は、公的年金所得再分配機能が損なわれることだ。

 再分配機能を担う基礎年金の目減りがより大きく進むとなれば、シワ寄せは低中所得者の給付へ行く。これをどう是正するかという問題意識が政府や有識者の間で共有されてきた。

 

給付水準調整期間の一致は、結果的に基礎年金での短縮報酬比例での延長を意味するため、基礎年金では将来給付水準は改善され、報酬比例では悪化する。

 

有識者の間でもやや意外感があったのは、総給付(基礎+報酬比例)でみると、大半の世帯で給付水準が大きく改善されるということだった。

 

「意外な」結果が出た背景には、基礎年金に2分の1の国庫負担が充てられていることがある。基礎年金の給付が向上することで国庫負担も増え、大抵の所得層にとって報酬比例の低下分を補って余りあるほどになるからだ。逆にいうと、現状の変更を迫られるのは、国庫負担を担う財務省となる。この制度変更により約20年後に年1兆円前後の国庫負担増が予想される。

 調整期間一致の効果は大きいだけに今後、年金改革議論の主役の1つに加わるだろう。

 

ニュース最前線 

01 後手に回ったコロナ対策 「緊急事態宣言」を再発令

 

急な方針転換には、感染拡大がこれ以上続くと内閣支持率の低下に歯止めがかからなくなるという官邸の危機感があったとみられる。菅内閣の支持率は2020年12月に入って急落。感染拡大を抑えるための新たな対策を求める声が国民の間に広がっていた。

 

政府が緊急事態宣言に踏み切ったのは、内閣支持率の低下という要因もあるが、医療体制の逼迫が続いているからだ。 

 

行政当局が把握する重症者病床数は、流行ピーク時に確保する計画上の数値であり、すぐに患者の受け入れが可能かといえばそうではない。病院スペースの転用や機材の準備などに時間がかかるためだ。

受け入れ病床の確保が進まない理由は何か。日本はOECD経済協力開発機構)加盟国の中で、人口当たりの病床数が最も多い国であり、病床数という点では、感染者が圧倒的に多い欧米より有利にみえる。英国やドイツでは病院の多くが公立で、行政主導の医療体制を組みやすい。これに対して、日本の病院の7割は民間病院が占めている。感染した患者を受け入れるかどうかを決めるのは、それぞれの病院長であり、日本では行政が受け入れを要請するにとどまる。感染者の受け入れが可能な医療機関数のうち、事業主体別の割合は、民間病院は18%にとどまっている(20年10月時点)。こうしたことから、有識者の間では「公立病院や公的病院を中心に一部にシワ寄せが来ている」と指摘する声がある。

 

・公立(公的)であるか民間であるかに関係なく、病院側にも感染者を受け入れられない事情がある。その1つがマンパワー不足だ。急性期病院の多さが専門医の分散を招き、感染拡大に対応できていない可能性がある。

 2度目の緊急事態宣言では失敗は許されない。前回の緊急事態宣言のときよりも限定的な飲食店の営業時間短縮や夜間外出の自粛要請だけで感染拡大を止めることができるのか。予断を許さない。

 

02 日経平均「3万円台」説も 株価楽観論に潜むリスク

 

年末年始に新型コロナウイルスの感染者が急増し、「日経平均株価3万円」と鼻息が荒かった市場関係者のマインドに冷や水が浴びせられた。年末の大納会前日に30年ぶりの高値をつけたばかりの日経平均は3営業日連続で下落し、新年相場は出足から足踏みした。再発出される緊急事態宣言は、期間が1カ月程度で、営業を停止される対象業種も絞り込まれる。それゆえ、経済への下押し圧力は前回より限定的とみられるものの、21年1〜3月期のGDP(国内総生産)成長率はマイナス予想に転落。緊急事態宣言の期間も長期化が懸念されている。

 

・20年の日経平均は上下の変動幅が1990年に次いで史上2番目に大きかった。

 

年足で2年連続の陽線となり、アベノミクス以来の長期上昇トレンドが大崩れせずに継続している。21年は年末に向け3万円に迫るか、大台を超えるとのアナリスト予想が多い。背景には、各国政府の財政拡大中央銀行の大幅な金融緩和がある。FRB米連邦準備制度理事会)のバランスシートは過去最高の6.62兆ドルに拡大。日本銀行当座預金残高も年初に617兆円となり、前年同時期と比べて2割近く増加した。過剰流動性は株式市場のみならず、金や不動産、ビットコインの価格をも押し上げている。

 

さらに、コロナワクチンの普及で経済が正常化に向かうとの期待にも後押しされている。

 

20年後半の上昇ピッチが急だったため、年初の下落もまだ調整の範囲内で、緊急事態宣言でも上昇トレンドは崩れないというのがメインシナリオだ。

 

2万7000円を割り込んだ水準は投資家の強気・弱気の分かれ目となるからだ。歴史的に見ても、バブル時の最高値3万8915円(89年12月)から、バブル崩壊後の最安値7054円(09年3月)までの下げ幅の6割強を戻した2万6700円台は、多くの投資家に抵抗線として意識されている。

 

1ドル=102円台まで進んだ円高も気になる。FRBの金融緩和によるドル安が主因のため日銀も対抗策を講じにくい。拡張財政・金融緩和の出口議論のリスクもあるが、23年まで利上げをしないFRBをはじめ、早期の緩和縮小は想像できない。それでもワクチンが多数の人々に行き渡り、集団免疫がある程度でも形成されてくれば、無尽蔵の資金供給という金融・財政政策は大義名分を失う

 

・仮に数年後であっても、追加緩和の終了ETF(上場投資信託)の買い入れ額の縮小をどのように行っていくか。日銀がその検討を始めそうだという思惑だけで投資家がこぞって利益確定に走り、株価の上値を押さえてしまう。21年後半はそうしたリスクシナリオもある。

 

結局、金融緩和と財政拡大の出口は見えず、過剰流動性が株価を下支えする状況が当面は続くことになる。カネ余りゆえに、本格的な景気回復が遅ければ遅いほど好都合。足元の株式市場は、歪んだバランスの上で底堅さを続けている。

 

出口戦略量的緩和策やゼロ金利(政策)、マイナス金利(政策)などの超金融緩和策を解除して正常化を進めるに当たり、経済や市場に大きなショックを与えることなく軟着陸を図る戦略のこと。一般的には、軍事行動や投資活動などで、損害を最小限に抑えつつ撤退するための作戦のことを意味する。

【参考文献】

https://www.daiwa.jp/glossary/YST2461.html

 

 

03 三菱UFJ銀が大抜擢人事 新頭取に託された課題 

 

「金融機関は100年に1度といわれるような改革を進めなければならない時期にある。それに対応するため、世代交代、若返りを一段と進める」と頭取交代の狙いをそう語った。

 

半沢氏が率いる銀行部門は厳しい経営環境にさらされている。金利が続き、利ザヤが縮小しており、預金を集めて貸し出すという従来のビジネスモデルだけでは立ち行かない。足元では、新型コロナウイルスの影響で、企業の資金繰り支援という大きな課題も抱える。コロナの影響が長引き倒産が増えてくれば、与信費用の拡大も覚悟しなければならない

 

この先、預金と貸し出しを中心とする商業銀行のビジネスモデルが成長ドライバーになることは難しい。半沢氏には「損益分岐点を下げ、コスト構造を変える」ことが求められる。要は、経費率(営業経費÷業務粗利益)を下げ、収益力を高めることだ。20年3月期、MUFGは3メガバンク体制になって初めて三井住友フィナンシャルグループに純利益首位の座を明け渡した。海外子会社の減損が主因で、21年3月期には再び逆転する見込みだが、三井住友に距離を詰められていることは確かだ。

格差を生む要因の1つが店舗だ。三井住友は店舗削減で先を行く。

 

半沢氏は12月の会見で経費率が高い要因を問われ、「語りきれない。残念ながら、いろんな要因がある」としつつ、「本部の要員がほかのメガバンクより多く、海外での残高増加に伴って規制対応コストも高くなっている」と例を挙げた。

 

「旧3行合併後に大企業は三菱、個人はUFJといった“分割統治”をしたことで抜本的なリストラができなかったことが根本的な要因だ」と指摘する。行内の関係性を重視した結果として先延ばしにされてきた改革に、いよいよ手をつけるときが来たわけだ。

 半沢新頭取はどこまで大胆にコスト改革のメスを入れられるか。就任初年度から、その実行力が問われる。

 

フォーカス政治 コロナ失策生むあしき「日本モデル」 

 

日本モデルのおかげで感染拡大が軽度で済んだという楽観もあった。しかし、昨年末以来の感染者急増は悪い意味での日本モデルの所産ではないかと思える。あしき日本モデルとは、先の大戦で明らかになった日本の政策決定をめぐる政治家、官僚のマインドセット(思考態度)である。

第1は、取り組むべき目標が多岐にわたり、優先順位をつけられないという点である。政府は感染拡大の抑止と観光・サービス業を中心とした需要喚起策を同時並行で追求している。的確な目標を設定できないのは、政策に携わる政治家や官僚が不都合な真実を認識する知的廉直さを持っていないためであろう。

第2は、作戦・政策を遂行するために必要な物的手段を軽視する精神主義である。大阪をはじめ医療体制の逼迫が報じられている。政治の役割は人員、設備・資材を確保することであり、献身的に働く医療従事者に十分な報酬を提供することである。流行の第1波が収まった後、医療体制整備のための時間的な余裕は十分存在したはずである。しかし、コロナ感染者受け入れに伴う医療機関の収入減、医療従事者の疲弊は放置されたままである。

 

コロナとの「闘い」には合理性が不可欠である。しかし、政治における合理性の喪失は、安倍晋三菅義偉の2代の政権がもたらした帰結である。第2次安倍政権発足以来、為政者は国会審議における論理を徹底的に破壊した。

 

過去2回の総選挙は安倍前首相による突如の解散によるもので、野党側の混乱、弱体も相まって、争点不明の不毛な選挙だった。今回は準備期間も十分であり、政権を懸けた真剣勝負が期待できる。自民党に必要なのは、長期政権のおごりと腐敗について反省し、国会と国民に対して率直に謝罪することである。菅首相では難局を乗り切れないことが明らかになれば、正論を唱えて党内で孤立している石破茂氏やしがらみにとらわれない河野太郎氏を9月の総裁選挙で新しい指導者に押し立て、総選挙に臨むという手段もあるだろう。

 

・野党側は4年前に比べればはるかに態勢が整っている。問題は政権選択選挙に向けてどのような政権構想を打ち出すかである。立憲民主党共産党と明確な連立政権協定を結んで総選挙に臨むことは、政治的受容可能性の点でも、数の確保の点でも実際には困難である。次の総選挙で立憲民主党共産党と、コロナ対策・生活支援で大まかな合意をつくって議席数増を目指し、首尾よく自民党を凌駕できればその段階で、党派を問わずまっとうな政治を取り戻すための連立を幅広く呼びかけて政権樹立を目指すというシナリオである。

 自民党菅首相麻生太郎副総理、二階俊博幹事長を廃位するくらいの自己改革ができないならば、自民党を含めた再編成を志向することが必要となるほど、日本の危機は深刻である。

 

グローバル・アイ 米中テック戦争の切り札は米国でなく欧州が握る 

 

欧州連合(EU)の行政執行機関・欧州委員会が、デジタル規制でまたしても新たな世界標準を打ち立てた。同委員会が先日明らかにした「デジタルサービス法DSA)」と「デジタル市場法DMA)」は、巨大テック企業の力をそぐことを狙いとしており、GAFAなど米国を本拠地とする大手IT企業に幅広い影響を与える。

 

DMAは自社サービスの優遇を違法化するもの。一方のDSAはテック企業に対しアルゴリズムの開示のほか、ヘイトスピーチやデマといった有害コンテンツの削除という重い義務を課す。これらの対策により、デジタル経済の規制は欧州の枠を超えて大幅に強化されることになるだろう。というのは、EUの規制は世界的なインパクトを持つことが多いからだ。「ブリュッセル・エフェクト(効果)」と呼ばれる現象である。EUは世界有数の市場であるため、大抵の多国籍企業は市場アクセスの必要経費としてEU規制を受け入れている。各地の規制に逐一対応するのも手間なので、グローバルな規制対応をEU基準に合わせている企業も多いたとえそれが米国の大企業に多大な犠牲を強いるものであったとしても、EUの規制は米国の中小企業やインターネット利用者にメリットをもたらす。ITの巨人に競争を挑む米国の中小企業は、自国の政府ではなく、EUを頼みとしなければならない状況が何年も続いている。個人データ保護やヘイトスピーチ対策の強化を望む利用者は、米国にも多数存在する

EUが規制の世界標準づくりに動く一方で、米国はデジタル経済を野放しにし、長年にわたって拱手(きょうしゅ)傍観を続けてきた。だが米国の風向きもいよいよ変わりつつあるのかもしれない。米下院司法委員会は2020年にデジタル経済に関する報告書をまとめ、反トラスト法(独占禁止法)強化などの対策を強く求めた。米国は放任主義をやめて規制に動くのが賢明だ。その手始めとしては、個人情報保護を目的とする連邦法の制定が好適だろう。

 

さらに米国には、規制の主導権を取り戻さなければならない、もっと差し迫った理由がある。テック規制で世界的な影響力を強める中国の存在だ。バイデン次期米大統領はデジタル規制でEUと対決するのではなく、連帯の道を探るべきだ。中国の独裁的なテクノロジーの脅威を考えれば、EUと緊密に連携したほうが得策だし、米欧の利害対立も克服できないはずはない。何しろ双方の市民が求める人間中心のインターネットは、自由な民主主義個人の自由という共通の価値観の上に成り立っているのだから。

 

グローバル・アイ INSIDE USA 

学校予算を3倍に 新大統領が挑む教育改革

 

バイデン政権は、教育格差の解消を目的に公教育の充実をうたう。幼稚園から高校までの公教育に関し、連邦政府の予算を3倍に増やす方針だ。

 

90年代以降の米国では、公教育に競争原理を働かせる試みとして、チャータースクールが奨励されてきた。競争を好む共和党はもちろん、マイノリティーを支持基盤に持つ民主党も、チャータースクールには前向きだった。

 

バイデン政権の教育改革の重点は、従来型の公立学校にある。公教育の予算を増やして、貧困層の多い公立学校に集中的に配分する。一方で、同様の生徒を対象とするチャータースクールについては、生徒の成績などを厳しく監視し、成果が上がらない場合には、厳しい姿勢で臨むという。一部のチャータースクールで学力が向上していない例もあるため、公立学校の改革を軸に教育格差の是正を目指す方針だ。

 

・バイデン政権の公教育投資の狙いはほかにもある。労働組合だ。公立学校の教員の多くは、民主党の支持基盤である教員組合に属している。公立学校への予算拡充で、労組に属する教師の待遇を改善したい考えである。

 

最近の流行は、裕福な家庭が集まり、自費で専任の教師を雇って子たちを少人数で勉強させる仕組みである。感染リスクの低さに加え、学校再開後も、出遅れた子を待つ必要がない。「持てる者」の選択が、教育格差のさらなる拡大を招きかねない状況だ。

 

マネー潮流 政府への抱きつき戦略を続ける日銀 

 

日本銀行は「2%を実現するためのより効果的で持続的な金融緩和の点検」を行い、3月の金融政策決定会合をメドに公表する。

 

金融市場に過大な期待を持たせないよう、日銀自らが、「金融緩和の枠組みの変更は必要ない」と明言している。

 

日銀がわざわざ「金融緩和の点検」を予告したのはなぜか。そこには2つの狙いがあると考えられる。

1つは、昨年12月にECB(欧州中央銀行)、FRB米連邦準備制度理事会)が追加緩和策を打ち出す中、日銀が何も出さないと、他国の中央銀行と比べて追加緩和に慎重とみられて、円高が進むのではないかと、警戒したことだ。

それ以上に重要なのは、コロナショックを受け物価上昇率がマイナスにまで大きく下振れて、日銀の2%の物価目標の妥当性や目標達成失敗の責任を問う声が高まること、さらに、もはや2%物価目標達成ではなくデフレ回避に向けてより積極的な金融緩和をすべきとの意見が世間で増えていくことなどに対し、先手を打つ狙いではないか。副作用を一段と高める一方で効果が期待できない追加緩和策を、日銀はもはや実施したくないだろう。

 

「点検」を踏まえて、日銀は資産買い入れ策イールドカーブコントロールの柔軟化措置を打ち出すのではないか。それは緩和の持続性を高める措置、と表向きは説明されようが、実際には、副作用に配慮した事実上の正常化策の一環だ。

 

コロナショック後に日銀が最も注力してきたのは、政府の政策を側面支援する形で、企業、雇用を守るための銀行への資金供給策「特別プログラム」だ。

 ただし、政府自身のコロナ対策は、特別貸出制度で企業を流動性危機から救う施策や給付金・助成金で企業・労働者を支える施策から、企業の業態転換・M&Aなどを補助金・税優遇で助け、生産性向上につなげる施策へと移りつつある。さらに、成長戦略の柱として、地球温暖化対策、デジタル化の推進のため、企業に関連投資を促す財政・税制上の措置も導入する。

 日銀は、こうした政府の政策転換を追いかける形で、中小企業の競争力向上に資する業態転換M&Aにかかわる銀行融資地球温暖化対策やデジタル化に資する企業の設備投資への銀行融資なども、現在の「特別プログラム」の対象に加えていく、あるいは同様のスキームを新たに創設する可能性が考えられる。また、地球温暖化対策、デジタル化に積極的な企業の銘柄で構成される株価指数に連動するETF(上場投資信託)の新規買い入れを始める可能性もある。

 できる限り政府の政策に寄り添い続けるというコロナショック後の日銀の政策姿勢、いわば「抱きつき戦略」は、この先も続くことになるだろう。

 

 

link below ↓

Book Memories vol.14: 世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド

Theme: 自己啓発

Time: 約20分

Difficulty:

 

 

f:id:BobY2official:20210102032813j:image

 

 

 人は皆、悩みを抱えて生きているはずである。受験、部活、バイト、留学、就職、転職や恋愛等、人生におけるターニングポイントにおいて、自らの意思決定を支える確固たる自信・考え方を持った上で行動できている人はそう多くないはずである。あるいは、今取り組んでいることがまさに自分がやりたいことで、夢中になって一生続けていきたいと自信を持って言える人も多くはないだろう。このようなモヤモヤしている状態をそのままにして自己分析を後回しにしていては時間がもったいないから、よりよい人生を送るため、自分の「やりたいこと」を明確化することによって、迷いなく夢中で生きるための準備をする必要がある。

 

 「やりたいこと」を考える時には主に2つの要素が必要であると言われる。1つは選択肢。もう1つは 選択基準である。ここで、より重要なのは「選択基準」 を磨くこと。選択肢は世の中に無限にあふれているのに対し、選択基準は自分の内側にしかなく、自らの行動を決める上で唯一無二の心のよりどころとなる。よって選択基準を磨くことがより容易な方法であり、かつ自己理解のために必須であると言える。

  では具体的に「本当にやりたいこと」を決定するため、どのような方法で自己分析をすればいいのか。ここで、好きなこと・得意なこと ・大事なことの3つの要素に分けて考え、特に

 

好きなこと×得意なこと=やりたいこと

好きなこと×得意なこと×大事なこと =本当にやりたいこと

 

 

の公式を

 

1. 大事なこと

2. 得意なこと

3. 好きなこと  という順番で考え、「本当にやりたいこと」を見つける方法が存在する。

 

 日常生活で無意識のうちに行っている自分にとって当たり前なことを見つけ、「当たり前だよな」ではなく「自分にとっては当たり前だけど、これは他人からすると特別なのか」ということに気づき、他人の行動にイラッとしたり心がざわつく理由は、自分には自然にできていることが相手にはできていない、すなわち自分の得意なことである、といった思考を重ねることで、自分だけの取扱説明書を作る。

そして「本当にやりたいこと」が見つかった後は「本当にやりたいことを実現している自分」と「今の自分」の差を埋めるという行為を繰り返していくことで、人生はあらゆる方面でより豊かなものになるはずである。

 

 今回そのようなことを学んだのは、

 

 世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド

 

八木仁平著  KADOKAWA 

 

という本。

 

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 link below ↓

 

 

 自分なりに大事だと思ったところをまとめたので、興味のある方は読んでいただければ、と思う。

 

  特に本を読んだ上で自分なりの解釈だったり派生させたことを書いたりしているわけではないが、一種の教科書的な感じで大事な点をさくっとまとめ、自分の知識の幅を広げていくためのアウトプットのツールとして使うことにしている。また記事の最初にVocabs欄を設け、キーワードや専門用語などを載せているので知識を効率的に広げていただきたい。読者の方々にはもし知らないことがあれば身につけていただきたいし、ただ要約しているだけなので、よくわからない点があれば自ら購入して読んでいただくなりと、自由に使っていただければと思う。

 

 

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